沖縄で抗議運動をする日本人に言いたいこと

  by nyank02  Tags :  

   沖縄に移住した日本人がネットにこんなことを書いていた。
   「我が子が辺野古の新基地建設抗議運動に参加した。沖縄の無関心な大人よりも偉い」、と。
   しかしそれは、沖縄人である私としては、素直に受け入れ難い言葉である。
   はっきり言うと私は、この子供は偉くないと思う。何故なら、日本人は基地賛成派・反対派に限らず、全ての人間が等しく沖縄に基地を押し付けている加害者だから、その加害者が、被害者の負担を取り除く努力をするのは、当然の義務であって、わざわざ自賛すべきことではないからだ。
   こうしている間にも基地は、現在進行的に沖縄人の生命・人権・財産にマイナスの影響を及ぼしている。辺野古で抗議運動をしている全ての日本人左翼とその子供の罪も、現在進行的に重みが加算されて行っていると考えなければならないだろう。
   私はそのような理由から、沖縄で抗議運動を行う日本人を偉いとは思わないし、まして抗議運動を行う自己を引き合いに出して被害者である沖縄人を批判的に論じる手合いにはウンザリせざるを得ない。強盗が被害者に「もっと被害に敏感になれ」と説教するのと同然の恥知らずな行為である。
   沖縄人は基地を押し付けられている被害者なのだから、無関心であろうと、なかろうと、加害者の日本人に責められるいわれはない。
極論すれば、辺野古で抗議運動をしている全ての沖縄人は今すぐ抗議運動を辞めて己の仕事や趣味に人生を費やすべきであり、その替わりに、全ての日本人が自腹を切って沖縄にやって来て、自己の人生を犠牲にして辺野古で抗議運動をすべきなのだ。そして熱心に運動したとしても、基地によって奪われた沖縄人の生命が返ってこない以上、その罪は永遠に消えることはない。

   日本人左翼の抗議活動は一見立派なもののように見える。しかしその本質は、基地を押し付けることで沖縄人の土地を間接的に強奪し、さらに移住することで直接的に土地を強奪し、あげくは雇用までをも強奪し、基地問題に関心を持つことすら強要する、という、何重ものサディスティックな快感の充足で塗り固められている。

   仲井眞県知事が辺野古埋め立てを承認した際、日本でも左翼の激しい批判に晒された。だが、そもそも日本人が基地を押し付けなければ仲井眞元県知事は批判に晒されなくても済んだのだ。仲井真元県知事を悪者に仕立て上げたのは他ならぬ日本人なのだ。
   「漢奸」という言葉がある。戦時中日本人が中国での占領政策を円滑に運ぶために抱き込んだ現地人を指す蔑称であるが、仮に仲井眞元県知事を漢奸であるとするならば、漢奸を生み出した元凶は日本人なのだから、漢奸を批判する権利は沖縄人のみが有するのであって、日本人には漢奸を批判する権利は存在しない。日本人は日本人である以上、仲井眞元県知事や、辺野古で沖縄人に暴力を振るう県警の警官や機動隊よりも遥かに罪が重い。

   戦後から今日まで70年にも渡って沖縄人は基地に対して怒りを上げ続けてきた。しかしその間日本人は沖縄人の訴えを聞き入れるどころか残酷に黙殺してきた。そんな絶望的な状況に打ちのめされて運動から離れていった県民も多い。沖縄の若者達が基地問題に無関心なのは、そんな打ちのめされた大人達に影響されて、基地問題に関わるとロクなことにならないと考えた部分も大きい。基地問題を巡る沖縄人の感情には日本人にははかり知れない複雑な事情があるのだ。
   そんな事情もロクに知らない日本人左翼に「無関心」を批判され、右翼には「売国奴」呼ばわりされ、その他大勢の能天気な日本人観光客からは「従順でお人好しな沖縄人像」を強要される。全く、たまったものではない。沖縄人はいつまで日本人に振り回されなければならないのだろうか?
   抗議運動をやるなら黙ってやれ。黙れないなら出ていけよと言いたい。

趣味で夏目漱石を研究しています。漱石ネタ、時事ネタ、節約術等々、幅広く書く予定です。ブログhttp://iroiro915.blog.fc2.com/ ブクログhttp://p.booklog.jp/users/goya0000

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