日本は災害大国だが、近年では阪神大震災や東日本大震災の時を教訓に、災害発生時とその後の過ごし方について改善が図られている。それは経験と知恵に基づいた経験則でもあるが、第一に必要な非難する施設や水や食料品の確保ができ、命はつなぎとめたそのあとは、住環境の快適化が必要となる。
風呂やシャワー等の衛生環境はしばらくしてライフラインが復旧するまで当面の辛抱が必要だが、せめて着ているものや住環境のニオイ、感染対策はしっかりとしておきたい。そんなアイテムを2つ紹介する。
いずれも災害対策品として開発・販売されているものではなく、通常使いのアイテムだが普段使用している中でストックを持っておき、常備したいものを集めた。
まずは業務用の除菌・消臭用品を家庭向けにも販売するハル・インダストリから「エアソフィア・ハイパー消臭剤お試し5点セット」だ。最初からボックスに入って送られてくるので、そのまま一箱を常備品として置いておけばよい。中身の5点とは、消臭ビーズ600g、消臭ビーズ140g、除菌消臭ミスト(300ml)、瞬間消臭スプレー(420ml)、消臭ゲル(160g)だ。消臭ビーズは避難所等の仕切られた「自室」に置くことで多少の消臭効果が期待でき、瞬間消臭スプレーはゴミや空間に使用できる。今回主に使用するのは除菌消臭ミストだが、使用方法は後述する。いずれにせよ1セット持っておくだけで数か月は持つので、住環境の除菌消臭対策はできるだろう。
次に着ているものの洗濯だが、いくら消臭はしても物理的な汚れまではどうしようもない。特に直接肌に触れる下着は厄介な問題だ。洗濯・クリーニングのプロであるハッシュが開発した「ルーシーミスト」は、旅行や出張時または家庭で洗濯する時間がないときにシャワーひと掛けて選択を完了してしまう優れものだ。少量の水さえあればシャツや下着くらいの洗濯はシャワーと同時に完了してしまう。
パッケージは最近の除菌スプレーのようなカード型のクリア容器に洗剤が入っていてスプレーするようになっている。必要なのはスプレーした後に流す水だけなので、自身がシャワーを浴びれる環境になった時に貴重な水を、自分の体と洗濯物を同時に処理するために使うと考えればよいだろう。
実験として綿のタオルに油性顔料インキのスタンプ台でゴム印をくっきりと鮮明に押印してみた。さすがに油性顔料インキなのでタオルにもはっきりと印影が刻まれた。本品には折りたたみ式のハンガーが同梱されているので、それを利用すると洗濯から乾燥まで完結する。
通常は念入りに洗濯機で洗えばきれいに落ちるだろう。それがないシチュエーションでの実験だ。まずは水で濡らして流した程度だ。これではにじむくらいでインキはまったく落ちない。油性なので当然だろう。ここから石けんや洗剤でゴシゴシやれば落ちるかもしれないが、災害時でそれをやると予洗のため、または手を洗うための水が必要なのでそれはできない。
次に本品をスプレーしてみた。こすったりゴシゴシやるのではなく、あくまでも手を汚さずにスプレーしただけだ。
スプレーするととインキが溶けていくのがわかる。旅行時ならスプレーして自分はシャワーを浴びておく時間だ。
しばらくしてシャワーで流すとほとんどのインキは消え去っていた。旅行時なら自分がシャワーを浴びながらハンガーの洗濯ものにもシャワーを掛ければよい。この「ルーシーミスト」の威力は強力なもので、旅行中のたいていの汚れはこれで対処できるだろう。
そのままハンガーに吊るして自然乾燥させればよいのだが、災害時には洗濯物をきれいにしただけなので、念のために除菌と消臭も行っておきたい。そこで前述のハル・インダストリの「除菌消臭ミスト」をスプレーしておくと、洗濯後に除菌と消臭を行いながら乾燥までが完了する。なお、一度本品で消臭したものは繊維にニオイが付きにくくなっているので、ただ洗濯しただけではないことと、効き目が持続するのがありがたいところだ。
日本に住んでいる限り災害はいつどこで起こっても不思議ではない。災害発生当初は「命が助かっただけでも…」と思いがちだ。記者が阪神大震災の震度7で被災したときも同じことを考えた。しかし、命があればその後も生活しなければならないということなので、やはり住環境や環境対策は徐々に気になることであるのは間違いない。備えあれば患いなしとは言うものの防災用品をきっちりそろえるのは大変だ。しかし普段使う優れものを予備として1個持っておくだけで、いざというときに助かるのであればストックしておいて損はないだろう。
※写真はすべて記者撮影