たばこの吸い殻から海洋漂着ごみまでリサイクル、「ストーリープラスチック」という新しい考え方

たばこの吸い殻からクリアファイルが生まれる!?

テラサイクルという企業を覚えているだろうか。「捨てるという概念を捨てよう」というスローガンのもと、リサイクルが困難なパッケージなどの廃棄物を世界各国で回収し、様々な製品にリサイクルを実現する、いわば「リサイクル界のパイオニア」企業のひとつだ。そのテラサイクルが、ポイ捨てなどで廃棄されるたばこの吸い殻を回収し、それをリサイクルするという「吸い殻ブリゲード」を2014年に発表し大きな話題となり、ガジェット通信でも紹介された。吸い殻ブリゲードの発表から3年、たばこの吸い殻はどのようにリサイクルされただろうか?

実はたばこの吸い殻のリサイクル工程は、日本国内で行われている。まず回転装置に吸い殻を投入し、葉とフィルターを分離する。殺菌消毒後、再び分離作業を行い、次はフィルターの紙部分を分離する。この3つの分離を経て、フィルター部分はプラスチック材に、紙の部分は再生紙に、葉の部分は堆肥として再生され、たばこの吸い殻が余すところなく再生されるという。

テラサイクルはすでに、たばこの吸い殻のフィルター部分から再生されたプラスチック材でクリアファイルと携帯用灰皿、巻き髪から再生紙としてポスターの作成に成功している。

また、吸い殻ブリゲードに登録している回収拠点は、個人・企業・団体をはじめ、3年間で募集枠の1,000拠点を突破し、新規の回収協力者は現在キャンセル待ちの状態だという。吸い殻リサイクルの今後の動向が楽しみだ。

今度は海洋漂着ごみをリサイクル!?

そんなテラサイクルが、世界規模で新たなリサイクルの取り組みを発表した。今年1月の世界経済フォーラムで「ビーチ・プラスチック・プロジェクト」を発表、海洋漂着ゴミとして海岸や海沿いにたどり着いたプラスチックごみを回収して、シャンプーボトルにリサイクルするという画期的な取り組みだ。ビーチ・プラスチック・プロジェクトは世界最大の日用消費財メーカーであるP&G社と共に取り組みを開始し、海洋漂着プラスチックから再生したシャンプーボトルを世界No.1シャンプーブランドであるHead & Shoulders (日本国内ではh&sブランドとして販売)に採用するという。すでにフランスの小売業者のひとつであるカルフールでは、今年の夏からこのリサイクルボトルが店頭に並ぶ予定だ。さらにP&G社は、ヨーロッパにおいて2018年末までに、年間5億本以上のボトルに、最大25%のリサイクルプラスチックを採用するという。

エレンマッカーサー財団(EMF: Ellen MacArthur Foundation)によれば、年間800~1200億ドルに相当するプラスチック包装材のうち95%が再利用されることなく廃棄されているという。さらに2050年までには海洋において、魚よりも多くのプラスチックが存在する恐れを訴える。

ストーリープラスチックという新たな考え方

テラサイクルでは、再生シャンプーボトルのように、本来の用途を遂げたプラスチック製品が、様々な工程を得て新たな用途として生まれ変わるプラスチックを「ストーリープラスチック」と呼んでいる。「ストーリープラスチック」が新たな物語を創り出し、「捨てるという概念」が消え、リサイクル品が一般消費財の多くに採用される将来も近いのかもしれない。

外部リンク

米国TerraCycle Inc.の日本法人。リサイクルが困難なパッケージなどの廃棄物を世界各国で回収し、様々な製品にリサイクルするグローバル企業です。テラサイクルは21カ国で事業を展開し、大手企業やブランドと恊働で使用済みのパッケージ等を回収し、原料や製品として再利用しています。廃棄物は回収リサイクルプログラムを通じて、消費者や各種団体、企業などから回収されます。このプログラムでは、協力者からの回収量によってテラサイクルポイントが付与され、そのポイントは学校や慈善事業への寄付金として交換できるシステムを導入しています。日本国内では、吸い殻、使用済みメイクアップ容器、使用済みハブラシを回収し、新たな商品に生まれ変わらせるプログラムを実施しています。

ウェブサイト: www.terracycle.co.jp

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