【日本も学ぶべき?】一度の選挙で投票2回?民意を重んじるフランスの選挙制度!

  by 荏谷美幸  Tags :  

PARIS, FRANCE – APRIL 17, 2017 : Emmanuel Macron,Shutterstock


フランス好き映画ライターの荏谷です。

現在、フランスでは総選挙の真っただ中。そして、マクロン大統領が立ち上げた新党〈前進〉が大躍進し、政界の大再編が起ころうとしています。

ここでふと疑問に思いませんか?「何で大統領が新党を立ち上げてるんだろう?」と。その秘密は、フランスの〈民意を大切にする〉選挙制度にあります。

権力の暴走を防ぐ、首相と大統領の共存制度


フランスでは、日本同様に議会から首相が選出され、内閣を組織します。と同時に、大統領は国民が直接投票で選びます。その結果、多数派政党が国民の支持を失うと、別政党から大統領が選出される〈ねじれ〉の状態が起こります。

今年5月に行われた大統領選挙では、社会党(左派)はオランド前大統領の支持率が落ち込み、共和党(右派)はフィヨン元首相の汚職疑惑に、国民の大政党への不信が募る中、既存政党に属しないマクロン氏が史上最年少の39歳で当選しました。

言わば、39歳無所属の新人が国政のトップに選ばれたのです。これ、凄いことですよね。

とは言え、マクロン氏はオランド政権(社会党)のブレーンを務めた経歴の持ち主。どちらかと言えば社会党寄りだったはずの人なのですが、なんと首相に野党・共和党のフィリップ氏を任命しました。これを機に、マクロン大統領が立ち上げた新党〈前進〉には与党からも野党からも同調者が現れ、政界大再編の呼び水となったのです。

ちなみに、本来フランスには、大統領は別政党であっても、議会の多数派政党の代表を首相に任命するという〈伝統〉があります。これも、権力を一極に集中させないための工夫ですね。大統領は主に外交、首相は内政を担当し、首脳会議などには2人同席することもあります。フランスは、リーダーや多数派政党と民意のかい離を防ぐ意識が高いので、それがこの伝統に繋がっているのかもしれません。

一部の支持団体に政治を牛耳らせない、2回投票制度

PARIS, FRANCE – May 7,2017 / French electoral card, Shutterstock

現在、世界の注目を集めているフランスの総選挙でも、民意を確実に反映する投票システムが採用されています。それは、投票が最大で2回行われるということ。各国の大統領選挙などでは、予備投票でふるいにかけられ、上位候補者の決戦投票が行われますが、議会選挙でこのシステムを採用しているのは先進国の中ではフランスだけです

1つの選挙区から選ばれるのは1人。しかし、1回目の投票で誰も過半数を得られなかった場合は、12.5%以上の得票数を得られた候補者だけで1週間後に2回目の投票を行います。

日本では1回の投票で1票でも多く票を獲得した人が当選してしまうので、組織票が強い影響力を持ってしまいます。そのため、野党は票が分散しないように、候補者を調整して〈統一候補〉を擁立したりしますよね。しかし、フランスではその必要はありません。1回目の投票で野党の票が割れて、僅差で与党候補が競り勝っても、2回目の投票で逆転することはしばしば起こります。

2回の投票は、手間もコストもかかるシステムですが、〈民意を確実に反映する〉ためには、選挙のあるべき姿と言えるのかもしれません。

右派と左派の両極端な政策に嫌気が差したフランス国民

今回の、マクロン大統領の新党大躍進の背景には、フランス国民が社会党(左派)・共和党(右派)のそれぞれに偏った政党政治に嫌気が差したところにあると思います。アメリカでトランプ大統領が誕生し、ヨーロッパでも極右政党の台頭が顕著になってきている中で、フランス国民は、どちらにも偏らない〈中道〉を掲げるマクロン大統領の新党に期待を寄せています。

大政党がそれぞれに偏りがあって、どちらも支持しにくいという状況はどこか日本と通じる部分もあるのかもしれません。今回のフランス総選挙から日本が学ぶべき点も多いのではないでしょうか?

画像出典:ShutterStock

映画、映像、エンタメ系Webライター。国内外エンタメマーケットの現場から、日本のエンタメを取り巻く空気感をお伝えします。

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