クラウドファンディングサイト『CAMP FIRE』上で行われた『福島からチェルノブイリへ! 津田+開沼+東が観光地化復興の実態を探るプロジェクト』が4月30日、目標額を大幅に上回った状態でパトロンの募集を終了した。
そもそもクラウドファンディングって?CAMP FIREとは?
そもそも、クラウドファンディングとはなんだろうか?wikipediaによれば、その定義は以下の通りである。
不特定多数の人が通常インターネット経由で他の人々や組織に財源の提供や協力などを行うことを指す、群衆(crowd)と資金調達(funding)を組み合わせた造語である。ソーシャルファンディングとも呼ばれる。
CAMP FIREは、クラウドファンディングのプラットフォームとなるサイトであり、運営会社の代表取締役に家入一真氏が名を連ねていることでも知られている。
この種のサービスでは、支援金額に応じてパトロンへの還元を行うことが通例であり、今回紹介するプロジェクトでも、支援金額に応じてポストカードや取材模様をおさめたDVDの提供などを約束している。
福島第一原発観光地化計画とは?
福島第一原発観光地化計画は、哲学者・作家の東浩紀が中心となって2012年から活動が始められた福島第一原子力発電所跡地付近の復興計画である。この計画の中心メンバーは、メディア・アクティビストの津田大介をはじめとして現代芸術家、社会学者、建築家、観光学者など、さまざまなジャンルで活躍する人物によって構成されている。
この計画の最大の目標は、2011年3月11日に発生した福島第一原子力発電所事故の記憶を風化させずに、後世に伝えることである。
主な提案は、事故後25年にあたる2036年頃に、除染が進んで福島第一原子力発電所から数百メートルの位置まで一般市民が防護服なしに近づけるようになった状態を想定し、事故跡地付近に建設する施設での展示である。
『福島からチェルノブイリへ! 津田+開沼+東が観光地化復興の実態を探るプロジェクト』
今回、福島第一原発観光地化計画中心メンバーが『CAMPFIRE』上で行ったのは、中心メンバーである東・津田・開沼博(社会学者)が、現在ではウクライナ政府の公認ツアーが行われているチェルノブイリ原発へ行き、その様子を映像として記録するプロジェクトへのパトロン募集であった。
プロジェクトの紹介ページによれば
観光客は、何を求めてチェルノブイリを訪れるのか。近隣住民や被害者たちは、そんな現状をどう感じているのか。福島原発の事故を経験したわたしたちは、そこから何を学ぶべきなのか。現地に赴かなければわからないことがあるはずです。
とある。ツアー自体は2013年4月8日〜4月15日の日程で行われ、すでに終了しており『CAMPFIRE』のプロジェクトページでは、活動報告としてウクライナ取材中に計測した放射線量やスナップをパトロン向けに公開している。
さて、今回『CAMPFIRE』上で行われた『福島からチェルノブイリへ! 津田+開沼+東が観光地化復興の実態を探るプロジェクト』は、3月末にプロジェクトの実施が発表され、4月2日の時点で目標額の100万円を突破し、支援表明期限の4月30日までには、約600万円の支援が集まった。パトロンは総勢728人におよび、当プロジェクトならびに福島第一原発観光地化計画への関心の高さがうかがえた。
チェルノブイリ原発事故から25年の年に起きた福島第一原子力発電所事故。2011年3月11日からまだ2年しか経っていない今の時点では、Twitterなどのソーシャルメディアを中心に不謹慎であるとか、現地の住民の心情に配慮しろといった批判も存在しないわけではない。
しかし、この計画は25年後の日本に向けた悲惨な事故を風化させないための復興計画である。これからもさまざまな批判・非難がこの計画に投げかけられることは避けられないであろう。
だが、そのような批判・非難に耳を傾け、計画の本旨への理解を少しずつでも得ながら、実現に向け行動していくことが最も求められることである。そうすることで、理解の無い人々も次第に心を開いてくれるのではないだろうか。まだ福島第一原発観光地化計画はその道のりを歩み始めたばかりである。
(画像は上から福島第一原発観光地化計画サイトトップページ、CAMPFIREプロジェクトページ)
福島第一原発観光地化計画 http://fukuichikankoproject.jp/project.html
福島からチェルノブイリへ! 津田+開沼+東が観光地化復興の実態を探るプロジェクト(CAMPFIRE)
http://camp-fire.jp/projects/view/617