真っ暗闇でこんなコト、あんなコトをするイベントがじわじわ広まっているのをご存知でしょうか?
「暗闇で瞑想」「暗闇でヨガ」「暗闇でボイトレ」など、おもにヒーリング系の催しとして行われているのですが、筆者などは、何千円か払ってわざわざ暗闇で不自由な思いをする意図が、さっぱりピンと来ませんでした。
ですが先日、本イベント名を見てビビビッと来ました。『暗闇の発酵食堂』
一瞬、暗闇で料理が発光するのか!?など、トンデモ系のイベントかと早とちりしかけましたが、さにあらず。オーガニックな人々の間で脚光を浴びる「発酵食品」(=味噌、醤油、麹、甘酒、納豆など)を、暗闇の中でまったりもっさり食べるという、奇特なイベントとのこと。
これは何としても、暗闇の中で何が行われるのか確認せねば!と意気込み、会場の渋谷アップリンクへ足を運びました。
3500円を払ってサーブされたのが、「味噌キャベツ」がスプーン4杯、「味噌スープ」がコップ4杯、それだけ。それを暗闇で1時間かけて食すという、早食い派にとっては拷問のような時間が待っていました。
筆者は気分を高めようと、食べる前に5分以上瞑想をしてから臨みました。そして、ひと口50噛み以上かけて、ゆっくりと咀嚼。
暗闇という独特の緊張感に包まれているためか、特にいつもより味覚が鋭敏になったわけではありませんでしたが、こんなに「食べる」という行為に意識を集中するのは初めてで、それだけでも貴重な体験でした。ゆっくり食べた結果、わずかな量でも満腹効果が得られるというオマケつきでした。
暗闇効果は、「食べる」ということ以上に「コミュニケーション」への影響が大ということも発見でした。
会場のテーブルで向かい合ったのは、見知らぬ男女約40人。別におしゃべり推奨でも禁止でもないのですが、暗くなったとたんに「これは味噌ですね」「あっ、キャベツだ」など、当たり前のことを皆が口走りはじめました。暗闇がもたらす不安効果は、人を饒舌にさせるのですね。
その人のルックスや雰囲気に左右されず、純粋に「音声」だけでコミュニケーションをはかるというのも、何だか修学旅行の夜のような貴重な体験でした。
応用編として「暗闇寄席」「暗闇合コン」「暗闇プレゼンテーション」でもやってみれば、果たしてどうなるか興味深いです。