「統合失調症」の原因は“記憶シナプス”の減少?幻覚、妄想の症状は悪霊の影響?

  by なみたかし  Tags :  

 統合失調症の症状、幻覚・妄想

世の中にはまだまだ原因不明の病気は数多く存在する。統合失調症もその一つで、2002年8月、それまで「精神分裂病」と呼ばれてきた病名を「統合失調症」に変更した。統合失調症とは、思考や行動、感情を1つの目的に沿ってまとめていく能力、すなわち統合する能力が長期間にわたって低下する病気である。

人は多かれ少なかれ、いつでも一貫した思考や行動をすることは難しい。特に疲労、ストレス、不安、身体疾患の時などには、こうした統合機能は動揺しやすい。いわゆる「集中できない」という状態には誰でもなる。そんなときは休養をとるのがふつうである。

では何をもって、統合失調と医師は診断を下すのであろうか?実は、症状の中にある種の幻覚、妄想、などがある場合に診断を下すことが多い。いったい幻覚、妄想とは何だろうか?

それ自体が説明がつかない症状であるが故に、病気と診断されているようだ。実際、この病気の原因は十分明らかにされておらず、単一の疾患であることにさえ疑いが向けられている。

一方、何らかの遺伝的な脆弱性と環境的な負荷、とくに対人的な緊張が重なって発病に至ることは、ほぼ認められている。とくに再発に関する研究では、患者に対する強い批判が、緊張を高め、再発率を上げることは知られている。

日本全国で約67万人の患者が治療を受けている。治療薬は、従来は、幻覚や妄想、興奮を抑える脳内のドーパミン神経系に作用する薬物が用いられてきたが、最近では自発性を高め、考えや感情の筋道をまとめさせる、セロトニン神経系にも作用する非定型抗精神病薬が導入され、治療効果を高めている。(日本精神神経学会)

今回、国立精神・神経医療研究センターが、統合失調症のさまざまな症状が、記憶や感情を担う脳内ネットワークを構成するシナプスの減少によって生じる仕組みの一端を、霊長類のコモンマーモセットの研究で示した。霊長類を使って記憶や感情を担う脳神経細胞の発達過程を調べた初の定量的研究で、精神疾患解明の手がかりになりそうだという。以下にその概要を掲載する。

 記憶シナプス減少が統合失調症に関与か

ヒトを含む霊長類は、生まれてすぐ脳の神経細胞同士が結合するシナプスを急激に増やし、少年期になると、不要なシナプスを刈り込んで、効率化していく。これは霊長類に特有の脳の発達で、マウスなどではこの現象は見られない。統合失調症などの精神疾患は「シナプス病」とも呼ばれ、シナプスの数が極端に減少して大脳皮質が平均よりも薄くなっていることがMRI画像で報告されている。

研究グループは、霊長類のモデル動物で、小型のサルのコモンマーモセット(体重約300グラム) を使って、大脳皮質の発達過程を詳しく調べた。脳の海馬と強く結合して記憶や感情に関わる領野(24野・14r野)と、俊敏な判断に関わる領野(8B/9野)はいずれも乳幼児期にシナプスを増大させた後、少年期に入ると減少させていた。しかし、俊敏な判断に関わる領野は、思春期以降もシナプスを減少させていくのに対し、記憶に関わる領野は、思春期に入ると、シナプスを一定数に保っていた。

神経細胞は樹状突起の枝に「樹状突起スパイン」という情報を受け取るアンテナを多数生み出す。この一つのスパインが一つのシナプスと結びつくことを利用して、神経細胞に色素を注入して細胞ごとのスパイン数を調査した。スパイン数も乳幼児期に増えて、少年期に減ることはいずれの領野でも同じだった。しかし、俊敏な判断に関わる領野は思春期以降もスパインを減らしていくのに対し、記憶に関わる領野は思春期以降スパインを一定数に維持し、シナプスとよく似た変動を示すことも確かめた。

記憶の領野が思春期以降シナプスやスパインを減少させないこの現象は「海馬から常に情報を入手し、記憶を維持していくために必要なため」とみられている。今回の発見から研究グループは「通常は一定数に保たれている、記憶や感情に関わるシナプス数の減少が統合失調症の発症に関与しているだろう。統合失調症の発症時期が思春期から30歳ぐらいまでであることも、この現象の関与を裏付けている」と結論づけた。

一戸紀孝部長は「俊敏な判断を要求される領野でシナプスが減り続けるのは、経験で直感的な判断ができるように、不要なシナプスが刈り込まれているのではないか。一方、記憶関連領野では、経験で新しいシナプスが生まれ、古いシナプスが排除されて、シナプスが一定数に保たれている可能性が大きい。記憶関連領野のシナプス維持に関わる遺伝子を解明すれば、統合失調症治療の新しい道が開ける」と期待している。(サイエンスポータル:2014年8月6日)

 依然として残る幻覚、妄想の謎

以上が、研究の概要である。つまり、神経細胞どうしのつながりである、シナプスをつくることで、記憶は維持されるが、統合失調症は全体的にシナプスが少なくなっている。特に、記憶関連領野では、ふつうシナプスが一定数に保たれているはずだが、記憶関連領野でも少なくなっているというのが、病気の原因であるというのだ。

仮にそうであっても、なぜシナプスの減少が、幻覚、妄想を引き起こすか説明になっていない。統合失調症患者のほとんどは薬による治療を受けている。その薬の副作用ではないかという説もある。しかし、幻覚、妄想があるから薬を服用しているのであるから、これは本末転倒である。

朝日新聞の記者が、幻覚が見えたり、幻聴が聞こえたりする「統合失調症」の患者の苦しみを理解するための疑似体験講座に参加したレポートを記事として掲載したことがある。興味深いレポートなので少し紹介してみたい。

レポートによると、体験講座では、精神保健福祉士のスタッフが統合失調症の症状や治療薬を説明している最中に、どこからともなく「ふふふ……ふはははっ……うーん」「薬飲んでるで」「あかん、あかんて」などと、低くつぶやく声が聞こえてくる。

これは、会場に設置されたスピーカーから流れてくるのだが、この音声とともに、前方のスクリーンには不可解な映像が映し出される。そうした状況の中で、体験者の多くがスタッフの説明に集中できずにイライラし始め、記者自身も2つの声が入り混じって聞こえ、頭をかきむしりたくなったという。

レポートでは、こう結ぶ。「周りの人に見えていないものも、本人には見えている。それを『ありえへん』と言ってしまっては人格否定につながる。本人にとって、信じてもらえないことはしんどい」…と。

我々は、「統合失調症」という病名を聞けば、一応納得してしまいがちだが、実際には何もわかっていない。統合失調症の治療法としては、抗精神病薬を処方されることが多いが、副作用があるにもかかわらず効果も薄いという。

医学的な原因にも様々な仮説があり、解明されていない。現代医学では、「なぜ脳が幻聴や幻覚を生むのか」というアプローチに終始しているようだが、それでは本当の意味でこの症状を理解することはできない。ここで。もう一つの考え方を紹介しよう。それは、その人が患者であったとしても、その人が見ているものが実際にあるという考え方だ。

 統合失調症のもう一つの見方 

本当に理解しようとするならば、決して外してはいけないポイントがある。それは幻覚や幻聴ではなく、本人には本当に霊が見えていたり、霊の声が聞こえている場合があるということだ。稀に天上界の高級霊によるものもあるが、それを受け取れる“器”になるには相当の心の修行が必要であり、大半の人のそれは「悪霊」によるものと言っていい。

「悪霊」というと、「何を馬鹿な」と一笑に付すのが、現代の文化であるが、夏に行うテレビ番組では、心霊写真などハッキリと目に見える形で出てくる場合は、あまり笑えない場合も多い。説明できないことが実際に起きているからだ。写真に写る霊は「悪霊」が多いと番組の中では説明する。

「24人のビリー・ミリガン」という本の中には、24もの人格を持つ、実在した多重人格者が出てくる。立派な「統合失調症」である。これも現代科学では説明できないが、霊という観点を受け入れると説明できる。24人の人格、その多くは「悪霊」によるものかもしれない。

「霊」については、「私にはわからないから、知らないことにしておこう」というのは、科学的な態度とはいえない。たとえわからなくても、調べることが科学的な態度だ。これまでの科学がそうであったように、不思議だと思う現象もいつか説明できる可能性がある。

「霊」はキリストや仏陀、マホメットなど多くの宗教家が説明している。キリストはゲツセマネの園でよく祈った。そこで、何度も精霊の声を聞いたことが聖書に記されている。こうした宗教家を現代医学で分類すると、統合失調症と診断されることになる。だが、そう思うクリスチャンは誰一人としていないだろう。

ある宗教家は、精神疾患の患者が訴える幻覚などについて、「本当に霊が見えている場合や霊の声が聞こえている場合がある」と指摘している。つまり、悪霊の影響で、通常の生活を送るのに支障をきたしている、いわゆる「霊障」の状態にあるというのだ。

 心の病には宗教的なアプローチが必要

医療者の間でも、霊的な視点を取り入れた治療が始まっている。ハッピースマイルクリニックの精神科医・千田要一氏は、患者が幻覚を訴えたとしても、霊的知識にもとづいて対応するという。千田氏は、世界的に、心療内科はスピリチュアリティ(霊性)を前提として治療するのが常識だとして、「霊的な真実は今の科学理論で説明できないだけ」と語っている(The Liberty 2013年2月号)。

もちろん、治療において投薬が必要になることはあるだろう。しかし、統合失調症の背景に霊的な作用がある以上、霊的な面からもアプローチしなければ、効果的な治療は難しい。患者が心身共に健康を取り戻すためには、医学と宗教とがともに手を取り合っていくべきである。

そうした悪霊を遠ざけるためには正しい宗教知識が必要だ。この世にもあの世にも、「波長同通の法則」があり、この世に生きる人間が怒れば、怒りの心を持った霊が寄ってくる。また、極端な自己否定の気持ちを持てば、自殺した霊がやって来て自殺するよう仕向けたり、他人を傷つけるよう仕向けたりする。この世とあの世でも「類は友を呼ぶ」のである。

では、「悪霊」を遠ざけるにはどうすればいいか。それは様々な宗教が説いている「愛」の心や「感謝」の心を持つよう努力することだ。「悪霊」とは逆の思いをもつことにより、磁石が反発するように悪霊も近づけなくなる。こうした宗教の教えは、単なる規範や道徳ではなく、「魔除け」そのものとも言える。

だが、「統合失調症」などで長期間にわたって悪霊や悪魔の影響を受けてきた場合は、悪しき部分を取り除こうとすると、本人の人格が崩壊する場合がある。「24人のビリー・ミリガン」がそれだ。

そんな場合は、悪霊と同通する思いや行いを反省すると同時に、「その人が気づいていない良さ、優れている点、苦労の中で耐え抜いたところは立派であるといった、新しい柱を差し込んで、自我を支えてやりながら、真理を注ぎ込んでいく作業が要る」という。

「統合失調症」患者を正しく理解するためには、霊的真実やあの世の理解を進め、宗教的なアプローチがなければ解決しないだろう。

画像:ゲッセマネの祈り セバスティアーノ・リッチ作http://fumonwineart.up.n.seesaa.net/fumonwineart/image/Ricci.jpg?d=a1

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