日本で、人工光合成のプロジェクトが始まった。 まさかこれほど早く植物が行っているシステムに人類が挑戦できるとは思わなかった。この背景には、さまざまな日本人の活躍がある。
2011年、ある大発見が世界を驚かせた。植物の光合成の全貌が、ついに明らかにされたのだ。明反応で水が分解する過程は、19個のタンパク質でできた酵素が行う、光化学系IIと呼ばれている。しかし、どの構造が水を分解するのかよくわかっていなかった。その謎を解いたのが、大阪市立大学の神谷信夫教授と岡山大学の沈建仁教授のチーム。
植物には、水を分解する重要な物質が潜んでいた。それは、マンガンやカルシウムが、ゆがんだ椅子の形でつながった物質だった。これこそが、植物の光合成を支えていたのだった。