米国アカデミー紀要電子版電子版は、京都大学が発表した白血病を引き起こすウイルス「HTLV-1」のメカニズムについて発表しました。
HTLV-1というウイルスは、授乳や性交渉で感染するとされています。感染後は免疫を司る血液中のT細胞に寄生して、白血病を引き起こすことがわかっています。日本人は、HTLV-1の感染者が最も多く、世界中の感染者のうち1割ほどを占めていると言われています。
ただし、ウイルスに感染した人全員が発症するわけではありません。発症率は、ウイルスに感染した人のうち、約5パーセント程度。ウイルスに感染している人は、北海道、四国、九州、沖縄に多いとされています。
縄文時代から感染者がいたという研究もあります。そのことを考えると、ライフスタイルの変化によって、感染者が増えたといったわけではないのかもしれませんね。
京都大学の研究者らは、本来ウイルスの感染を退ける役割をしているT細胞になぜ、HTLV-1が寄生するのかという疑問について、未成熟なT細胞が持つタンパク質が減ると、HTLV-1が感染しやすくなることを指摘しています。
HTLV-1が白血病を引き起こす確率は5パーセント程度です。そのため、感染者の発症を防ぐ方法については劇的に進んではいないようです。とはいえ、今回発表された研究が進むと、HTLV-1の感染を抑えるタンパク質を抽出したり、ワクチンを作ったりできるのかもしれませんね。
※写真は足成から http://www.ashinari.com/