【3歳とは】~最近の虐待死事件を受けて保育士が思うこと~

  by yappi  Tags :  

虐待死、3歳未満が6割超え

今年に入り相次いで起こった虐待死事件。被害にあったこどもは、いずれも3歳児でした。厚生労働省のまとめによると、平成24年度の被虐待児の年齢は3歳未満が6割を超えています。

3歳の発達とは?

3歳と言えば、一般的に、食事・着替え・排泄などの一通りの生活習慣が身につき、自分でできる(しようとする)年齢です。しかし、表面上は色々な事が出来るようになった一方で、その心は多くの葛藤を抱えている時期でもあります。幼児教育の代表者モンテッソーリはその時期を「秩序の敏感期」と名付けており、ピークは2歳~3歳と言われています。簡単に言えば、こどもの中で決まったやり方にこだわる時期であり、3歳なりの「正解」の世界があるのです。そしてそれは時に大人の世界の正解とは違う為、癇癪(かんしゃく)や甘え、駄々を捏ねるという大人からすると「 困った」行動で表現されるのです。

3歳の子育ては難しい

約束を守れたかと思いきや、次の瞬間には癇癪を起こして無かったことにする。自分でやると言ったのに、すぐに「やって」と駄々をこねる。こんな事もできるようになったの、と感心した矢先に、「抱っこ~。」責め…。
この時期の育児、はっきり言ってイライラしない親はいないでしょう。
流れる時間の感覚、大事にしたいものの感覚の違いは大きく、大人の世界とは違う“自分の正解”を、いつでもどこででも全力でぶつけてくる3歳。
お互いの妥協策を見つけるまでには、相当のエネルギーと時間を使います。3歳の行動の奥にある気持ちを見つけようと思っても、道半ばで疲れてしまう…育児において、そんな悩ましい時期ではないでしょうか。

3歳児と関わる時、躾よりも大切なこと

そんな時期に、大人の社会の正解を躾として押し付けても、逆効果です。
大丈夫です、4歳になれば(この1年を乗り越えれば)こどもはまたひとつ成長の段階が変わります。自制心や忍耐力も付き、社会性を身につけていきます。
3歳が自分なりの正解をぶつけるのは、社会の中での正解を確かめ適応していく過程なのです。自分で出来る事が増え、興味も広がり、自分なりに考え主張してみる一方で、まだまだ甘えたくて、抱きしめてほしくてたまらないんです。それが、3歳なんです。

3歳と関わる時、全てを受け止めようとすると疲れてしまいます。押さえつけようとすると、力づくになってしまいます。そうではなく、あなた自身そのままで向きあい続けてください。無理に大人ぶって何かを教えようと一方的に躾をするのではなく、ひとりの人間として、嫌なこと嬉しいことを伝えてみてください。余裕がある時には、一緒に3歳の世界の正解を覗いてみてください。新しい答えが見つかるかもしれません。葛藤をしながらも、向きあい続けてくれる大人の存在で、3歳は成長できるんだと私は思います。

おわりに

私は保育士として、朝から晩まで3歳と過ごしていました。3歳は正直面倒くさいです。でも、その分たくさんの発見がある、愛おしい時期なんです。幼い命がもうこれ以上奪われることのないよう、多くの人に3歳の素晴らしさを知って欲しい、心からそう願っています。

山梨県出身。私大総合政策学部に在学中に保育士免許取得、卒業後3年間認可保育園にて働く。現在1児の母。得意分野は、海外旅行・保育・教育・育児など。