絶品!アナグマ鍋を作ってみよう!!

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そろそろ寒くなって来たので「鍋」とかいかがでしょうか?そこで今回は「鍋にしたら熊よりも猪よりも美味い」(猟師 談)と言われる「アナグマ」を使って美味しい鍋を作ってみましょう。

まず、その前に「アナグマとはなんぞや?」って所をざっくり説明しますと、ちょっと見た目が狸っぽい何かだけど実はイタチ科で、やたら長い穴(50~100メートルにも及ぶ)を掘って家族単位で暮らしているイタチ科の動物らしいです。夜行性で夜は餌を求めて徘徊し、昼間は巣穴に戻って寝ています。
ちなみに見た目が狸に似ているので食材として敬遠されがちですが、実は狸はイヌ科でまったくの別物です。良く狸汁は臭いと言われますが、アナグマさんは意外と癖がないのです。旬はやはり冬眠前の晩秋が脂が乗っていて最上とされ、食べ方としては鍋が一般的です。

と、言う訳で罠に掛かった「アナグマ」を解体して調理する訳ですが、まず脂が多くて解体するのは大変そうでした。特に皮を剥ぐのが面倒なようです。
ここら辺の写真は撮っていませんが、生前のコロコロした可愛い姿は影も形もない感じですね。でも、コレが「肉を食べる」と言う事であり、そこら辺を忘れずに心して調理に掛かるとしましょう。

肝心の「アナグマ」の肉質ですが、非常に柔らかいです。言うなれば「ウサギ」に近いような?あと脂身が多いのですが、その脂が非常に上質な予感がしました。ちゃっちゃと作業しないと脂がどんどん溶けてしまう感じは、マグロなどの魚の脂に似ていますね。

では、ここらで材料の紹介をしておきましょう。

アナグマ・・・700グラム前後
大根  ・・・半分
人参  ・・・1本
牛蒡  ・・・1本
しめじ ・・・適量
舞茸  ・・・適量
えのき ・・・適量
水菜  ・・・適量
味噌  ・・・適量

やや「適量」の表記が多いのは気になりますが、そこら辺は適量でお願いします。しいて言うなら、とりあえず味噌はチョイ少なめにしておいて、足りなかったら足すようにしましょう。最初から全開で味噌を入れると水を足す以外に救済出来なくなってしまいます。

ちにみに「獣系鍋」の場合は大根などの「根菜類」で仕立てる感じになります。かなり灰汁(あく)が出るので白菜などの葉っぱ系を入れると灰汁取りが大変です。どうしても入れたい場合は最後に水菜を入れるくらいにしておきましょう。

まず大根は短冊切りにして下茹でします。大根は米の砥汁で下茹でするとか言われますが、普通に水道水で大丈夫です。鍋の味付けも濃い目なので、そんなに繊細に考えなくても良いのです。

次に鍋に適量の水を入れて火にかけ、短冊切りにした人参、先ほど下茹でした大根、ささがき(ゴボウの切り方のひとつ)にした牛蒡(ゴボウ)を入れます。とにかく「獣系鍋」のキモは「牛蒡」にあると言っても過言ではありません。コイツがいい感じに鍋をまとめてくれるので必ず入れましょう。

そしてメインの「アナグマ」の肉を投入します。ちなみに「アナグマ」の切り方ですが、比較的大きめに切っておいて下さい。肉類は火を通すと悲しいほどに縮むので。

あと大事なのは「なるべく骨付きのまま使う事」ってのも重要です。特に肋の周り(スペアリブ)は背骨から外して骨ごと使いましょう。骨に付いていると肉も縮みにくいので肉が固くなりません。そして骨からも良い出汁が出るのもメリットです。「アナグマ」の場合は肋骨も小さいので二本ずつ切り分けると良いでしょう。

無論、やたらと多い「アナグマの脂」も入れます。コレが「アナグマ鍋」の一番美味しい部分なのです。

「こんなに大量の脂身を入れて大丈夫なのか?」

と思える程の脂ですが「アナグマ」の脂は臭みもなく比較的あっさりしているので大丈夫です。逆に、この脂を全部外して鍋にした場合、非常に残念な鍋になってしまいます。

肉を入れて弱火でじっくり煮ていきます。と、言いたい所ですが「アナグマ」の肉は柔らかいので、そんなに長時間煮込む必要はありません。良く煮込み系の料理は

「煮込めば煮込むほど美味しい」

と言われますが、それはチョット間違っていますね。どの食材にも煮ていくうちに味のピークが訪れるので、それ以上煮ても柔らかくはなりますが、肝心の味が抜けてスカスカになってしまうので、必要以上に長時間煮る必要はありません。

でも、鍋として考えると肉にも味を染み込ませたい所。そこで一度ふつふつと軽く沸騰して灰汁を取ったら火を止めましょう。野菜などの煮物や「おでん」も同じですが、味は冷めていく時に染みこむので、ただただ加熱し続けるよりも、冷ました方が味が染みるのです。

「獣系鍋」で大事なのは、この時に鍋の蓋をしない事です。それなりに臭いがキツいので蓋をしたまま煮込んだり冷ましたりすると獣臭さが抜けません。なので蓋をするのは鍋が冷めてからにして下さい。

そして翌日、再び灰汁を取りながら温め直します。この時に「キノコ的な何か」を入れましょう。前日から入れても良いのですが、筆者的には「舞茸」とか超好きなのでキノコの風味も残しておきたい。なので比較的最後の方に入れます。

そして火を止めて小一時間ほど放置プレイ。再び温めれば「アナグマ鍋」の完成です。理想を言うと、もっと牛蒡の香りを活かしたいのですが、牛蒡は臭みを取る効果もあるのでコレばっかりは最初から入れておかなければなりません。

味の方ですが、あんだけ脂身を入れたのに凄いあっさりした鍋に仕上がっています。と、言っても「獣系鍋」なので、それなりの獣感も残っていますが「猪」などに比べると淡麗系と言っても過言ではないでしょう。

「アナグマ」の肉の味ですが、これは美味しいとしか言えませんね。今回はリブ周りが手に入ったので「背ロース」も小さいながら鍋に入れました。この柔らかくてクセがない「背ロース」と、荒々しいスペアリブの対比が堪りません。牛肉や豚肉とも違うけど犬肉でもない・・・しいて言うなら肉質はやはり「ウサギ」に近いのですが、味の方は独特で「アナグマの味がする」としか例えようがありません。

そして鍋料理の良い所は鍋のあとの「おじや」や「うどん」が楽しめる所です。鍋に残った出汁を使い最後まで余すことなく美味しく頂きましょう。

と、言うわけで今回は「アナグマ」を使った料理を紹介しました。滅多に手に入る食材ではありませんが、狸と違って非常に美味しいので、もしも罠などに掛かった場合は丁重に処理して、肉になったアナグマさんに感謝しつつ鍋にして美味しく頂きましょう。

酒と料理に情熱と脂肪を燃やすフリーライター ”日の丸構図で寄りまくる!”と言う素人写真を武器に暗躍する。美味しい料理を世界にバラ撒く”飯テロリスト”として各国の情報機関にブックマークされたが反省はしていない。 取材依頼(新店舗、新メニューのPR)その他記事の執筆依頼は下記のメールアドレスまでお願いします! [email protected] なんとなく作ったサイトも絶賛稼働中! http://foodnews.jp/

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