昭和33年竣工の東京タワー
学校での体刑は戦前はなかった。戦後突然流行した?
最近は昭和ノスタルジアのせいか、昭和30年頃をむやみに美化する風潮がある。
「昭和30年頃は経済は高度成長で貧しかったが人々は清く正しく生きていた。今のような凶悪犯罪などなかった」等という人は多いのだが、事実は大幅に異なっているようだ。
たとえば、「体刑」である。学校教育での「体刑」は、なんと戦後昭和30年頃に突然始まったものらしい。戦前はなかった…こんなことを当時の新聞は報じている。
昭和26年7月17日の朝日新聞夕刊のコラム「今日の問題」には、戦前生まれの小学校の老校長の話として、こんなことが書かれている。
「若い先生たちがネ、宿題をやってこない児童を片っぱしから立たせたり、罰として拭き掃除をやらせるのです。体刑ですヨ。こらしめればしつけができないというのですし、軍隊の往復ビンタの頭が残っているのでしょう」(引用一部改変)
驚くべきことだが、戦前の学校では生徒を立たせたり罰をさせたりしなかったのだろうか?どうもそうらしい。当時の記者は、
「戦前の自由主義時代を経ている老校長の方が民主的なものの考え方を身につけていて、軍国時代の訓練を受けた若い先生たちがかえって命令や号令や体刑で子供をしつけようとしている」と書いている。(引用一部改変)
軍国主義の名残でガンガンやりまくった教師が相当いたようである。それが今の体罰にも名残を引いているのだ。
若手官僚「軍国主義の行政のほうが望ましいと思います!」老局長「民主的じゃないよ…」
もっとおどろくべき話も出ている。文部省(当時)では、若手官僚に法案を考えさせると、軍国主義的な、まるで戦時中のようなものを持ってきたというのだ。老局長がびっくりして「民主的じゃないじゃないか」とたしなめたら、「(戦争中のように)もっと統制された強力な行政が望ましい」と言い出したというのである。
昭和ノスタルジアは虚構のものであったという所も多分にあるのではないか。
(写真は昭和33年竣工の東京タワー ウィキペディア http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:TaroTokyo20110213-TokyoTower-01min.jpgより)