中国四川省成都市。この地名を聞いたときに、三国志が好きな方であれば真っ先に三国時代の『蜀(しょく)の国』を思い出す方が多いのではないでしょうか?
今回は、筆者が中国四川省をぶらり一人旅して最も心に残った、三国志の街成都市で実体験した『川劇(せんげき)』の世界の記事を書かせていただこうと思います。
本来私が中国四川省へ行くきっかけとなったのは、四川省雅安市にある『雅安碧峰峡パンダ基地』へパンダの飼育ボランティアを行うことを目的として向かう予定でした。しかし、私が中国への出発する間近に現地から連絡があり、陝西省のパンダが疫病にかかったとのことで、急遽パンダの飼育ボランティアが中止になってしまいました。3匹のパンダが亡くなったことはショックでしたが、それ以上の感染は無いようなので安心しました。
そんなアクシデントがありながら、すでに飛行機はキャンセルすることができないため、とりあえず四川省へは目的を失った状態であてももなく旅をすることになりました。
しかし・・・
四川省成都市に行ってみると、そんな暗い状況が一変!?
まず成都の街のスケールの大きさと人の多さ、そしてそこにいる人々の”元気さ”それらが目に飛び込んできたら自然と元気で明るい気持ちになってしまいました(笑)
そしてその中でも一際目に付いたのが、三国志に関連した建物はもちろん、古き時代の中国を思い起こさせる、とても素晴らしい建物が沢山あったところです。成都の中心地は、東京と同じくらい都会なのですが、その街並みに違和感なくそういった時代を感じさせる建物があり、その建物を生で見ることができただけでも成都にきて本当に良かったと思いました。
そしてここからが『川劇(せんげき)』のお話です。
『川劇(せんげき)』とは中国四川省の伝統芸能で、1ステージの1時間半ほどの間に、三国時代のストーリーのある劇から、影絵、人形劇、喜劇、など色々な演目が行われます。そして『川劇(せんげき)』で一番見所である変臉(へんれん)と呼ばれる顔(仮面)が一瞬で切り替わる技があるのですが、これは生で見ると腰を抜かすほど驚きます(笑)
今回『川劇(せんげき)』に行く予定は無かったのですが、成都の街をブラブラ歩いていて偶々川劇の看板を見かけて「まあ行ってみるか」という軽い感じで行くことになりました。
ちなみに、歩いていた場所ですが、成都の『琴台路(ちんたいるー)』というところで、金や赤サンゴなど、高級宝石店がたくさん並んでいる通りでした。
そして『川劇(せんげき)』のチケットを売っている『蜀風雅韵(しゅーふぉんやーいん)』へ行ってチケットをゲット。日本人ということを伝えるとチケット代を少しおまけしてくれました(笑)
こちらが『川劇(せんげき)』のチケットです。超火を噴いています(笑)
そしてチケットを持って『川劇(せんげき)』が行われている劇場へ移動しました。劇場はチケット売り場から数百メートル離れた場所にあったので、着くまでに少し不安になりましたが何とか無事に到着することができました。
そして劇場に付いてからとてもすごい出来事が!?
『川劇(せんげき)』に行って一番楽しんだのは演劇が始まってからよりも、始まる前がすごかったんです!!
演劇が始まる1時間前に劇場が開門するのですが、開門してすぐに劇場に入ったお客さんは、演者の控え室(のようなところ)に案内してもらい、実際に『川劇(せんげき)』で使う衣装を装着し、メイクまでバッチリやってくれるという、超!超!超!超!!!貴重な体験ができるというものでした!!衣装はほとんどが三国志系の衣装が多く、男性は戦国武将に、女性はお姫様に変身ができるといった感じです!
ここが日本であれば「これはちょっと恥ずかしいな…」と思ってしまい、こういった体験をすることに抵抗があったかもしれないのですが、
「ここは中国。誰も知っている人はいないし、やってみるか!!」
ということで、早速スタッフさんに話を聞きオススメの衣装を選んでもらいました。
やはり『蜀(しょく)の国』の三大英雄と呼ばれる『劉備(りゅうび)』『関羽(かんう)』『張飛(ちょうひ)』のが一番人気が高く、その人気に次ぐのが『諸葛亮(しょかつりょう)』ということでした。
そう聞くと…やっぱり蜀の国に来たのであれば「蜀の三大英雄になってしまえ!」ということに心が動き、三大英雄の一人である『張飛(ちょうひ)の衣装とメイクを選ばせていただきました。
※スタッフさんは英語が皆さん話せるので、こちらはカタコトの英語が話せれば何とかなるような感じでした。
※金額は衣装&メイクで150元、カメラでの30枚程度の写真撮影(4GBのSDカード付き)で100元、合計250元でした。日本円にすると約5,000円です(1元=約20円:2015年2月現在)。
ドキドキしながら待つこと数分・・・
職人オーラをバシバシと感じさせる、素敵なおじさまがやってきました!
そして早速メイクを開始。
メイクをしてもらっているときのシチュエーションですが、これがまた日本にいたら結構恥ずかしい感じで、周りにギャラリーが沢山いる状態でどんどんメイクが進んでいきます。なのでギャラリーからは容赦なく写真を撮られまくり、色んな人が話しかけてくるような感じです。もちろん僕は全く口を動かせる状態ではなかったので答えることはなかったのですが、話を聞いていると「これって誰のメイクなの?」と聞いている人が多かったです。その時にスタッフさんが『張飛(中国語ではジャン・フェイ)だよ』というと、中国の人は張飛のことを『おー!飛(フェイ)か!』というような感じでガンガン写真を撮りながら喋っていたような感じでした。
ちなみにメイクしてもらっていた時の写真はこちらです。
最初に黒と白で塗られた時には「鉄拳みたいだな…」と思ってちょっと不安な感じでしたが、出来上がりに近くなると「なんだか(自分って)本当に良い経験しているな」と異国の地での体験が嬉しくなっていく感覚になりました。
周りでも何人かメイクしてもらっている人がいたので、それを見るのも楽しい感じでした。できれば皆で写真撮れたら良かったのですけどね(笑)
そしてメイクが完成し、急いで衣装を装着!本番の演劇が始まるのが近くなってきたのか、衣装のところはかなり皆さんバタついていました。
ここで若い女の子がワザと咳き込んで「早く!早く!」って笑いを取っていたのですが、そういった冗談は日本だけじゃなくて中国でも一緒なんだというのが分かったのも一つ勉強になりました(笑)
そしてついに全てが装着完了!その時に撮った写真がこちらです。
『張飛(ちょうひ)』は荒くれ者だということで、スタイリストの方からは、棍棒を持たされ攻撃的なポーズを指示を受け、カメラマンの方から「大きく目を開け!!」と何度も言われながら撮影は進んでいきました。
スタイリストの方もカメラマンの方もとても気さくな方々で、中国語がほとんど分からない私に対して一生懸命ジャスチャーをしながら優しく対応していただきました。本当にありがたかったです。
そして写真撮影後、メイクを急いで落とし『川劇(せんげき)』を観覧させていただきました。僕の他にもメイクをしてもらっていた方がいたのですが、川劇の開始時間にメイクを落とすことができず、メイクをしたまま川劇を見ていた方もいらっしゃいました(笑)
そして川劇を楽しんだ後、メイクしてもらった写真が入ったSDカードを受け取り、楽しい川劇の体験が終了しました。
最初はパンダの飼育体験が目的で四川へ行くことになったのですが、アクシデントにより『川劇(せんげき)』を見に行くことによって、川劇を見るだけでなく”川劇の世界を実体験できた”という貴重な体験をすることができました。本当に運が良かったと思います。
もし中国への旅行に興味がある方は、四川省成都で『川劇(せんげき)』の世界を味わってみるのはいかがでしょうか?ぜひぜひオススメです!
<参考ページ>
■川劇(せんげき)-四川省旅遊局日本語ページ
http://shisenkanko.com/play/opera.html
■蜀風雅韵(しゅーふぉんやーいん)-フォートラベル日本語ページ(四川百科:中国語ページ)
http://4travel.jp/overseas/area/asia/china-sichuan_province/chengdu/kankospot/10421145/