【栄養士コメントあり】物価高騰の世の中だからこそ簡単手軽に安く豊かな食卓を!探して厳選すれば食生活も変わる?

  by 古川 智規  Tags :  

物価高で何もかもが値上がりしてなかなか厳しい世の中だ。毎日必ず必要な食事の手配ですら苦悩が伴う。外食ばかりではコストがかさむので、やはり家庭では手作りの料理が、お一人様でもたまの自炊はやりようによってはコスト削減になる。本稿では市販されている調味料や簡単にできる本格料理からいくつかをピックアップして作ってみたので、食卓の参考にしていただきたい。

うまだし

まず何の料理にも欠かせないのは「だし」だ。うま味という日本発祥の味覚は日本人であるならば押さえておきたい。辛子明太子で有名な「やまや」が販売する「うまだし」はだしパック30包入りで、煮だしてもいいし粉末で使用しても構わないので、みそ汁から鍋料理、煮物まで何でもこなす。

美味しいみそ汁と白いごはんに生卵があれば、日本人には立派な朝ごはんだ。だしは6種類の材料を厳選して配合しており、昆布・鰹節・うるめ鰯節・しいたけ・鯖節・焼きあごが入っていてすべて国産だ。特にあごだし(トビウオ)は九州ではポピュラーなだしだが、近年は全国的な知名度を得て好まれつつある。

肉がいらない肉料理?

次におかずになる本格中華料理だが、この類のものは材料を別途用意して調理が必要なものが多い。マルコメの大豆のお肉でつくる本格四川シリーズの回鍋肉と麻婆豆腐は商品名の通り肉を用意する必要はない。大豆肉がパッケージに入っているので、必要な材料は野菜や豆腐だけだ。

見た目はもちろんだが、食べても言われなければ大豆肉だとはわからない。ポイントはどちらも下味をしっかりと付けてフライパンで焼き目を付けることだ。下味のタレもちゃんとついている。普通に美味しい回鍋肉や麻婆豆腐だが、肉は一切使用していないのでヘルシーという面についてはタンパク質抜群でこれ以上ない出来だ。ある主婦にこれを紹介すると、すぐさま買いに行ったが残念ながら見つからなかったそうだ。あるところにはあるのだろうが、現状では探さないと見つからないくらいの人気なのか、見かけた際には買いだめしておいて損はない逸品だ。

塩糀は食塩の代わりになる?

最後はマルコメから発売されている3品をまとめて紹介する。左から粕汁の素、パウダー塩糀、生みそ・糀美人だ。

「プラス糀 生みそ 糀美人なめらか」は、前述の味噌汁に使用したもので、糀をぜい沢に使用し丁寧にこした米味噌だ。味噌は地方により特徴がある。本品は一般的な米味噌だが、どちらかというと甘めの味噌だ。ナスを油でいためて、味噌仕立てにすると柔らかく、しかも甘く食べやすいお惣菜になる。子供でも食べやすいナス料理だ。

「料亭の味 粕汁の素」は、純米酒粕と2種類の信州みそが配合された、使いやすいパッケージだ。粕汁でもよいが、豚汁にも使用できるので、今回はご飯のおかずに豚汁を作った。さすがに粕汁の素なだけあって日本酒の香りがかなり強い。粕汁であればそれでよいのだが、気になる場合は煮込み時間を足して少し香りを飛ばし、前述の味噌を加えると滑らかで柔らかい粕汁調の豚汁ができる。本当に温まるこれからの季節にぴったりのおかずだ。

最後は「プラス糀 塩糀パウダー」だ。万能調味料の生塩糀を、さらに使いやすくしたパウダータイプで、通常は下ごしらえとして漬け込んだりまぶしてなじませたりする。しかし、せっかくのパウダー状なのでそのまま食塩の代わりとして使用してみた。写真は市販の出来合いの焼き鳥に本品を振りかけただけだ。うっすら塩味がついて糀が肉のうま味を引き出して、スーパーのものとは思えない絶大なチョイ足しの味わいになる。

こちらは牛肉に本品を振りかけて下味をつけて焼いただけのものだ。特に他の調味料を使用しているわけではないので、基本は塩と肉の味だけで、お酒のあてやご飯のおかずとして葉物野菜に巻いて食べる等の工夫で簡単にできる。

ジャガイモを薄切りにして本品をまぶして焼いただけでの時短料理だが、うっすらとした味わい深い塩味はお酒や食が進む。
ところで、塩糀のパウダーを下ごしらえではなく食塩の代用とした調味料に使用できるかについて、栄養士の本間直加さんに聞いてみた。

「塩麹は、米麹・塩・水を混ぜて発酵させたものです。よって、米麹の酵素により食物の栄養を消化吸収しやすい形になることで体に取り込みやすくなったり食材を柔らかくしたり、腸内環境を整えます。またビタミン類の働きにより疲労回復や皮膚・粘膜の修復や健康維持に役立つなど、米麹には健康や美容に役立つ成分が多く含まれています。
本品を分析したわけではありませんが、一般論として特によく挙げられているものとしては、酵素の働きです。プロテアーゼはタンパク質を分解することで食材をやわらかくします。分解されたタンパク質がアミノ酸になり、旨みがアップします。アミラーゼは、でんぷんをブドウ糖に分解することで甘みがアップします。これらは下ごしらえの用途では有名ですが調味料として使用しても同じと考えられます。
豊富なビタミン類については、ビタミンB1は糖質を体を動かすためのエネルギーに変換する働き(エネルギー代謝)があるため、疲労回復につながります。ビタミンB2とB6は皮膚や粘膜の修復・健康維持(タンパク質代謝)に役立ちます。腸内環境を整える作用もあり、麹菌のもつ酵素により、オリゴ糖ができますが、このオリゴ糖は消化されず直接腸に届くことで善玉菌のエサとなり、腸内環境を整える(善玉菌が増える)働きがあります。
このように、どの段階で使用しても健康上で損はないですが独特の香りというか風味で好みが分かれるのが唯一の欠点と言えます。本品は乾燥パウダーでほとんど香りがないので、食塩の代わりに使用すると減塩にもつながり、結果的に万人におススメの調味料になるのではないでしょうか」

(記者注:糀と麹は和製漢字か中国由来の漢字かの違いで現在では厳密な違いはないが糀と書いた場合は一般的に米麹のことを指すことが多い)

糀の風味や香りは感じ方に個人差があるものの、それさえ問題なければ栄養上も健康に役に立ちそうだ。市場にあふれる調味料や食品材料をよく吟味して、物価高の中でも手軽に安く価値あるもので豊かな食生活を送っていただきたい。

※写真はすべて記者撮影

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