中国で女囚が死刑執行される前日及び当日の写真

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『中国江蘇網』が「实拍女囚临死前的十二小时」(実録女囚死刑12時間前)という記事を掲載しており、いろいろ思うところがあったので、これについて少し。

1 さらし者にされる刑事犯

解説によると2003年の国際麻薬乱用撲滅デー(6月26日)の前日、中国湖北省の武漢市で4名の麻薬関係で逮捕された女囚の死刑が執行されたそうです。これは関係部署の許可を得て、6月24日から25日にかけて、記者が彼女達の様子を撮影したものです。

さすがに今回の記事では女囚の写真には目隠しがしてあります。しかし、それでも当局が最後の様子の撮影を許可したことや、確かにある程度の時間が経っているとはいえ、それを報道することが可能な国というのはいろいろ思ってしまいます。

思うに、中国では以前から刑事犯等をさらし者にすることがありました。文化大革命の時の映像が有名で、最近では諸外国からの批判を受け殆ど無くなってしまったようですが、街中等に刑事犯を連れて行き、首には罪状を書いたプラカードを下げて、公衆の面前で彼らの罪状を読み上げるということが行われておりました。

今回の記事もこうした伝統があるからそこ可能だったのかと思います。それ以前に国際麻薬乱用撲滅デーに併せて、麻薬関係の囚人の死刑を執行すること自体が、見せしめの意味を含んでいるのは間違いないでしょう。

2 明日処刑される女囚達

写真には何をしているところか解説がついているのですが、彼女は明日死ぬのだという前提でそれを読むとやはりいろいろ考えます。下にそれらのいくつかを引用しておきます。

6月24日夜 武漢市第一看守所 警官が女囚の要求に応じて刑が執行される前の服を買ってきて、死刑囚代冬桂が体にあてているところ(これが今回引用した写真で、写真は全部で25枚あり、1つ1つに解説が付されています)。

6月24日夜 武漢市第一看守所 普通の(死刑囚でない)女囚が死刑囚何秀玲に宵越しの餃子を食べさせているところ。25才の何秀玲は湖北省仙桃市出身で、7000グラムの麻薬を不法に所持していたため死刑判決を受けた。

6月24日夜 武漢市第一看守所 死刑囚何秀玲が新しい靴を試し履きし、黄泉路に旅立つ準備をしていることろ。

6月24日夜 10時15分 武漢第一看守所 普通の女囚が死刑囚李菊花のために遺書を代筆しているところ。

6月24日夜 10時40分 武漢第一看守所 死刑囚何秀玲が歌を歌っているところ。大声で仏(天)に対し、もう一度機会を与えてくれることを、運命が元に戻ってくれることを祈っているところ。

6月25日朝 5時40分 武漢市第一看守所の静寂を破って、1人の普通の女囚がこれから死に行く女囚のために、顔を洗う水を運ぶところ。

6月25日朝 6時 武漢第一看守所内、女性の警官と普通の女囚が死刑囚李菊花のために足に真っ赤なマニキュアを塗ってやっているところ。

6月25日朝 6時17分 武漢第一看守所内、死刑囚何秀玲と馬清秀が最後の朝食を食べているところ。馬清秀は肉絲粉を食べ、何秀玲は前日配れ食べなかったマクドナルド食品(リンゴパイか?)を食べているところ。

6月25日朝 7時 武漢第一看守所の女性警官が隊列を組み、これから刑が執行される4名を見送るところ。

6月25日朝 9時45分 湖北省武漢公判現場 死刑囚何秀玲が泣いているところ。20数名の死刑囚の中で、唯一泣いていた死刑囚で、死刑囚の中では彼女が最も若かった。

写真を見ると、普通に看守や他の女囚と談笑しているところなどもありますが、明日死刑が執行されるのだと思いながら見るといろいろ考えさせられます。

特に今年は東日本大震災があり、人はいつ死ぬかわからないものだということを厭という程教えられました。『徒然草』には、人の命の儚さをよんだものがありますが、この記事を見て、ふと読み返してみたくなりました。

画像引用元:中国江蘇網

http://photo.jschina.com.cn/system/2011/12/08/012249946.shtml

 

 ブログ『政治学に関係するものらしきもの』を運営しております。  専門は国際政治(主に日中関係)で、博士課程中退(正式に手続をとったわけではないのですが、たぶんそうなっているでしょう)。  ただ、基本的に雑食系ですので、特に専門にこだわらずにやっていきたいと思っております。

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