『Day of the Dead』というメキシコ産のクラフトビールがある。しかもラベルが全部ガイコツというヤバそうなもの。
『Day of the Dead』とはメキシコをはじめとするラテンアメリカの祝日でスペイン語では”Día de los Muertos”だ。直訳すると死の日で日本語では「死者の日」と訳される。死者をしのび、友人知人や家族が集まり語り合う。日本でいうところのお盆と似ていなくもない。しかしラテンアメリカ諸国なので、そこはお祭りとなりメキシコでは盛大な祝祭が執り行われるという。
さて、その名とラベルを冠したクラフトビールではあるが、全部で6種類もある。それぞれを見てみよう。
苦みの数値別
写真は苦みの数値別に並べたもの。左から右にいくほど苦みの指数が上がる。ただし、絶対的なものではなく人の味覚には差があるのであくまでも参考程度に見てただきたい。
左からヘーフェバイツェン(12)、ポーター(18)、チョコレートスタウト(18)、アンバーエール(30)、IPA(80)、ダブルIPA(80)といった具合だ。原料も製法も異なるので同じシリーズとは思えない味の違いを楽しむことができる。
アルコール度数別
さて、味も違えばアルコール度数も違う。同様に左から右へ行くほどアルコール度数が高くなる。
ポーター(5.0%)、チョコレートスタウト(5.0%)、ヘーフェバイツェン(5.5%)、アンバーエール(6.1%)、IPA(7.0%)、ダブルIPA(7.0%)と、なかなかストロングなものもあり自分がしのばれることのないように気を付けながら試飲することにする。
3種類を厳選して試飲
試飲は3種類とした。全部飲むと最後は味どころではなくなってしまう可能性があるためだ。
苦み指数の低いものから高いものにかけて3種類を選んでみた。また試飲の順序は酔いが回りきらないようにアルコール度数の低いものからにした。
ヘーフェバイツェン
「ヘーフェバイツェン」はその名も知れたドイツの製法である。金色のライトな味わいで、日本のビールを飲みなれている方には難なく飲むことができるだろう。アルコール度数も5.5%で日本のビールと大差ない。
キンキンに冷やしても、大昔のビールのような冷やさなくてもガツンとくる確かな苦みが感じられた。のどごしと舌の奥で味わう苦みのバランスが取れた感じがした。
アンバーエール
「アンバーエール」は英国発祥の上面発酵。歴史のある製造方法でコハク色が美しい昔ながらのビールだ。グレープフルーツのような苦みで口に含んだ際の香りもフルーティーである。ただし、アルコール度数は6.1%と若干高めなので、飲みやすいのだが酔いには注意か。
ダブルIPA
「ダブルIPA」のIPAとは”India Pale Ale”の頭文字をとった略号。その名の通りインドに関係するが、インドといえば昔は英国。英国東インド会社向けの輸出用ペールエールビールとして開発されたのが起源。ホップをきかせて輸送中の腐敗や痛みを防いだとされる。
さて、2度もホップを投じる製法で7%という高いアルコール度数とは裏腹に、香りはフルーティーというよりも花の香りに近い。苦みは確かにあるが、花の香りが心地よく苦味は忘れるほど。ただし、やはり7.0%のアルコール度数はだてではなく、徐々に酔いが回ってきたのは言うまでもない。
クラフトビールはその銘柄で特徴のあるビールを醸造しているケースが多いが、『Day of the Dead』シリーズは多くの製法で全く違うビールを製造しているため、個人の好みに合うビールを見つけやすいという特徴がある。
1本ずつ手に取って飲み比べて、これから到来するビールシーズンに向けて自分好みのビールを探してみてはいかがだろうか。
※写真はすべて記者撮影