声の小さい部下とそれにイライラする上司、わがままなのはどっち?

  by みけ  Tags :  

「採用した理由は、いちばん声がでかかったから」
そんな話を聞いたことはありませんか?

大きな声ではきはき挨拶し、返事のできる人は、多くの場面でいい印象を持ってもらえます。上司としても「やる気があるな!」と好ましく思うでしょう。

一方で、わざとか?と思うほど、小さい声でぼそぼそとしかしゃべれない人もいます。たとえ無遅刻無欠勤でも、上司としてはいまいちやる気を感じられず、イライラしてしまうもの。「きちんと指導しないと」と思われるかもしれません。

しかし、そもそも”声が小さい”というのは『指導』の対象となることなのでしょうか。

声の小さい人が存在する理由

声の小さい人、というのは存在します。
子どもとはかぎりません。いい歳の大人だったりもします。

なぜ声が小さいのか

“身体的な理由があって”というケースはむしろ少なく、たいていの場合、本人も、なぜ自分は声が小さいのかわからないことが多いのです。
原因として考えられることは、やはり心理的な理由でしょう。

・自分の発言に自信が持てない
・そもそも自分に自信がない
・つねに失敗のイメージがつきまとう

何がこういった心理的理由を引き起こしているのでしょうか。おそらく一度のトラウマレベルに大変な失敗経験よりも、長期間コツコツと、慢性的にちいさい失敗経験をつみ重ねてしまったことが原因と考えられます。

自覚ができないことも

時間をかけて徐々に、かつ全く無意識のうちに声を小さくしていくため、他人に指摘されるようになるまで”自分は声が小さい”と気づかないことも少なくありません。
明らかに声が小さいのに、本人はどうしても自分の声が小さいとは思えないというケースはめずらしくないのです。

自分よりも声の小さい人に、人がいらいらする理由

たいていの人は、極端に声の小さい人にイライラします。

なぜイライラするのか

・コミュニケーションがスムーズにいかない
・何度も聞き返さないといけない
・とにかくなんか感じ悪い

イライラする理由としてあげられるものはいろいろありますが、大元となる理由はなぜ大きな声を出さないのか、やろうと思えばできるはずという不満です。

“極端”かどうかは、その人の常識で判断されるため、本人の声の大きさが基準に影響をあたえているでしょう。自分よりも声が小さいかどうかになります。
普段声が小さく相手をイライラさせてばかりの人が、誰かに対して声が小さいなあとイライラすることもあります。

人は自分があたりまえにできることは、相手もできるはずと期待するのです。

声のボリュームに差のある2人が上司・部下として関わる場合何が起きるか

声の小さくない方が常にイライラします。

声の小さくない方が上司だった場合どうするか

おそらくは何かしらの方法で、声のボリュームを改善するよう促すでしょう。
注意という形のこともあり得ます。

声が小さいということはビジネスにおいて一般的に、改善を要求されてしかるべき欠点と認知されているからです。

声の小さい部下は改善を要求された場合どうするか

落ち込むか、ふてくされるでしょう。
さらに声が小さくなるケースも少なくありません。

声の小さい人は、昨日今日そうなったわけではないため、社会人になる前に周囲から指摘され”あなたは声が小さい”と知らされているものです。まずまちがいなく、声を大きくする努力をすでに経験しているでしょう。

ひょっとすると”大きすぎるくらいの声でしゃべろう””3メートルくらい離れていると思ってしゃべろう”と、すでに心がけていたかもしれません。入社前の春休みに、毎日ヒトカラで練習していたかもしれません。

イライラを抑えられない上司と改善できない部下、折れるべきなのはどっち?

上司の言い分は、自分本位のものではない

まず上司の言い分としては“できるようになるまで努力しなさい、円滑なコミュニケーションを心がけるのは仕事のうち”というものがあげられます。

また、“あなたのためでもある”という言い分も、けしてきれいごとではありません。声が小さいということは、ほぼ100%、本人にとってハンデになります。

でも部下にも言い分はある

部下の一番の言い分として“なぜ誰にも迷惑をかけていないことを欠点あつかいするのか”というものがあげられます。

“ぼそぼそ小さい声でしゃべられるとイライラする”と言われても、それはイライラするほうが悪いのではないのか。聞きとれなければその都度、訊き返せばすむことだから、コミュニケーションの点で騒ぐような問題はないはず、というものです。

結論:部下が優秀なら上司が折れるべき、将来の幅を広げたいなら部下が折れるべき

声が小さい、という指摘が地雷の人もいる

「何で声が小さいのか」という一言は、相手のヒューマニティーを否定する指摘にもなります。

前述したように、声の小さい人はこれまでに何度もその注意を受けています。声が小さいと苦労するということも、身に染みてわかっています。なのに、改善できないでいます。

なかには、他のどんな欠点よりもそのことを気にしている人もいます。当たり前にできるはずのことが、なぜできないのか。

声の問題は、根の深いメンタルの問題から引き起こされています。「声が小さいくて変」と扱われたことのない人には想像しにくいことかもしれませんが、意識して大きい声でしゃべればすむでしょ?というほど単純な話ではありません。

声の小さい人を指導して改善させようと思えば、おそらく長期間、ことあるごとに声が小さいと指摘しなければならなくなります。自分が非常に気に病み、そのためにたくさん損をし嫌な思いをしてきた欠点に、毎日触れられる職場・・・”たえられない”という結論を部下が出したとしても、決して大げさではないでしょう。

もしその部下が優秀で、上司や会社にとって必要な人材なら、声のボリュームには目をつぶった方が賢明です。

腹をくくると、チャンスにできるかもしれない

声が小さいという問題は、克服できる問題です。
そして克服できれば、もう二度と、声が小さいためにする嫌な思いをしなくてすみます。

なかなかうまくいかないことも、良くなってきたかと思ったら嫌なできごとが続き元通り・・・なんてこともあるでしょう。すでに努力してきた人は”努力してもどうしようもないこと”と感じているかもしれません。

しかし、けしてどうしようもない問題ではありません。ただ難しい問題で、克服するのに時間がかかるというだけなのです。松岡修造さんの名言のように、100回たたかないと壊せない壁だから、50回や60回ではびくともしないだけなのです。

だからこそ”仕事という逃げられない場で、上司という関わらなければならない人が、やたら声のことをうるさく言ってくる”という状況を、チャンスとして利用するのも一つです。

言われるまでもないことでしょうが、声が小さくない方が人生の幅は広がります。

●記事内の画像 写真ACより

はじめまして。 みけと申します。 読んだり書いたりが好きなので、 自分にできるライティングの仕事をしています。 (クラウドワークス ユーザー名:mi_ke)

ウェブサイト: http://web-note.blog.jp/