アジリティーで絆を深める


アジリティー競技とは一般的に障害物競走の事を指します。飼主と犬が一緒になって障害物をこなして競い合うスポーツとして日本でも広まってきていますね。私もトレーニングにアジリティーを取り入れることがありますが、目的は競技に勝つことではありません。今日はアジリティーで愛犬との絆を深める効果についてご紹介します。
※アジリティーの練習は必ず専門家の指示の上で行ってください。専門家の監督なしで行うと怪我などのリスクがあります。

できない事を飼主と一緒に取り組む

アジリティーでは障害物を飛び越えたり、高い台の上を歩いたり、壁を登って降りたり、トンネルをくぐったりします。通常の犬であればこれらの障害物は避けて通ります。あたり前ですがリスク回避として危険な所には動物は近づかないものです。それを敢えて行うのがアジリティーの持つ意味であり、犬の能力を高める事にも役立ちます。つまり最初は大抵の場合で犬は怖がってやろうとはしません。それを飼主の誘導や励まし、褒めをもって怖がっている事を克服し、うまく障害物をこなしたら沢山褒めてもらるというトレーニングを積んでいくと、犬は「恐怖の対象があっても飼主がいれば怖くないんだ」と理解するようになります。そして障害物を上手くこなすと”飼主は喜んでくれる””いっぱい褒めて貰える”ことを理解するようになり、愛犬は自ら進んで競技を楽しむようになります。

指示の応答性がよくなる

アジリティーでは多くの指示の元に障害物を越えていきます。例えば柵をジャンプして飛び越えるなどは「トベ!」という号令をだします。トンネルなら「くぐれ」。高い台の上に登る時は「登れ」などです。これらの指示を与えられた犬はその内容を確実にこなすようになります。ここまでトレーニングが進んでいると普段のシチュエーションでも飼主の指示に対する応答性が高まります。つまりは”言う事がしっかりと伝わる”ということです。なぜなら愛犬は飼主の指示に従うと飼主が喜んでくれるのを熟知しているからです。

結局はコミュニケーション

アジリティーでは沢山の号令(飼主からの指示)と作業(犬が行う動作)で成り立つ行動です。飼主が適切な方法で愛犬を怖がらせることなくアジリティーを教えるのは中々簡単なことではありません。なにしろ普通は怖がる事ばかりですから。なので教える側はどうやったら愛犬が怖がらずに作業ができるようになるかを考える機会となります。そうすると犬の気持ちを理解しようとして犬をよく観察する必要が生じてきます。犬を観察することで愛犬の気持ちを汲み取れるようになってこそ、愛犬が抱える恐怖を克服できるわけです。相手(愛犬)の気持ちを察して、こちらの要求を理解してもらう。そして上手くできたらしっかりとお礼(褒める)をする。人間同士のコミュニケーションでも同じことが言えると思います。

コミュニケーション→克服→信頼という流れで絆を深める

アジリティーを覚えた愛犬は、飼主と共に多くの試練を乗り越えたことを意味します。こうなるまでのプロセスでは恐怖心の克服と飼主への信頼が欠かせません。飼主への信頼が無ければ恐怖心も克服できませんし、コミュニケーションが取れない相手を信頼することはできないのは犬も人も同じです。つまりはアジリティーという困難な作業を楽しんでこなすにはコミュニケーションを取って、恐怖心を克服し、飼主との信頼関係を強める必要が生じてきます。そしてこれらが上手く働いてアジリティーをこなせるようになると、飼主と愛犬の信頼関係は強化され、絆を深めることができます。

アジリティーを覚えたら公園でもできる!

アジリティーでの作業を覚えたら公園でも練習ができます。TOPの画像にあるように公園のベンチを飛ぶでも良いでしょう。愛犬は喜んで作業にかかります。上手くできたらシッカリと褒めます。これはいい運動にもなりますので散歩の道中の公園などで数回行ったりすると犬も遊びながらにして運動もできて一石二鳥ですね。
私のトレーニングではアジリティーを競うのではなく、コミュニケーションのツールとして役立てています。運動も兼ねてですね。

今回は愛犬との絆を深めるアジリティーの効果についてご紹介しました。

(TOP画像は著者撮影の物)写真は著者の愛犬のジャーマンシェパードドッグ

DBCA認定ドッグビヘイビアリスト(犬の行動心理カウンセラー)・JCSA認定ドックトレーナー(家庭犬訓練士)・動物行動学研究者(日本動物行動学会)。 警察犬訓練所でドッグトレーニングを学び、その後に英国の国際教育機関にて”犬の行動と心理学上級コース(Higher Canine Behaviour and Psychology)”を修了。ドッグビヘイビアリストとして問題行動を持つ犬のリハビリを行っている。保健所の犬をレスキューする保護活動にも精力的に取り組んでいる。 動物行動学・心理学・認知行動学を専門とし、犬がペットとして幸せな暮らしができるよう『Healthy Dog Ownership』をテーマに掲げ、動物福祉の向上を目指して活動中。 一般の飼主さんだけでなく、行政や保護団体からの依頼も多く、主に問題行動のリハビリが専門。 訓練(トレーニング)やリハビリの事、愛犬との接し方やペット産業の現状などについて執筆している。 著書:散歩でマスターする犬のしつけ術: 愛犬とより強い絆を築くために(amazon Kindle)・失敗しない犬の選び方-How to Choose Your Dog-(amazon Kindle)

ウェブサイト: http://www.healthydogownership.com

Twitter: HealthyDogOwner