ブタの膀胱でヒトの筋肉の再生に成功

  by 香椎みるめ  Tags :  

再生医療の切り札として、iPS細胞が大きな注目を集めています。iPS細胞は、ノーベル賞を受賞した山中伸弥さんいわく「身体中のあらゆる細胞に変化できる能力を有した細胞」。とはいえ、ヒトへの移植・応用は、倫理面など越えなければならないハードルがあります。

しかし、“細胞外マトリックス”でヒトの筋肉を再生する治療は、すでに成功例が。細胞外マトリックスは聞き慣れない単語かもしれません。大雑把にフルーツゼリーで例えるなら、フルーツが細胞、ゼリーが細胞外マトリックスといったところでしょうか。

米国人海兵のロン・ストラングさんは、アフガニスタンでの戦闘で大腿部(脚)に負傷し、歩行が困難になるほどでした。ピッツバーグ大学付属病院で行なわれた手術は、瘢痕(はんこん)組織(皮膚が治癒する過程の組織)を取り除き、ブタの膀胱部分の細胞外マトリックスを移植するというもの。マトリックスは幹細胞に働きかけて、欠落した筋細胞を修復しました。

ストラングさんの術後の経過は良好で、今では歩けるどころか、友人たちと軽くサッカーができるほどに回復しているとのことです。

画像: ストラングさんの経過を知らせるニュースサイトのキャプチャーより
http://minnesota.publicradio.org/display/web/2012/09/09/health/new-medicine-veterans/

香椎みるめ: フリーのライター、英日翻訳者、校閲者の三刀流。平成生まれ。性別は秘密。ウェブマガジン「GIGAMEN」で10年、計1890本以上の記事を執筆。サッカーの観戦記から始まった物書き屋は、「Yahoo!ニュース」や「ガジェット通信」に掲載された経験も活かしつつ、今は日本市場へ参入する海外企業の皆さんとタッグを組みながら、ありとあらゆる「文字を書くお仕事」をこなす日々。

Twitter: GigaMirumeK