3.11原発事故から13年目の日本と脱原発を実現したドイツの経験 東日本大震災から能登半島地震の被災者へ渡す「志賀原発廃炉運動」へのバトン

  by tomokihidachi  Tags :  

[出典:FoE Japan]

2024年3月11日で3.11から13年目を迎える。震災原発事故関連の問題が山積する中、3.11を乗り越えてきた福島県民は今、どのような思いで時を過ごしてきたのか?また2023年4月15日にドイツは最後に残っていた3基の原子炉を停止し「脱原発」を実現した。ドイツの発電における再エネ割合は50%を超え、2030年80%、2035年100%の目標を見据えている。
 2024年3月13日には国際環境NGO「FoE Japan」が主催する「原発事故から13年の日本と脱原発を実現したドイツの経験」が都内某所で行われた。
 その席でドイツ最大の環境団体の一つである「ドイツ環境自然保護連盟(BUND/FoEドイツ)」の代表らを招聘する。ドイツの脱原発やエネルギーシフトについて学び日本との比較を聞く。

 2024年3月13日に院内集会へ駆け付けた「立憲民主党」菅直人最高顧問は自身が首相の任期中、3.11が起こった。「原発事故の際、日本が半ば壊滅しかねないという危機感を当時、感じていましたが、原発が無くても十分日本はやっていける。この間のドイツから日本に招聘された皆さんの提案で、そのことがハッキリしたと思える。そういった意味でも出来るだけ早い時期に原発ゼロにしたい。そして再生可能エネルギーを供給する。可能だからこそ、何としてもやり切りたい。私も政治的な活動はやや低下していますが、この『脱原発と再生エネルギー移行』の問題に取り組み続けてきた活動だけは最後の最後までやり切りたいと考えている」と語気を強めた。

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<リード>
【1】「原発事故被害者団体連絡会(ひだんれん)」筆頭に13年間の「脱原発市民運動」に思い馳せ
【2】ドイツは最後の3基の原発を停止し『脱原発』を完全に成し遂げた
【3】世界中に広がっているドイツの脱原発を巡る「誤解」を正したい
【4】次なる『石炭』からの脱却・自然再生可能エネルギー100%を目指していく
【5】「欧州連合(EU)」全体の「エネルギー政策」の視座でみるドイツとフランス
【6】「令和六年 能登半島地震」で破綻した「避難計画」陸路・海路・空路も使えない
【7】志賀原発停止と珠洲原発予定地計画の頓挫が幸いした「令和六年 能登半島地震」
<結び>3.11から令和六年能登半島地震の被災者へ渡す「志賀原発廃炉運動」へのバトン
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【1】「原発事故被害者団体連絡会(ひだんれん)」筆頭に13年間の「脱原発市民運動」に思い馳せ

[出典:FoE Japan]

 「原発事故被害者団体連絡会(ひだんれん)」大河原さき事務局長は、13年間の国と東電を相手取った脱原発市民運動の闘いを振り返る。 
 「GX・脱炭素電源法」や「ALPS処理水の海洋投棄」の断行など、福島県民や漁協連合会などとの約束を反故にした原発廃棄の政策に当事者は侮辱された思いを抱いたという。一方、「陸上では汚染水を『前処理』の段階で『スラリー』と呼ばれる高濃度の放射性汚泥が発生する。これは『HIC(ヒック)』と称するポリエチレン製の容器で保管されている。しかしあまりの高線量のため劣化が激しく交換が必要になるくらいHICの残数が不足している。水分の多い汚泥状のため漏洩の危険が非常に伴う。このALPS処理を続ける限り、危険な高濃度の廃棄物は原発などに溜まり続けていく。これらは単なる「ヒューマン・エラー」としてしか報告されていない。汚染水が1.5t、66億ベクレルも超えるなど高濃度となり、ALPS関連の事故が続いている。また放水開始後の 2023年2月にはALPSの廃棄物処理場で、作業員が高濃度の汚染水を運ぶことに関連する事故やALPSの前処理で汚染水のセシウムが吸着するというサリーという設備で弁を閉め忘れから汚染水が1.5トン、66億ベクレル漏れるなどの事故続いている。こうした『危険性』については福島県内でほとんど報道されていない」と大河原氏は新たな問題提起に声を上げる。

[出典:大河原さきさんスライドより]

 漁業者を含む363人の原告がALPS処理汚染水放出差止訴訟を起こし、2024年3月4日には第一回口頭弁論が福島地方裁判所で行われた。
 原告の1人漁師の小野春雄さんは「(処理水は)海に放出しては絶対ダメだ。(放出は)止めてもらいたい」と訴えた。しかし現実は「東京電力(東電)」が組織的に4回目の海洋投棄を実行している。これに関連して「原発を巡る教育への政治介入」が問題視されてきた。大河原氏は「ALPS処理水の海洋投棄を巡る各関係省庁を跨ぎ、横並びで情報操作して反対の声を封じ込めようと動き出した。」と国が教育と言論の自由を脅かす国策プロパガンダを徹底させようとしてきた動きに警鐘を鳴らす。「安心」が供与されるための情報の浸透として、「経済産業省(経産省)資源エネルギー庁福島現地事務所」が高校生の授業内容を利用して「風評被害」の「ショックや悲鳴」などを知らされないまま国に都合のいいことだけを教育として施した。復興庁は教育授業の予算として2021年に20億円を経産省は12億円を計上している。2023年8月の海洋放出までに国は県内外で76回も出前授業を行なっていたのだ。漁業者など海洋投棄の反対派を無視し科学的に処理水について理解を施さないなど「実態は国に都合のいい教育だけを受けさせる『国策に沿う教育』を行った戦前の軍国教育と酷似していると言えるのではないか?」と大河原氏は危惧する。その上で「自民党が今、福島県議会に『教育現場におけるALPS処理水の理解醸成に向けた取り組みを求める意見書』を提出したことを受け、福島県庁前の緊急抗議活動スタンディング・デモを行った」と報告した。

[出典:大河原さきさんスライドより]

さらに「メディアへの政治介入」の悪影響が色濃く浸透している。2012年から3年間、福島県は「安全・安心」一色PRを打ち出し、地元メディアと行政が一体となった「福島農林水産安全安心メディア研究会」を開催した。TV CM、WEB広告、電車中刷り、駅広告パネル、新聞広告などあらゆる媒体を使って発信してきた。電磁波ポジティブ・イメージ操作も主導し、『原発事故』『放射能』『避難生活』『甲状腺がん』以外にも問題を切り分けていた各テーマは地元メディアではほとんど取り上げられることが少ないのが実情だ。『国策プロパガンダ』を発信することでマスメディアなどは多額の利益をあげたことだろう。

 県外避難者約3万人の実態の中でもいわゆる「2次避難者」への住宅の無償提供支援を打ち切った問題で、避難者名簿リストから除外され、健康上や経済的理由で避難所から退去できない人々がいる。結語に大河原氏は緊急の報告として「福島県は避難者を追い出しに強制執行を突きつけて2024年3月8日の東京地裁では避難者に対し「1ヶ月以内に荷物をまとめて出て行くように命じた。4月8日までに出ていかないと立ち退きを断行する。すなわち『住む場所がないなら自分で払え』という内容だった。一番弱い立場にある避難者たちが一斉に住まいを追われる状況に立たされている。」と窮状を訴える。2022年6月に 避難者集団訴訟で最高裁が原発事故に対する国の責任を認めない判決を出してから「最高裁の判事が巨大法律事務所の元代表経営者で、その法律事務所は東電の弁護をするなど、法曹界と東電との癒着があることが明らかになってきた。経済優先で国民の人権を守らず人道的メインバンクも築かない。人権を守る最後の砦であるべき裁判所までが、電力会社に汚染されていることに危機感を抱く。私たち(ひだんれん)は避難者の責任として国や東電を相手取り、今後も共に闘っていく思いを一つにしています」と13年間の脱原発市民運動に思いを寄せ来場した人々に呼びかけた。

[出典:大河原さきさんスライドより]

[出典:大河原さきさんスライドより]

【2】ドイツは最後の3基の原発を停止し『脱原発』を完全に成し遂げた

[出典:FoE Japan集会にて筆者撮影]

 ドイツ環境自然保護連盟「BUND」フーベルト・ヴァイガー前代表は「2023年4月15日にドイツは最後の3基の原発を停止し『脱原発』を完全に成し遂げた」と誇らしげに語り始めた。「ドイツの『反原発』の歴史は50年前から始まっている。『3.11』東日本大震災が起き福島県原子力発電所事故が発生する前までは、ドイツでは1986年に『チェルノブイリ原発事故』の一報があり、原発の危険性に気付いた人たちが「被爆の警告が遅れた」として脱原発市民運動を牽引してきた。元々ドイツには約17基の原発があり割合は電力全体の30%を占めていた。2000年に「ドイツ社会民主党(SPD)」と「緑の党」が連立政権を組み、脱原発を行うと政治的な決定を下した。そこへ2011年に日本で3.11原発災害が起こったということはドイツでも起こり得るのだと認識したドイツのアンゲラ・メルケル政権が『必ず脱原発を行う』とエネルギー政策の舵を一大転換させた。ドイツ連邦議会でも17基の原発を全て停止させると決断された。私たちの抗議運動にはこうした政治からのサポートもあった。多くの市民の忍耐の上に『脱原発』という大志を完全に成し遂げた後にも2060年代までには原発廃棄物の安全な最終処分場を見つけなくてはならないという課題も残っている」とドイツの反原発成功後の次なる新たな段階に意欲を滲ませた。

[出典:BUND (FoEドイツ)スライドより]

[出典:BUND (FoEドイツ)スライドより]

[出典:BUND (FoEドイツ)スライドより]

 「今、ドイツは原発のみならず、気候に悪影響だとみなされる石炭からも脱却して再生エネルギーをさらに促進させることを目指している。
 ノルトライン・ヴェストファーレン州という地方があるが、2030年までに脱石炭・褐炭が達成する目標が掲げられている。「円グラフ(図1)」から2023年のドイツの電源構成が一覧できる。ドイツは再生可能エネルギーの力を大きくすることで理想的な『電源構成』に移行した。これに逆行する他の電力はますます減量していく。2023年の電源構成では左下の赤い部分が『原子力6.73TWh, 1.4%』を占める。石炭や化石燃料の割合も徐々に少なくなり水力・風力・太陽光といった再生可能エネルギーが約55%も占めている。」と「エネルギーシフトの割合比較」円グラフと「ドイツのエネルギー移行と原発の段階的廃止」棒グラフを示した。

 というのも2030年までに再エネ80%という目標は無論のこと、さらに上回る結果を出すのではないか?という希望的見通しがあるのだ。消費を抑え、あるいは再エネの拡大と経済界の努力を併せて2023年の石炭及び褐炭の発電量は1959年と同じレベルになった。これが実現できたのは投資の要因がある。やはり将来を見越して企業の中で判断の一つになった「経済性」が「再エネ」を選ぶ一つの重要なポイントになってくると思う。このような現状にあっても福島の皆さんと共に手を取り合って励んでいきましょう」とヴァイガー氏は福島県民に思いを寄せ、エールを贈った。

[出典:BUND (FoEドイツ)スライドより]

[出典:BUND (FoEドイツ)スライドより]

【3】世界中に広がっているドイツの脱原発を巡る「誤解」を正したい

[出典:FoE Japan集会にて筆者撮影]

「BUND」バイエルン州本部のリヒャルト・メルクナー代表は「ドイツは自然再生エネの拡大で成功したが、背景を見てみると30年前から太陽光のみならず風力の活用も積極的に行なってきた。多くの自治体の認識も広がった。一方、日本の東京都は「太陽光発電設備の設置に対する東京都の助成事業」などの助成制度を始めている。バッテリーや太陽光を導入する時に助成金を出資する制度だ。ドイツにも『再生可能エネルギー法(Erneuerbare Energien Gesetz: EEG) 』 という法律がある。法案趣旨は再生エネの発電に対して国が20年間買取保証するというものだ」とドイツと日本の制度を端的に紹介した。

 またメルクナー氏は「世界中に広がっているドイツの脱原発を巡る誤解を正したい」との意向を示した。
 まず、一つ目の「誤解」としてメルクナー氏は「ドイツはフランスからの原発電力の輸入に依存している。ドイツは自国だけ脱原発して良い顔をして誤魔化してきた」との風評を挙げた。川沿いに建てられているフランスの原発は夏期の熱波によって冷却水不足や、経年劣化による亀裂などで停止してしまう。むしろ、ドイツーフランス間の電力取引は均衡し、9TWhが輸出されている」とデマを正した。一方で「ドイツが脱原発を達成したことで、ドイツの保守的な政党から『原子力エネルギーの復活論』のような声も上がってきている」とメルクナー氏は憂慮する。しかしその上で「欧州規模で再生可能エネルギーの輸出入が盛んに行われている」とし、「2023年は輸入の大半はデンマーク、ノルウェー、オランダなど風力発電の割合が高い国々からだ」と指摘した。

[出典:BUND (FoEドイツ)スライドより]

 また、二つ目の「誤解」としてメルクナー氏は「欧州で原発を建設している」ことについて3つの事例を紹介した。
 一つは英国の「ヒンクリーポイント」計画、次にフィンランドの「オルキルオト」計画、そしてフランスの「フラマンヴィル」計画。各プロジェクトともに建設コストは2倍以上に大きく上昇し、建設計画も大幅に遅れている。また、フランスの原子力はコストが大きく上昇しているのが実情だ。つまり原発は経済的に本当は建設することができないもので、「原子力は安い」は嘘である。例えば最終処分場のコストを考えると助成金がなければ成立しない。日本でも福島第一原発電所事故に賠償など含めて数十億以上がかかっている。お金が被災者の方に充てられ、また復興のために捻出される必要性に迫られてきた。

[出典:BUND (FoEドイツ)スライドより]

 さらに3つ目の「誤解」として「脱原発はドイツの産業を衰退させる」と「ドイツの電気料金が高騰し住民は苦しんでいる」をも、メルクナー氏は正す。「2022年2月24日からのロシアのウクライナ侵攻を背景とする「節約」がある。電力価格は一時的に高騰したが、企業、個人など民間部門の再生可能エネルギーが投資を増やし、今は価格低下しており、冬場も電力供給量は全く問題がなかった。それまでドイツはロシアから安い天然ガスなどを買って生産活動に使うという輸入依存をしていた。しかし2022年にドイツの原子力発電割合が初めて10%を下回った。日本でも原子力の稼働年数を40年から60年に上げていくとしても発電コストが下がることはない。なるべく早期に「脱原発」を図っていく必要がある」とした。ただドイツでもまだ44%も化石燃料の割合が残されている。それを火力、風力、太陽光、水力とバイオマスだけで100%にしなくてはならない。それだけでなく、エネルギー効率のよい建物も必要だ。それらを含めて全て自然再生エネルギーで賄うなら日本にも『脱原発の実現』はできる」とメルクナー氏は提言を強調した。

[出典:BUND (FoEドイツ)スライドより]

【4】次なる『石炭』からの脱却・再生可能エネルギー100%を目指していく

[出典:FoE Japan集会にて筆者撮影]

 「BUND」バイエルン州本部のマルティン・ガイルフーフェ政策部長は「ドイツの脱原発市民運動の新たな動きとして、再生可能エネルギー100%を目指していく。ドイツエネルギー関連企業の人々も当時は同じく声を上げたが、今や再エネはやはり『将来の技術』であったという考え方に変わり、その方が信頼性が高いと気付いた政界でも経済界でも大きな動きが巻き起こっている。企業は再生エネを創り出す信頼性あるコスト安なエネルギー源としてその普及に尽力している。例えば米国自動車企業の「テスラ」は欧州への進出を検討した結果、西や南ドイツではガスや原発がまだあったため、再生可能エネルギーの普及している東ドイツに拠点を構えることにした。電気自動車(EV)を造る上で安価な再エネに期待したのだ。」とガイルフーフェ氏は具体例を示す。
 その上で「再エネがどれだけ安いのか?ガスは一番高く、太陽光が最も安価だ。棒グラフ(図)を見てみると、太陽光と風力がいかに価格を押し下げているかが理解できる。このチャート(折れ線グラフ図)でドイツの夏場と冬場の各状況がよく分かると思う。『再生可能エネルギー促進法』や金銭的な助成も後押しをしてきた。」ドイツが電力を送電網に供給した場合に顧客の支払いから「電力価格」や「電気代」が出てくる。ドイツではE Vやベランダや屋根の上の太陽光発電設置などにより、どれだけ「節約」できたか?どれだけ自分が費やしているのかが把握できるようになる事例だと言える」と強調した。

[出典:BUND (FoEドイツ)スライドより]

[出典:BUND (FoEドイツ)スライドより]

[出典:BUND (FoEドイツ)スライドより]

 ドイツでは『脱原発』を成し遂げたわけだが、次のステップとして『廃炉』を進めていかなければならない。除染も必要で何十年も時をかけて更地にしていかなければならない。私たちには法律的な基盤がある。政策的な意志としても再エネに賭けていこうという理解が広まっている。国土の2%を風力発電にする計画作りであるとか、そんな時に新法『市民参加促進制度』などの可決や出資の意味でも自治体レベルで住民参加を促そうとしてきた。EUでは「排出権取引」があり、ルールに準じてカーボンニュートラルをどう達成していくか。日本も先進国で効率や技術の高さを有する国だ。例えば建物の断熱など、日本はポテンシャルを活かしていけるだろう。全体として電力需要が高まっていく『トランスフォーメーション』が一つの課題である。国としての豊かさという意味合いなら実現できるだろう。日本は政治的に地政学の観点から『脱原発』『エネルギーシフト』の理想実現は難しい国だが、再生エネは平和を推進する重要な手段の一つであることを心に留めておいて欲しい。

 結語として、ガイルフーフェ氏は「核廃棄物最終処分場問題」に対しドイツで行っている取組みに言及した。「2050年も2070年もずっとその問題は続くだろう。解決策は未だ見つからない。だからこそ電力を再エネで賄うように2030年までに80%、2035年には再エネ100%とするために、ドイツ政府も民間団体も力を合わせて邁進して参ります」と完全脱原発達成からその次の段階に上がったドイツの市民運動の希望的未来を高らかに謳った。

[出典:BUND (FoEドイツ)スライドより]

【5】「欧州連合(EU)」全体の「エネルギー政策」の視座でみるドイツとフランス

「欧州連合(EU)」は独自の研究・イノベーション計画を通じて「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」「第6次評価報告書」は気候外交に重要な役割を果たし、また本報告書を支える「気候科学」に対し、世界有数規模の資金を提供している。EUは世界で2番目に多くの資金助成を行っている機関を持つ。EUは「成長戦略:欧州グリーンディール」の目標達成に必要な科学の発展に取り組んできた。

 2023年12月18日に欧州委員会は「欧州連合(EU)」締約国で取りまとめた調査報告書「国家エネルギー・気候計画(NECPs:National Energy and Climate Plans)」草案を公表した。2030年までのEU圏「温室効果ガス(GHG:Greenhouse gas)」排出量(emissions)を55%まで抑えるEUの気候変動政策パッケージ「fit for 55」で脱炭素化社会を掲げて目指している。
 この誓約は、それが今や欧州にとって効果的で完全なものとして国家レベルで施行する自身の主要な仕事だという確信を持っている。このことはなぜ、野心を満たすだけの「国家エネルギー・気候計画(the National Energy and Climate Plans)」を更新することが重要なのか?欧州は「国連の気候変動枠組み条約」第28回締約国会議「COP28」で欧州が指導的立場にあることを示してきた。
 欧州には地上に知らしめ、確固たる「気候変動との闘い」をする準備は整っている。その欧州委員会がこの過程で締約国を支援する準備が整った立つ背で「グリーン・トランジション」のための基金集めに有用性ある資源を使うことで良い実践を促していることによるものも含まれている。
 
 2019年にEUが採択した「(全西洋人のための)クリーン・エネルギー・パッケージ」は8本の束ね法案と3つの非立法イニシアチブから成るものだった。これらはEUのエネルギーシステムをずっと脱炭素化するという狙いがあり、EUがその2030年目標へ届くと認める対策を講じてきた。それが新たな「エネルギー同盟のガバナンスに関する規則(Regulation on the Governance of the Energy Union and Climate Action)」の制定だったのだ。
 2021年にEUは「欧州気候法(EU Climate Act)」を採択し「気候中立(Climate Neutral)」の立ち位置を示し、2050年までに法的拘束力のある「ゼロ・ネット・エミッション(net-zero emissions)」を確立すると謳った。その中間目標として1990年のレベルと比較した2030年までに55%までのネット・エミッションを削減する目標を掲げてきたという。

 2022年5月に欧州委員会はロシア石油燃料への依存から脱却すべく「リ・パワーE U計画(RE Power EU Plan)」を採択した。この計画は2030年のエネルギー効果対象を39%から42%へずっと増やすことを提案してきた。また再生エネルギーからの共有における2030年対象は2023年3月30日に40%から45%とされた。欧州議会と欧州評議会の交渉人らは、再生エネルギーの共有を2030年までに42.5%まで引き上げるとした。そこへ同年4月までに45%まで達することを認めるであろう、追加で2.5%の示唆的な補充を伴う暫定的な政治的合意に届くと見做した。
 「リ・パワーEU計画」を含む4つの立法提案の直近の状況は欧州評議会で未だ交渉の続く有用性のあるものである。
 2年前、2022年2月24日のロシアによるウクライナ侵攻後、化石燃料回帰の動きも見られ始めた。だが同時に「ウクライナ戦争」の長期化で、欧州は「リ・パワーEU計画」による脱露化を図っている。人間による資源紛争の歴史は長いが「クリーンエネルギー移行の加速」「省エネ」「エネルギー調達の多角化」の3本の柱からなる欧州のロシアへのLNG輸入依存に歯止めをかけ、ロシアの孤立化を狙いとしていると分析されている。
欧州委員会と欧州評議会と欧州議会の共同議員らは「気候とエネルギーに関する(政策)法的枠組み」を確立した。欧州委員会は草案を出した「NECPs」を調査した上で推薦状を議題にし、そして最終案を「NECPs」に送る時にその締約国は考慮に入れなければならない。このことは2024年6月30日までの義務でもあるのだ。

 2023年11月21日、欧州議会は「温室効果ガス(GHG)排出ネットゼロ」実現に貢献する技術(以下、ネットゼロ技術)のEU域内での生産能力拡大のために「ネットゼロ産業規則案」に関する修正案となる「立場」を採択した。規則案はEU域内のネットゼロ産業支援策「グリーン・ディール作業計画」の一環として欧州委員会が提案した。EU理事会(閣僚理事会)はまだ交渉途上の「立場」を採択していない。
 欧州議会案ではまず、規則案の対象となるネットゼロ技術を大幅に拡大。欧州委員会案では10の技術をネットゼロ技術に指定した上で、特に優先度の高い一部の技術を「戦略的ネットゼロ技術」に指定する。一方、同議会案では「戦略的ネットゼロ技術」の区分を削除した上で、ネットゼロ技術を16の技術に拡大する。この中には「欧州委が戦略的ネットゼロ技術に含めない」として、フランスを筆頭に反発していた「原子力」も含まれている。
 加盟国は「原子力の扱い」を睨み対立している現状がある。
 また、欧州委の規則案における「戦略的ネットゼロ技術」についてはEU域内の年間需要40%を域内生産するとのベンチマーク(努力目標)対象を設けていたが、同議会案では対象を「EUの気候・エネルギー目標の達成に必要な技術」へ修正した。この技術の世界需要の25%を域内生産することも目指す。欧州委案の課題とされた独自財源の欠如に関して、同議会案は「EU排出量取引制度(EU・ETS)」の有償割り当て分のオークション収入のうち、加盟国受け取り分の25%を規則案の目標達成支援に充てることを加盟国に求める規定を新設した。
 同議会案は域内生産を優遇する狙いで中国への依存度の高いネットゼロ技術の公共調達から、中国を排除する方針を明確化。
 同年同月22 日にフランスは2050年でのカーボンニュートラル(炭素中立)達成に向けた「エネルギー・気候戦略」を公表した。

 フランスの最終エネルギー消費のうち37%を石油、21%を天然ガスが占めるが、化石燃料から脱却する最初の先進工業国になることを目指す狙いがある。2024年初めにも閣議決定する予定の「エネルギー生産法案」と、同年中に採択される「エネルギー複数年計画(PPE)」に係わる「デクレ(政令)」に盛り込まれる見込みだ。同戦略は「省エネを促進」、「化石燃料依存からの脱却」と「低炭素電力・地域暖房網の拡大」などフランスのエマニュエル・マクロン大統領の肝煎が感じられる。
 マクロン氏は同年12月1日〜2日に「アラブ首長国連邦(UAE)」のドバイで開催された「国連の気候変動枠組み条約」第28回締約国会議(COP:Conference of the Parties)28」首脳級会合で「主要7カ国(G7)は2030年までに二酸化炭素排出量の多い天然ガスを含む石炭火力発電に終止符を打つ」よう促した。フランスは「国連の気候変動枠組み条約」第28回締約国会議(COP28)を前に米国と共に石炭火力の禁止に向けた有志連合への参加を各国に呼びかけてきた。

 欧州の中でもフランスは「洋上風力発電所」を盤石に再生エネルギーを推進してきた。漁師や地元自治体は漁業環境の保全に向けた交渉を続け、海の幸の環境を思案しながら計画の変更を重ねてきたのだ。風力発電所の建設は1500人以上の雇用を生み、操業を開始すれば年間800万ユーロ風力発電税の半分が地方自治体に入り地元経済を潤すと見做されてきた。
 その一方で、地元コートダルモール漁業委員会は2021年8月にサンブリウ湾の「洋上風力発電所計画」全体を対象に、海洋生物の種の保全に有害な物質を海に投棄したとして提訴している。環境保護団体「ガルデ・レ・キャップ」も2022年2月に環境影響調査の欠如や海洋汚染などがEUの保護すべき権利に抵触していると訴えてきた。
 「再エネ拡充」に「火力発電所縮減」へと舵を切るマクロン政権。だが実際は洋上風力が漁業関係者と利害が対立することが多く、漁業への補償や景観への配慮、大規模な高圧送電線の設置などで様々なコストを伴うという。
 
 「フッセンハイム原子力発電所」はフランスの中で最古の原発だ。現在、同原発は「解体」の危機に瀕している。フランス政府は既に廃炉の決断を下した。今や「解体」の準備手続きを進めている真最中だ。
 2011年フランス大統領選を翌春に控えた中、「フランス社会党」と「ヨーロッパ・エコロジー(緑の党)」が電気を巡る議題に2野党が賛同に回った。
 その間、「フッセンハイム原子力発電所」の早期の停止命令を含む、国内58の原子炉から24の原子炉を段階的に閉鎖する項目も含まれていた。
 その後、「フッセンハイム原発」はフランスの政策により危機に瀕してきた。2012年にフランス大統領選に勝利したフランソワ・オランド仏大統領が当時、所属していた「フランス社会党」はオランド氏の5期にわたる任期の中では、「フッセンハイム原発」の解体の決断に踏み込むことは決してなかった。
 原発の管理について「フランス電力(EDF)」は激しく抵抗した。反対派は原発を即時閉鎖することを要求した。そして原発の維持を求める推進派と2派対立で繰り返し抗議活動を行ってきたのだ。
 オランド氏の後任のフランスのエマニュエル・マクロン大統領は2018年に「フッセンハイム原発の『解体』と2020年までの『完全閉鎖』」を公表した。ところがその閉鎖後、2022年2月に状況は劇的に変化したのだ。グローバル市民は地球温暖化の対抗措置について目覚め、このアジェンダへの危機意識を高めていった。
 その背景ではマクロン氏が自身の政権のエネルギー政策として、新たに6基の次世代型「小型モジュール炉(SMR)」を確立するつもりであり、そのように指示する意向だと公表したのである。マクロン氏はかつてまでの原発ラインの削減から原発ラインの拡大へと一大政策転換をした。
 結果として、フランス国内では唯一「フッセンハイム原発」だけがエネルギー政策として解体を決断されたことになる。その意味はフッセンハイムの住民だけが「耳にタコができるくらい飽き飽きした」フランスの原子力政策によって餓死させられることを意味している。

――(筆者・質疑)「欧州連合(EU)」全体の「エネルギー政策」の視座でみると、日本はEUにとって「気候変動政策」の戦略的パートナーであるが、欧州委が「戦略的ネットゼロ技術」に含めないとした「原子力」の扱いを睨み反発したフランスを筆頭に対立しているという認識がある。フランスのマクロン大統領はCOP28で石炭火力発電に終止符を打つようG7加盟国に促し、洋上風力発電など再エネ政策の指導的立場を務める。にも拘らず、COP28では締約国が「脱炭素憲章」に合意する中、日本は米国と他21カ国と組んで2050年までに「原子力3倍増」政策を打ち出しており、時代の流れに明らかに逆行していると思う。戦略的パートナーであり、市民の関与が重要だと、ドイツは世界でも「脱原発市民運動」が政治を動かしたという実績は非常に稀だが、「地政学的に政治を動かすことは日本では難しい」と言うのであれば、日本の首脳級会談で日本の「逆炭素社会」「原発推進政策のGX」をマインドチェンジする試みや秘策はドイツ以外にフランスも含めEUにはあるのか?

 
 ガイルフーフェ氏が質疑に応じた。「ロシアのウクライナ侵攻があってハッキリ分かってきた。民主的な政党だったのがドイツの連邦議会において「いやいや私たちはやはり原発を行わなければならないという決定を下した」と。ロシアはウクライナ侵攻後、原発の運用を伸ばそうという話もあった。しかしドイツでは市民はよく反原発の動きがすごく強いということを分かっていた。風力、太陽光、水力があったとしても、産業のプロセスがもっと集約化されていくと思う。バッテリーが常にあって、また充電することができるとしたら、スマートな生活を余剰電力があったとすると『グリーン電力』をもっと使っていたと思う。そしてまた法で義務化されている。故に効率も上げることができている。
ドイツにおいては反原発のそのような動きをやはり私たちは決定した。ロシアのウクライナ侵攻後に2023年4月まで原発の運用年数が数ヶ月間先延ばしにされた。しかしドイツの私たちは全ての原発を脱却するという大志を成し遂げた。それは本当に例外的なことで、本当にドイツにおいて『再生可能エネルギー』は『平和』をもたらすということが大変よく理解されている。また政党も既に再生エネが必要であって原発に戻ることはできない。ということは主張、そして信念として抱いている」とドイツの市民運動がいかに政治を巻き込んで「脱原発」を実現させたか?経験則から日本へのヒントを教授した。

【6】「令和六年 能登半島地震」で破綻した「避難計画」陸路・海路・空路も使えない

[出典:北野 進さん 原子力市民委員会(CCNE)]

 2024年元日、M7.6の「令和六年 能登半島地震」が起きた後、2分後に別のM5.7の地震が起きた。
「志賀原発を廃炉に!訴訟」の北野 進 原告団長は珠洲市の観光スポット「見附島」を紹介しながら当日を振り返り「後背地の宝立町で地域全体が壊滅的な被害を受けた。私の知人も津波で流されたり、倒壊家屋の下敷きになった。今回、年明け早々の震災となったが、実は3年前から珠洲市を中心に奥能登群発地震が続いている。私は元旦の震災が少し落ち着いた段階で『果たして今回の地震で一連の地震活動は収束に向かうのか?次なる大地震のカウントダウンの始まりではないのか?』と懸念を抱いた。」と語り始めた。

 北野氏は元日の震災当時、金沢市の方まで出てきていた。M.7.6発災から4日目の1月5日になり、ようやく車で金沢市から珠洲市にある自宅に向かったという。
 「自宅までの道路が通れるか、確認に時間がかかった。奥能登に入ると道路には多くのひび割れや亀裂、陥没があった。大きな陥没や損傷、土砂崩れなどがある場所では、片側交互通行となり、何百mという渋滞が続く。時速40〜50kmのスピードですら危なくて出せない。道路の陥没をかわしながらせいぜい時速20km〜30kmがやっとだった。うっかりよそ見をすると亀裂にハマってしまう。奥能登に入ると、路肩に止まっている車が数多く見られた。道路の亀裂などによるパンクだった。咋年5月の震度6強の地震で被害を受けた家が今般の地震で倒壊し、片側車線を塞いでいた。
昨年暮れの12月23日の大雪では一晩で50cmほどの積雪があり私の自宅は雪に覆われた。もし年明け以降そのような大雪があれば亀裂や陥没のある道路は危険で『除雪』できなくなる。内閣府が設置している『地域原子力防災協議会』では『志賀地域』だけでなく『柏崎刈羽地域』でも除雪体制が重要な議論になっているが、道路が損傷を受けた場合の除雪体制は検討されていない。
 一方、『海路』はというと、外浦側の港が隆起で使えない。富山湾側は地震被害と津波被害で使える状態にない。津波に流されてきた様々なものが港に沈んでおり、安全の確認ができない。自衛隊のホバークラフト型の揚陸艇で若干の重機や物資の搬入はあったが、海路からの重機や物資の搬入計画もほぼ断念せざるを得ない実態だった。無論、海路から住民が避難できるとは思えない。
 他方、『空路』は?能登空港の滑走路もひび割れており、1月12日にようやく自衛隊を投入し始めて在日米軍も災害支援に人員を割いたが、ターミナルも大きな被害を受けていた。その前段としてそもそも避難したくても空港まで行く術がない。実は『志賀原発』以北の住民は緊急の移動には使えるとしても、7万人の大量避難には対応できない。これまでの「避難計画」は事実上、破綻したと言える。」と自身の被災経験から問題提起の声を上げた。
[出典:原子力市民委員会(CCNE)緊急オンラインシンポジウム『能登半島地震から問い直す原発稼働の危険性』より]

【7】志賀原発停止と珠洲原発予定地計画の頓挫が幸いした「令和六年 能登半島地震」

[出典:北野 進さん作成スライド(図1)より]

 北野氏は複数の『図』を示し、分かりやすく解説し始めた。「2020年12月から続いている奥能登の群発地震は『図1』の右部分、赤い点で記されている。珠洲原発の予定地「関西電力」管轄の高屋(左)と「中部電力」管轄の寺家(右)だ。まさに群発地震の巣の中に原発予定地があったと言える。この図は昨年5月5日までの地震図だが、『震央』に着目してほしい。『高屋』と『寺家』の中間あたり、そこから約5km程の場所にある。実はこの日の夜にもまた震度5強の地震が起きたが、その『震央』は『高屋』の調査エリアからほんの数百mしか離れていない場所だった」と指摘。

[出典:北野 進さん作成スライド(図2)より]

[出典:北野 進さん作成スライド(図3)より]

「現在、『北陸電力』の志賀2号基適合審査が行われているが、いままさに周辺断層の審査に入っている。北電の評価では『外浦』と称する珠洲の能登半島の先端から輪島にかけてこの活断層の「地図(2)」にあるように『能登半島北部沿岸域断層帯』が長さ96km推定M8.1とされている。この活断層が動いたら大変なことになる。奥能登の住民の一人として、私は万が一にもこのような巨大断層が動くことは絶対あって欲しくないけれど、事が起きたら奥能登は壊滅状態になるだろう。また志賀原発の再稼働は絶対に阻止しなければならない」と述べた。
 珠洲の原発予定地は2003年に電力会社が撤退して終了したことを踏まえて北野氏は「計画が推進されていた当時は『関西電力、中部電力、北陸電力』は96kmどころか活断層の存在さえ認めなかった。1996年には能登半島沖地震が発生したが、『安全キャンペーン』を張るだけだった。珠洲の脱原発運動もこうした知見が早く確認されていればもっと早く終了していたかもしれなかった。
そんな中での令和六年能登半島地震。想定を遥かに大きく上回る150kmの断層が動いた。その直前には中国地方でM5.5の大きな揺れがあり、その『震央』は『高屋』のすぐそばだった。M7.6の地震の震央は高屋の裏山だった。

[出典:北野 進さん作成スライド(図4)より]

「また、『能登半島北部沿岸域断層帯』と2007年の『能登半島地震』震源にもなった西側『笹波沖断層帯』の連動はあったのか?(『図4』)。『北陸電力』は件の問題を審査の中で否定してきたが、『震央』の『分布図(3)』からこの連動を否定できないと思われる。今回動いた断層の東側(佐渡側)の海域には『NT2』『NT3』と称する2つの活断層があることを『北陸電力』も認めている。ところが『能登半島北部沿岸域断層帯』と『NT2』『NT3』の連動は検討すらされていない。全くのノーマークだった。  
実は志賀原発周辺にまだ非常に無数の巨大活断層が存在することが確認されている。かつて北電が認めていなかった断層の多くが活断層だと認められている。」

[出典:北野 進さん作成スライド(図5)より]

 北電の資料を基に北野氏が作成した「図(5)」によれば、(左)海域、(真ん中)能登半島陸域、(右)富山湾側に多くの活断層が存在していることがわかる。M.6やM.7の想定も「北電」が提出している資料に基づくものだ。この震災の中で例えば(真ん中)の一番下、『邑知潟南部断層帯』がM7.6と評価を上げた。さらなる懸念はこれらの断層が連動した場合、M.7あるいはM.8などの今を超える激甚被害を想定されることだ」。国と北電は否定しているが、北野氏の不安は尽きない。

[出典:北野 進さん作成スライド(図6)より]
「『北陸電力』は周辺の断層として、志賀原発の北側9kmにある『富来川南岸断層』、志賀原発の裏手、山側1kmのところにある『福浦断層』、さらに沖合の方にも『兜岩沖断層』と『碁盤島沖断層』がある。いずれも北電が従来活断層ではないとしてきたものだが、ついに否定できなくなった。この中の福浦断層と碁盤島沖断層は並行しており、連動の有無を検討するよう規制委員会は北電に指示した。逆正三角形のような(図6)位置関係にあり、それぞれ傾斜が違う活断層だが、その上の方に『志賀原発』が乗っかっている。例え連動しなくても、『志賀原発』敷地の安全性も危惧される。」と北野氏は警鐘を鳴らす。

<結び>3.11から令和六年能登半島地震の被災者へ渡す「志賀原発廃炉運動」へのバトン

 北野氏のもとには「『珠洲市に原発がなくて本当に良かった。』『志賀原発が止まっていて本当に良かった』との全国からの安堵の「声」が寄せられている。応援してくれた全国の皆様に感謝申し上げ、改めて『志賀原発を止めて廃炉にする』『全ての脱原発社会を実現する』ために脱原発運動に邁進する力に変えていきたい。共に頑張りましょう」と北野氏はオンライン上から呼びかけた。

 改めて3.11「フクシマ」の激甚災害と原発事故の教訓から「令和6年能登半島地震」被災者へ渡された「脱原発運動」の「バトン」。北野氏はしかと受け止め「志賀原発廃炉」闘争への炎(ほむら)は再び灯された。
[出典:原子力市民委員会(CCNE)緊急オンラインシンポジウム『能登半島地震から問い直す原発稼働の危険性』より]

tomokihidachi

2003年、日芸文芸学科卒業。マガジンハウス「ダ・カーポ」編集部フリー契約ライター。編プロで書籍の編集職にも関わり、Devex.Japan、「国際開発ジャーナル」で記事を発表。本に関するWEBニュースサイト「ビーカイブ」から本格的にジャーナリズムの実績を積む。この他、TBS報道局CGルーム提携企業や(株)共同テレビジョン映像取材部に勤務した。個人で新潟中越大震災取材や3.11の2週間後にボランティアとして福島に現地入り。現在は市民ライターとして執筆しながら16年目の闘病中。(株)「ログミー」編集部やクラウドソーシング系のフリー単発案件、NPO地域精神保健機構COMHBOで「コンボライター」の実績もある。(財)日本国際問題研究所「軍縮・科学技術センター」令和元年「軍縮・不拡散」合宿講座認定証取得。目下プログラミングの研修を控え体調調整しながら多くの案件にアプライ中。時代を鋭く抉る社会派作家志望!無数の不採用通知に負けず職業を選ばず様々な仕事をこなしながら書き続け、35年かけプロの作家になったノリーンエアズを敬愛。

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