SamsungのTizenが、スマートフォンの戦争において、少し勢いを増してきた。

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 SamsungのTizenが、スマートフォンの戦争において、少し勢いを増してきた。 2015年11月5日

 By Jonathan Cheng、WSJ

 Samsung Z3スマートフォンは、同社のTizenオペレーティング・システムを搭載している。

 Tizen OSは、LiMo Foundation、Linux Foundation、および、Intelが主導するTizenプロジェクトを中心として、Samsungなどの主なスマートフォン・ベンダが共同で開発してきた、オープンソースのLinuxカーネルをベースに開発された、スマートフォン、タブレット、ウェアラブル・デバイス、あるいは、スマートTVなど情報家電用のモバイル・オペレーティング・システムである。

 モバイル・オペレーティング・システム市場を支配している、Androidプラットフォームの代替として開発された、Tizenオペレーティング・システムは、2015年1月に、初めて、Samsungのスマートフォンに搭載された。

 調査会社、Strategy Analyticsによると、2015年3Qに、このTizenオペレーティング・システムのシェアは、世界のモバイル・オペレーティング・システムの中で、まだ、比較にならない程、ごく僅か(0.3%)しかないが、Androidの84.1%、iOSの13.6%、Windows Phoneの1.7%に次いで4位になったという。

1)2015年3Qにおける、世界のモバイル・オペレーティング・システムのシェア(%)

モバイルOS      シェア

Android        84.1%
iOS          13.6%
Windows Phone     1.7%
Tizen         0.3%
BlackBerry       0.2%
FireFox        0.0%

 ソース:Strategy Analytics

 Strategy Analyticsによると、2015年3Qに、Windows Phoneは、モバイル・オペレーティング・システムのシェアの3位になり、1.7%のシェアを占めたが、2014年3Qの3.2%からは減少している。

 Strategy Analyticsによると、2015年3Qに、Tizenオペレーティング・システムを搭載した、スマートフォンは、100万台出荷され、0.3%の市場シェアを獲得したとしている。

 Tizenは、BlackBerryやFireFoxの起源にもなった、モバイル・オペレーティング・システムでもあるが、BlackBerryは、0.2%のシェアしかなく、FireFoxは、全くシェアがない。

 SamsungのTizen OSは、意欲的なモバイル・オペレーティング・システムであるが、ユーザのAndroid OSへの信頼は厚いので、あまりユーザを獲得できていない。

 世界最大のスマートフォンのベンダである、Samsungにより作成された、スマートフォンの殆どすべては、Android OSを搭載しており、Googleは、Samsungに、モバイル・デバイスのユーザ経験、ソフトウェア、および、サービスの収入に制御を与えている。

 2014年に、Samsungは、Tizenベースのスマートフォンをリリースする計画を発表したが、土壇場でキャンセルしたことがある。

Samsungは、インドにおいて、2015年1月に、Tizenベースの100ドル代のスマートフォン、Samsung Z1をリリースし、バングラデシュとスリランカにも販売地域を広げた。

 2015年10月に、インドで開催された、他のイベントで、Samsungは、第2のTizenベースのスマートフォン、Samsung Z3を、130ドルで販売すると発表した。

 Tizen OSが、ニッチな市場を開拓し、世界のモバイル・オペレーティング・システム市場で、3位になるまでには、まだ、長い道のりがある。

 Samsungの最も大きな課題の1つは、実績のない、Tizen OS用に、アプリケーションを作成するよう、アプリのベンダや開発者を説得することである。

 また、Samsungにとって、他のモバイル・デバイス、スマート・デバイス、車載システム、あるいは、ウェアラブル・デバイスのベンダに、Tizen OSを採用するよう説得し、エコシステムを拡大させていくことも課題になるだろう。

 Samsungは、Tizen OSプラットフォーム用のアプリを構築することで、アプリ開発者は、SamsungのTizenベースのスマートフォン用のアプリだけでなく、Tizenを搭載した、スマート・ウォッチなどのウェアラブル・デバイスや、スマートTVなどの情報家電用のアプリとしても販売できるようになることを、アプリ開発者にアピールしている。

 SamsungのTizen OSプロジェクトは、OSに勢いがついてきたことをアピールし、Facebookに、WhatApp用と共に、ソーシアル・メッセージングやメッセージング・サービス用に、ネーティブのTizenアプリを構築するよう説得しているようだ。

 Strategy Analyticsのディレクタ、Linda Sui氏は、Samsungは、有名なブランドであり、インドや他の新興国において確立された流通チャネルを持っているので、Tizen OSが、スマートフォンだけでなく、車載システム、スマートTVなどの情報家電、ウェアラブル・デバイスなどにも採用され、実績が上がれば、2016年には、Tizen用アプリの開発者が増加すると見ている。

 しかし、Linda Sui氏は、「Tizen OSは、まだ、初期の段階にあり、実績を上げ、適切なエコシステムを確立するには、まだ、多くの時間がかかるだろう。」と警告した。

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