すっかり定着した感のある「厨房男子」ブーム。世間一般の「男の料理」のイメージとしては、「豪快」「ボリューム感」「素材へのこだわり」などがあげられるでしょうか。
「こだわり」ひとつとっても、女性の場合は「栄養バランス」「盛りつけの美しさ」などを重視するのに対し、男性は、たとえば「どこそこでしか獲れない魚」といった限定プレミア感、「何日間干して何時間漬け込んだ」といった数量的手間ひま感をアピールしがちです。男って、面倒くさいですね。
加えて、「火を薪から起こす」「魚を三枚におろす」といったサバイバル感といいますか、「ナマの素材を、できるだけ原始的な手法で調理するのが男だぜ!」といったこだわりが強いようです。ますますもって面倒くさいですが、「土鍋でごはんを炊く」もその一例ですね。
男子たるもの、土鍋でごはんくらい炊かなくては!…ということで、東京・代々木上原にある料理店「おこん」で開かれた「土鍋炊飯教室」に馳せ参じてきました。
店主の小柳津さんのお米へのこだわりが長じ、土鍋ごはんがメインメニューとなり、時に炊飯教室まで開いてしまっている当店。男らしく「たのもう!(心の声)」と入店してみると、意外にもというか、案の定というか、参加者はボク以外全員女性。一気に草食男子的なしおらしいポジションに落ち着きました。
ところで土鍋ごはんの炊き方ですが、(炊くだけなら)拍子抜けするほど簡単! 秘伝のワザもさほど高度ではなく、企業秘密かと思いきや「ブログで公開していいですよー」と店主が言ってくれましたので、以下公開しちゃいます。
●おいしく炊く第一歩は、米選びから始まる。とはいえブランド米という意味ではなく、いつ精米したかという鮮度のほうが重要。
●お米はサッと軽く研ぐ。研ぎすぎると栄養分まで流れてしまう。
●研いだお米はひと晩しっかり浸水させる。
●たとえば3合炊きの場合、強火で約10分→弱火で約10分→蒸らしで約10分と、手順はシンプル。
●炊きたてアツアツより、10分蒸らして適温に冷ましたほうがおいしい。蒸らす際は土鍋の上にタオルをかぶせ、蒸らし効果を上げる。
参加女性陣からは「どんな材質の鍋が?」「水はどんな水?」「研ぐのは何分? 蒸らすのは何分?」「途中でフタを開けちゃダメ?」など微細な質問が飛び交い、さすが日本人はマニュアル民族だなーとしみじみしてしまいました。
ともかく、「何で炊くか? 土鍋でしょ!」のつかみで彼女を家メシに招待するのはアリではないでしょうか。「米の産地は…」「火加減は…」など、過度のこだわりアピールさえしなければ。