「シンカリオン」とスペースワールド

 TBS系列で土曜日の朝に放映されているアニメ「新幹線変形ロボ シンカリオン」。日本各地を走っている新幹線をモチーフとしたロボットが、地底からきた敵(キトラルザス)と戦うというロボットアニメです。
 日本各地に超進化研究所のシンカリオンのパイロット(劇中では「運転手」)がいるため、日本各地が舞台として出てくるアニメでもあります。(さすがに超進化研究所のあるさいたま市大宮が舞台になることが多いのですが。)
 超進化研究所の門司支部が北九州市門司区の九州鉄道記念館の地下にあるという設定なので、北九州市が何回か舞台として登場しました。その中で2017年12月31日に閉園したスペースワールド(北九州市八幡東区に存在しました)が出てきたので、そのことについて紹介します。

 スペースワールド(シンカリオン劇中では「NEOスペースワールド」)が登場したのは、2018年6月2日に放映された21話「はばたけ!シンカリオン800つばめ」でした。
 ストーリーは、九州をカバーする超進化研究所門司支部が新設され、九州のシンカリオン運転手大空レイと共同訓練を行うため、主人公の運転手速杉ハヤトたちが九州にやってくるというものでした。(なお、余談ですが、シンカリオンの世界ではJRの「門司港駅」は「門司駅」、「門司駅」は「大里駅」になっており、門司港駅と門司駅の間にある小森江駅は開業していないようです。一瞬だけ映った「もじ」の駅名表示板からこのことがわかります)

JR小倉駅のコンコースで、ハヤトたちを出迎えた大空レイ。大空レイは右端でお辞儀しているキャラで、福岡県出身でロボット工学に詳しいという設定。

実際の小倉駅のコンコース

「シンカリオン」に登場したJR小倉駅。中央から左に出ているレールは北九州モノレールのもの

実際のJR小倉駅。松本零士キャラクターが描かれたモノレールも走っている

小倉駅近くにあるマンホール。小倉は松本零士氏が育った場所なので、街には松本零士キャラがあちこちにいる

 その中でスペースワールド(NEOスペースワールド)が出てくるのですが、敵のエージェント・ビャッコがNEOスペースワールドのシンボルであるロケットモニュメント(スペースワールドのスペースシャトル・モニュメントとは微妙に違います)を「巨大怪物体」化させ(超進化研究所側ではこのロケット型巨大怪物体を「スカイハイギガブースター」と呼称)、シンカリオンに戦いを挑みます。
 このスカイハイギガブースター、なんと空を飛ぶ能力があり、飛行能力のないハヤトたちのシンカリオンでは手が出せない状況に陥るのですが、大空レイが運転手を務める「シンカリオン800つばめ」には飛行能力があり、シンカリオン800つばめの必殺技「パンタグラフアロー」でスカイハイギガブースターを倒すことに成功します。

シンカリオンの中に出てきた「NEOスペースワールド」。休園中なのがどこかもの悲しい…

 さて、NEOスペースワールドにスカイハイギガブースターに出現した時の様子ですが、それと実際のスペースワールドのスペースシャトルとの比較をしてみましょう。

シンカリオンの一場面。中央にいるのがスカイハイギガブースター。「黒い粒子」で巨大怪物体化した

2018年9月にJRスペースワールド駅前からスペースワールド跡地を撮影。この時点でジェットコースターは撤去されている

スペースシャトルを別角度から

 写真はJRスペースワールド駅の駅前から撮影したものです(撮影時期は2018年9月)。できるだけ同じような構図で撮影しました。テレビ画面で左隅に斜めに壁のようなものが映っていますが、これが何かは正確にはわかりませんでした。ただ、近くに歩道橋に上がるためのエスカレーターがあり、これを反映しているのだと思われます。
 テレビ画面の右隅に建物らしきものがありますが、これは現地で確認してみると「スシロー」と「イオンモール八幡東」でした。その左手に小さい何か書いていそうな表示板がありますが、これも現地で確認すると東田博物館ゾーン駐車場への案内板でした。

東田博物館ゾーンは「いのちのたび博物館」や「イノベーションギャラリー」などのある地域

 ただ、この写真ではスペースシャトルの前にジェットコースターがありません。それで2018年3月に撮影した写真を載せておきます。なお、この時にはすでにジェットコースターの解体作業が始まっていたように思うので、シンカリオン21話が放映された時には、もうすでにジェットコースターはなかったのではないかと思います。

2018年3月撮影

 ジェットコースターが解体された後もスペースシャトルは残っていましたが、2018年9月に解体が決定され、それから解体作業が始まりました。
 2018年12月時と2019年1月時の写真を載せておきますが、2019年1月時にはもうすでにスペースシャトルは完全になくなっていました。

2018年12月撮影。こっちの方がスカイハイギガブースターっぽい?

2019年1月撮影。スペースシャトルは完全に無くなっている

 もうこれでスペースワールドのスペースシャトルは北九州市民の思い出の中だけに存在するものになりましたが、2019年2月に意外なニュースが飛び込んできました。
 スペースワールドの跡地にはイオンが進出するとの話ですが、スペースシャトルが建っていた部分には北九州市立児童文化科学館が移転してくるとのニュースです。
 北九州市立児童文化科学館は大型のプラネタリウムを持ち、ロボカップジュニアサッカーの北九州市での拠点としても知られています。ただし、建物自体が老朽化しており、スペースシャトル跡地に新施設を建設ということになったようです。
 ニュースによると、新しい北九州市立児童文化科学館には、「月の石」(当然、本物です)スペースシャトルのエンジン模型などが展示される予定です。スペースシャトル(スカイハイギガブースター?)が飛び立った跡に宇宙に関する展示が行われるわけで、「スペースシャトルの精神はまだこの地に残る」ということでしょうか。
 スペースワールドの魂を受け継いだ北九州市立児童文化科学館が新しく出現した時には、ぜひとも見に行きたいものです。

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