福岡市東区にある筥崎宮の楼門には、日本一勇ましい扁額が架かっている。『敵国降伏』と大書されたこの額の由来は元寇襲来にまで遡る。
向かうところ敵なしのモンゴル帝国(元)軍が九州博多湾一帯に来襲した際、九州一円の御家人たちは死力を尽くして撃退に尽くしたが、時の亀山上皇もモンゴル帝国軍の降伏を祈願して、この額を楼門に掲げたと伝えられている。
福岡市といえば、「かわいい区」などでも知られているが、地理的には中国大陸に近いこともあり、古代から出入国や貿易の要所でもあった。それは同時に外国軍の侵略をまともに受けやすいということでもあり、亀山上皇の『敵国降伏』の心意気は博多っ子には心強いものであったに違いない。
しかし、勇ましいとはいいながら、『敵国壊滅』ではなくて、『敵国降伏』と書かれたところに古代日本人の優しさも垣間みえ、ほほ笑ましい気持ちすら感じるから不思議である。
シャープの凋落を止めるには、この亀山上皇の『敵国降伏』に頼るしか手はないのかもしれない。現在、日本一勇ましい筥崎宮では、年に一度の放生会が行われている。