リンカーンセンターは大きな3つの建物がコの字型で並んでおり、”コ”の真ん中に大きな噴水がある。ニューヨークのランドマークであり、多くの映画でこの風景が使われた。
さて、その大きな大きな箱物のひとつDavid H Kochシアター(写真参照)で、7月20日から7月24日までシカゴ宝塚歌劇OGバージョンの『シカゴ』が上演される。ケーブルテレビで平日朝7時から8時まで日本語放送が流れるのだが、上演当日までコマーシャルを流していたり、Youtubeの広告に頻繁に出てくるので売れ行きが厳しいのかな?と思っていた。
私自身は宝塚を観たこともなければ、取り立て興味もなかった。オペラ、歌舞伎、文楽好きで、オペラのスケールと芸術性の高さを知ってしまうと、ブロードウェイのミュージカルもどうもイマイチ感動まで届かない。しかもミュージカルの劇場は椅子も空間もリンカーンセンターのゴージャスな快適さとは雲泥の違いだからだ。そんなこんなでニューヨーク在住だし、宝塚には縁もないし…..と。
でも、急遽初日に当日券で『シカゴ』観劇を昨夜した。
Youtubeで姿月あさとの歌う姿を見て『この人を見てみたい』と熱を帯びるように思った。私は自分で結構厳しい批判をエンターテイメントにはする方だと思うし、日本のエンターテイメントは確実にアメリカと比べて格下に思っていたけど、宝塚は100年の歴史もありその美しい立ち姿の姿月あさとがニューヨークに来ているなら見るしかないだろうと。
結論から言うと観客はほぼアメリカ人中心でフルハウスに近かったが、観客のノリの良さと何より元宝塚であるOGは訓練を鍛錬を重ね、熟練のエンターテイナーなので、アメリカなんざには負けていないのである。そりゃそうだろう、日本は精密機械に強い、繊細である、踊りだって大味なんかではない、精密機械のようにすべて精巧なダンスが繰り広げられる。
圧巻なのは『シカゴ』上演後、宝塚のレビューを短くアレンジしニューヨーカーに披露してくれたことだ。衣装が鮮やか、大胆なダンスだけど、そこはかとなく品がある。そこは清く正しく美しくの世界で”100年続く宝塚だもの”のお家芸と言える。
声量があるし、歌もとびきり上手いし、選ばれぬかれたエンターテイナーで本当の実力者たち。
男役がズラ~っとスパンコールのついたスーツを着て出てきたときは度肝を抜かれた。主要演者はすべてトップをとってきた宝塚の男役、カッコよすぎる。まぁ、何が凄いかと言うとレビューの終わりには会場総立ちで拍手、喝采、興奮の渦!熱気が凄い!日本人よ、これは凄いぞ!
6回公演で主演は元トップ3人が2公演ずつ。しかし最後の宝塚ショートバージョンのレビューでは全員が出演する。昨夜はお目当ての姿月あさとがビリー・フリン役でなかったので残念に思っていたが、最後の最後のレビューでご本人を双眼鏡でドアップで見ることが出来た、美しかった、美しかった。
節約しながら堅実に生きる私だが、姿月あさとがビリー・フリンを演じる千秋楽に観に行こうと思う。同じ公演でもまた見たいんだから!ここまで思わせる宝塚の力、ハンパなし!
画像:flicker from YAHOO!
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