次期東京都知事選が2024年7月7日投開票と迫っている。2020年7月からスタートした第1・2期8年間の小池都政とは何だったのか?その検証とは?また対立候補の蓮舫氏は「光は放っておいても輝く。それよりも『影』に光を当てるのが都知事の仕事ではないか?」として「子どもの貧困」にだけ莫大な予算を割くとも取れる意向だ。しかし「若者支援」を第1公約に据えることがひいては「超高齢化社会」の安心と幸せに繋がると言うならば、戸外からは見えづらい「家族介護疲れ」の現場の声もどこまで掬い取れるか?最悪の場合「自殺」や「無理心中」に至る「命の問題」を未然に防ぐ、新都知事の重大責務を果たせるのか?今や日本は下流どころではない「階級社会」の実態が浮かぶ。これこそを得票に繋がらないからと、蓮舫氏の言葉を借りれば「『自助』だといって切り捨ててはいけない」本来、セットであるべき「育児と介護政策」にまさに「光を当てるべき『影』である『アンダークラス』階級層に寄り添う『支え合い』政策』」を「公約」にプラスしてほしい。
現・小池都知事×蓮舫候補、両陣営の「介護政策」には「介護の職場人材確保」に比重を置き、戸外からは見えづらい「家族介護疲れ」問題の視点が欠けているように思える。「分かち合い・支え合い介護」を目的とした孤立化や一人での抱え込みを減らし最悪の場合「自殺」や「無理心中」に至るのを防ぐことにも資する「命の現場」で「今、起きている『労働と介護の現場』」について次期都知事候補の認識を問うた。
国政の「政治とカネ」問題追及手腕はガラス張りの都政「行財政改革」にも通ず
「日経世論調査」(2024年7月1日)によると、岸田文雄内閣支持率が「25%」まで急転直下した。国会論戦については「66%」が不支持を表明。
「政治とカネ」の問題により求心力を失った岸田文雄政権について「国政がこれほど市民団体と野党とジャーナリズムの追及を受け続けても、自民党の萩生田光一自由民主党東京都支部連合(都議連)会長の更迭やトカゲの尻尾切りをしない。裏金No.1で統一教会の総本山みたいな人なのにおかしい。それはなぜか?今の小池都知事とパイプがあるからなんだそうだ」と与党関係者からの国政「裏話」が聞こえてくる。
小池現都知事の政治姿勢は最低賃金の保障のみならず、待機児童や保育士の待遇改善など「メディア受けしない地味な政策は後回し」だった。政界渡り鳥と言われてきた小池都知事は、「東京大改革」を掲げ、「ポピュリズムの申し子」として派手な「東京五輪パラリンピック」や「豊洲市場移転問題」という「光」にばかり「光」を当ててきた。
かつての「豊洲市場移転問題」の際には石原慎太郎都政時代、¥6000億都民の血税が投入され、¥3600億もの借金を抱えたことに端を発する。小池氏は当時、「築地は守る。豊洲は活かす」との方向性を示し、都議選目前に早期のスキャンダル幕引きを図った。
その時、東京都銀座で都議会議員候補の「応援演説」に立っていたのが「民進党」の蓮舫代表(当時)だった。「小池さんは語っていないことがある。本来は築地を売って、豊洲を建てる予定だった。誰がそのお金を払うのか?¥3600億の借金。答えは2つしかない。増税か?借金か?です」と指摘していたのである。「都知事をチェックするのが都議会議員。説明をしないトップ。説明から逃れるトップではなくて議会が説明をさせる立場に追いやっていける民主主義を民進党に担わせて頂きたい」と声を張り上げた。だが、この時代の都議選の結果は小池新党「都民ファーストの会」が大勝し、自民党は歴史的な惨敗を喫した。この時安倍自民党に吹いていた逆風は、森友・加計学園疑惑、稲田朋美防衛相の失言だったが、野党代表だった蓮舫氏らは都議選中に「閉会中審査」を要請していた。自民党の竹下亘国対委員長(当時)が「都議選の結果次第で考える」と発言し、言い逃れができない状況に自ら陥った。
その「豊洲市場移転問題」の時代から東京都民は小池都政の抱える政策課題の孕む問題に声をあげてきた。「築地女将さん会」による移転計画中止を求める署名。また都知事選で公約として掲げたはずの「待機児童ゼロ」に投票した支持者からも「メディア受けするパフォーマンスばかりで、待機児童問題を悪化させるタワーマンション建設急増を野放しにしている」との失望と怒りの声も当時から聞こえていた。その途上に今あるのは「神宮外苑前」再開発のスマートシティを巡る環境問題だ。
だが時の自民党政治腐敗「モリ・カケ問題」を怒髪天を抜く勢いで上回る現在の「政治資金規正法」違反という国政の「政治とカネ」の問題への有権者の怒り。小池氏と蓮舫氏の立ち位置が変わっただけで、与野党勢力図がいま、都政の主を決める民主主義の闘いによって俄かに「一騎打ち」の様相を呈してきた。
2024年3月4日、第213回国会「参議院予算委員会」で参議院議員の現職だった蓮舫氏は、内閣府特命担当の新藤義孝経済財政相に「政治とカネ」の問題で集中砲火を浴びせていた。「政治資金規正法」第9条「政治団体の会計者は会計帳簿を備え、これに当該政治団体に係る全ての収入や支出を記載しなければならない」が「法的根拠」である。蓮舫氏は「新藤大臣の後援会と自民党総支部の会計責任者は同一人物、新藤大臣の公設秘書だ。」と指摘した上で「数十万円レベルの話をしているわけではない。新藤後援会の政治資金収支報告書、国会議員関係政治団体が、法改正でできた翌年から少なくとも20年間続けて収入の半分近くを寄付として使途不明金にさせてきている。こんな人に私は日本の経済財政政策を任せるわけにはいかない」と糾弾。「岸田総理、まずこの法改正を行わないと、総理の着手したい少子化増税や防衛増税などは絶対にやってはいけないと強く申し上げる」と蓮舫氏は政治腐敗を徹底追及してきた。そんな「政治とカネ」の国政での行財政改革追及手腕を活かし「これからは東京都のために仕事がしたい」と東京都知事選に出馬したのである。
告示前に開いた「政策公約」表明記者会見で、蓮舫都知事候補は第一に「少子化対策」、第二に「行財政改革」を強調した。東京都予算の全体像をガラス張りにする。「一般会計」、「歳入」、「歳出」、「財政規模」そして「歳出の内訳」、「都税収入」。これらをデジタルで見える化した。すごい前進だと思っている。次に「財政運営の工夫」というものがある。これが小池都知事が行革を行なって8年間で8100億円確保したと胸を張るところだ。2024年度は1266億円確保したという。しかしこれを調べると、驚くことに確保した「財源の積算根拠」が全く見えない。バックデータとなっている予算の資料が出されていないので、行革の成果なのか、確保したかどうかを確認することができない。確認手段が一切非公開になっている。と小池都政2期を当初から検証してきた。
蓮舫氏が「無駄な予算縮減によって予算の財源に余裕ができれば、それこそ足元で食べるものを求めて列を作っている方達のための『福祉政策』へ出資することができる。その方が『活きた政治』になるのではないか?」と有言するならば…
「新・日本の階級社会」<橋本健二著>[講談社現代新書]によると、「相対的貧困率」でも推し量れないほどの「アンダークラス(パート主婦を除く非正規労働者)」は929万人で、旧中間階級の806万人を上回り、就業人口の14.9%を占め今や資本主義社会の主要な要素の一因となったと言っても過言ではない。5つある中、唯一激増を続けている階級だ。女性比率は43.3%で女性の占める割合が最も高い階級である。女性の職種では事務、販売、サービス、マニュアルがほぼ4分の1ずつだ。2015年「SSM調査データ」から詳細を見ると販売店員(47人)、総務・企画事務員(20人)、料理人(18人)、給仕係(18人)、清掃員(15人)、スーパー等のレジスター係(キャッシャー)(13人)、倉庫夫・仲仕(12人)、営業・販売事務員(11人)、介護者・ヘルパー(11人)、その他の労務作業者(10人)の10職種だった。ビジネスや人々の生活を下支えする、様々なサービス職とマニュアル職が含まれていることが分かる。
週平均労働時間は36.3時間と他階級と比較すれば短いが、実際には全体の50.9%までが週40時間以上勤務しており、フルタイムと変わらない人が過半数だ。平均個人年収は186万円と極端に低い。貧困率は極端に高く38.7%に上り、特に女性では48.5%にも達する。さらに夫と離死別した女性になると63.2%である。平均資産総額は1119万円だが、持ち家のない人では97%を超えている。
特筆すべきは、男性で有配偶者が少なく、女性で離死別者が多いことである。男性の有配偶者はわずか25.7%で、未婚者が66.4%にまで上っている。
「アンダークラス」の男性が結婚して家庭を持つことがいかに困難であるかがよく分かる。女性の場合、既婚者は定義の上でパート主婦に含まれるため、女性は皆、無配偶者だが、このうち離死別者の比率は年齢とともに上がる。未婚や離別の高齢女性の貧困率将来見通しに着目すると、その51%が将来的に貧困化する試算が出ており、女性の雇用環境や賃金は、依然として男女の格差が著しく、氷河期世代の男性以上に悪化状況が続く。これにより保険料を支払う能力が低く、また、独居老人化する可能性が極めて高いと推測されている。
光と影に格差があるなら、『影』に『光』を当てるのが都知事の仕事
2024年6月29日夕刻に、蓮舫都知事候補は吉祥寺駅北口で街宣車から演説した。「『財源』が必要だ。今、皆さまから納めて頂いている『都民税』『法人税』『一般会計』8.5兆円。東京都はこれで様々な行政歳出を委託をして仕事を発注してきた。そして受注をした民間事業と法人がその仕事を担っている。これを公契約という。私はこの公契約を使って都の仕事を受注する企業にはそこで働く人の都税を若い人の待遇改善、賃上げ、有給休暇の保障、それをやっている会社だから入札の点数を上げて、受注をしやすくする。そうすれば、必ず都と契約をする企業には『ブラック企業』がいなくなるでしょう」と労働現場から見た「アンダークラス」にまず『光』を当てた。
蓮舫氏が7つの公約のうち⑴で掲げた「現役世代の手取りを増やす」。
「大企業は都から受注した事業をさらに子会社、親会社再発注、再々発注している。だったら、公契約をしていた大企業に下請け、子会社が親会社に再発注するんだったら、適正なパイプをその再発注先にも求めるということが要系を満たすのはいかがでしょうか?今ある『財源』で、今ある皆さんが納めてくれた予算をそのまま合計額で条例を作れば、官から民。本当の意味の『民』の『若い人』の『現役世代』の働く人たちの労働環境の改善、『手取り』が増えることに繋がると私は考えている」と蓮舫氏は雇用の問題について聴衆に投げかけた。
さらに「アンダークラス」の女性たちの中でも「無職で配偶者のいない『老い』に直面するグループ」が浮かぶ。分析対象としている40歳代以上69歳以下。それでも全女性に占める比率は4.8%と非常に多い。平均年齢は60.6歳。配偶者関係は未婚26.6%、離別24.6%、死別49.2%と離死別者が約4分の3を占める。また一人暮らしが42.3%、未婚の子どもと26.2%が、既婚の子どもと8.5%が暮らし、自分の親と同居しているのは17.7%に及ぶ。つまり、一人暮らしで自分の老いと直面する女性を中心に、離死別を経て子どもと暮らす女性、「自ら高齢期を迎えつつも親の老いを看る女性」。「子どもに頼りながら高齢期を迎える女性」などがその内情である。
平均年収は132万円。全体の約半数を占める48.8%だ。そして60歳以上の約3分の2である65.6%が、自分の収入は公的年金だけだ、と回答している。世帯平均収入は230万円と極端に少なく、貧困率は55.9%にも上り、特に一人暮らしの場合は60.0%にまで至っている。
健康状態が良いと考えている人の比率は25.9%と全階級の女性グループの中でも最悪だ。この数値は高齢者が多いからというより、40~50歳代に健康状態が悪く病弱のため就業できない人の割合が多勢を占めている「家族介護」と「貧困」、「病弱」など様々な生活不安を抱えながら暮らすアンダークラスの女性たちだ。
2017年〜2021年の「経済協力開発機構(OECD)」統計によれば、日本の高齢者の相対的貧困比率はワースト8位。「認知症の人と家族の思いと介護状況および市民の認知症に関する意識の実態調査報告書」(調査機関:2019年9月〜2020年1月)によっても、⑴半日以上、介護を行っている家族が42.7%、⑵33.9%の人が在宅生活に必要な支援を十分に受けられていない、という。
若者の手取り増額で 持続可能な「介護」「医療」「社会保障制度」を東京から作れる
翌6月30日には新宿駅南口のバスタでの街宣に蓮舫候補は登壇してマイクパフォーマンスを始めた。
蓮舫氏が口火を切ったのは、7つの公約のうち⑵で掲げた「あなたの安心大作戦」。頼れる保育・教育・介護・医療への約束の件だ。
結婚した「現役世代」に子供やパートナーがいれば「税額控除」がある。ご高齢者にはシニアには「介護保険」がある。医療の自己負担も低くなる。若者はどうですか?シニアの安全と命を守る「介護」。分厚い中間層を作りましょう。それが実現すれば、公共サービスも安定するはずだ。
なんで若者だけが?そういう声も聞く。でも皆さん。分断を生むことはないんです。なぜならば、若い人たちが「手取り」が増える。若い人たちが「安定雇用」だ。若い人たちが借金の返済がなくなる。そのことで使えるお金が増えるでしょう?「手取り」が増えるでしょう?消費をするでしょう?
経済が回るでしょう?納税者が増えて社会保険の担い手が増えれば、持続可能な「介護」「医療」「社会保障制度」を東京から作ることができると私は思っています。同時にシニアの皆さんの安心も守る。まもなく、団塊世代の先輩方が75歳以上になろうとしている。元気なご高齢者は元気に頑張ってもらう。でもどんなに頑張っても残念ながら頑張ることができない人たちもいる。コロナの時に華やかな東京五輪パラリンピックの裏で、もう医療関係はいっぱいいっぱいで、高熱が出て玄関で倒れて亡くなられたご高齢者の方々一人暮らしの方がどれだけいたことやら。国会でこの問題は何度も言ってきたけれども、残念ながら聞いてもらえなかった。この人たちの不安に寄り添う東京都でありたい。
国はこの春から訪問介護の報酬を引き下げた。日本中の介護事業者で赤字なのは4割に達している。撤退したらどうするんですか?
この事業者が成り立たなくなったら、どうするんですか?施設に入れないで『訪問介護』のお世話になって頑張って生きている人たちの不安の声はどこにいくんですか?今、東京都は『訪問介護』で頑張っている人たちの『家賃補助』もやってくれている。ここをもっと分厚くすれば、皆さんのお父さん、お母さん、おじいちゃん、おばあちゃん、一人で生きていくという選択をしたシニアの人生の先輩方の安心を東京都は若者と一緒に併せて分断ではなくて共に守る。そういう都政をやっていきたいと私は考えています。
「光」は放っておいても輝く。そこは都政では薄めましょう。そうじゃない。広がる「影」。長く伸びる「影」。私はそこに「光」を当てて、その「影」が薄くなって一人で立ち上がって自分で生きていけると自信を持っているところまでずーっと「光」を当て続ける。そんな都知事になるとお約束をさせて頂きたいと思う。
「光と影に格差があるなら、『影』に『光を当てる』のが都知事の仕事だ」と豪語されるなら、家族に「要介護者」がいる場合、介護者には心身共に深刻な負担を強いられる。そしてその延長線上には「介護疲れ自殺」や「無理心中」が待ち受けている。高齢者福祉全体の向上を目指す「命の問題」と向き合い労働問題の現場からの回避に向けた介入のあり方をいかに深刻視して位置付けるか?
「全世代型社会保障」は「社会保障費」の「支出抑制」のための「国」の方策だ。これまでも「介護保険」は法改正や報酬改定などによって「給付抑制」が進められてきた。政府が「家族介護の負担軽減」の是正のために活用しようと狙ってきたのが、地域住民や社会福祉法人だと考える。「介護保険制度」の基盤は「地域包括ケアシステム」にあり、当初から地域住民の活用を念頭に置いたものだった。当初、制度対象外だった「地域住民」の課題に取り組み、新制度創設に寄与してきた史実から、政府は「互助」として位置付け「家族の介護負担」軽減など「地域の福祉課題」の是正を図ろうとしてきた。すなわち、家族の介護負担是正について「地域住民」や「社会福祉法人」の責務に転嫁しようと謀れてきたのではないか?「国」がやらないことをその首都、「東京」でやる。そんな「高齢化社会課題」への意気込みも、もっと聞かせて欲しかった。
声を枯らして熱弁を振るう蓮舫氏に対して現職の小池ゆりこ都知事は3期目を目指す出馬だ。小池陣営はというと「政策公約表明」記者会見後に、いわゆる大都心での街宣を避けてきた感が否めない。それが「公の場の討論」から逃げていると見做されているのであれば、筆者が取り上げた蓮舫氏の2つの分野の「公約」議論と小池氏の同様の2つの分野の「公約」議論を記事上で比較して有権者の判断材料の一助となるよう、噛み砕いてお伝えしたい。
挑戦者としての蓮舫候補と現職小池ゆりこ都知事の政策公約比較
小雨の降る中、蓮舫氏が「レインボー街宣」と銘打った演説を行った6月30日夕刻に次いで早晩、ついに小池候補が蒲田駅西口アーケード前で街宣車上に立ち「労働の現場と雇用」の分野から演説を始めた。天候は小雨から叩きつけるような強雨へと変わっていた。
小池氏は開口一番、「都と区が連携して防災・エネルギー分野でも成果を上げてきた。大田区。ここは工場が集積している土地だ。まさに大田区のエネルギーはものづくりの東京。そしていろいろなお店があることによって東京だけでなく日本経済を支えてきた。新たな新規政策に継ぎ足すと、一つは民間企業がそれぞれ仲間と連携してお互いに一緒に組んで新しい中小企業を中小以上に育てていこうという意志を決めてきた。しっかりと都として加点をする。そのシステムを構築していく。これまで連綿と操業してきた町工場は素晴らしい技術を持っている。それが経済的理由でお店を畳んでしまう。勿体無いじゃないですか。だからこそ、都政として私はこうした大田区のものづくりの企業や小さな工場でもそれを育て大きくしていく。雇用されている働く人たちも守る。何よりも東京は2400万人の都市だ。一人一人が輝いてこそ、東京が輝く。多様な成長をする東京ができる。私は『人を育てる』『人を育む』そんな都政を目指してきた。これをさらにヴァージョンアップしていきたい」との意向を示した。
また、小池氏は「結婚」、「出産」、「子育て」、「保育」。私はこの東京を「子育てのしやすい」、「学びもしやすい」「お金のかからない」「奨学金に頼らずに世界へ夢を賭けられる」人を育てる街にしたいと考えている。挑戦者である蓮舫氏が一丁目一番地に掲げている「少子化・育児」対策の公約と改めて比較してほしい。
「私は都政で人が輝く『少子化対策』をさらに進めて参ります。切れ目のない子育てと教育、これによる次世代の信頼を育てていく。そして女性の成婚政策として卵子凍結また無痛分娩の必要性。女性の思いを受け止め都政に活かしていきたい。また『チルドレン・ファースト』の政策もある。『081サポート』や『高校の授業料無償化』も進めてきた。『所得制限』をなくしてきました。そしてまた第2児の『保育料の無償化』と引き換えに皆さま方のご協力のもとにこれが実現した。この『保育料の無償化』に対しては第2児だけではなくて第1子の誕生にも充当しようとしている。『チルドレン・ファースト』の対策も十分、切れ目なく行なってきたが、さらに拡大して努めて参る」とその意気込みを語った。その上で「超高齢化社会」に対する2025年問題に触れ「ご高齢の方が翌年、大きなステージを迎え東京は変わる。そのためにもこれまで活躍されてきた『ご高齢』の方が安心して、そしてご自分の経験を社会に活かして頂くためにも、『シルバー人材センター』『プラチナキャリアセンター』創立へ。これは東京だけの取り組みだとご存知ですか?これをさらにグレードアップして『暮らしの仮の住処』を作って参ります。是非ともあらゆる世代が活躍できる魅力ある東京にして参りたい」と聴衆に訴えた。
<結び>
蓮舫都知事候補が演説してきた「不安的な非正規雇用から抜け出せない社会。奨学金をなかなか返済できない若者。そんな切り詰めた家計で生活をせざるを得ない。」と。筆者の解釈ではいわゆる「アンダークラス」に光を当てることも加味したように伝わってきた。「親の年収と雇用形態が非婚化や少子化と直結している」として「私はここを『自助』だと言って、切り捨ててはいけないと思う。若い人が何かを諦めないで済む、そんな東京に今すぐ変えていきたいと考えている」
この全身全霊を込めた蓮舫氏の真摯な訴えと、なぜか心に響かない現職3期目を目指す小池候補の演説。あなたの一票は真に都民のことを思っていると信じられる候補を濁りなき眼(まなこ)で選ぶことができるだろうか?「7.7」。決戦の日は近い。