体内時計とは、生物の体内に備わっている、時を刻む仕組み。 形として目に見える本物の時計のようなものではない。 完全な暗室(逆に常に明るくても良い)に生物を閉じ込め、外部とは隔絶した環境に置いても、およそ24時間前後の周期(人間では約25時間)で、寝たり、起きたり、食べたり、生殖(分裂)したりを繰り返す。その周期をつかさどる仕組みのこと。
ヒトだけではなく単細胞生物にも存在する他、原核生物であるシアノバクテリア(葉緑体の祖先)にも体内時計の存在が示されている。なぜすべての生物に体内時計が備わっているのだろうか?
体内時計は、進化上最も古い細胞に起源を持ち、昼間の有害な紫外線下でのDNA複製を回避するために獲得した機能であると考えられている。結果として複製は夜間に行われることとなった。
今回、体内時計を「速める」「遅らせる」という正反対の働きを持つ2種類のたんぱく質が、細胞内でバランス良く働くことで約24時間周期が保たれることを、東京大学の深田吉孝教授らの研究チームがマウスの実験で明らかにした。28日付の米科学誌セルに論文が掲載された。睡眠障害など体内時計に関わる病気の診断や治療に役立つ可能性があるという。
研究チームは、約24時間周期で増減を繰り返すCRY(クライ)というたんぱく質に作用する「FBXL3」「FBXL21」という構造の似た2種類のたんぱく質に着目。それぞれのたんぱく質を作れない遺伝子組み換えマウスを暗闇で生活させて調べたところ、CRY分解作用を持つFBXL3は体内時計を速め、CRYを蓄積させるFBXL21は時計を遅らせることが分かった。両方のたんぱく質ともない場合は、数週間後に行動リズムが完全に崩れた。(2013年3月1日 読売新聞)
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参考HP Wikipedia:概日リズム 東京大学プレスリリース:時計タンパク質CRYを分解攻撃から守る新しい体内時計の振動原理