どうも特殊犯罪アナリスト&裏社会ライターの丸野裕行です。
世の中には様々な商売がありますが、限りなくブラックに近いグレーゾーンの仕事というのが少なからずあります。
相手の身分を保証したり、証明したりする仕事、それが身分保証業になります。
どこに勤めていて、どこに住んでいてなど、訳ありの依頼者の身分をねつ造することで、高額の報酬を要求するというこの業種。怪しさ満点です。
今回は、この身分保証業に身を置く石坂雄二氏(仮名/45歳)に、身分保証の裏側の話を聞くことができました。
<※写真はすべてイメージです>
元々は風俗業に従事する人間に重宝されていた
丸野(以下、丸)「どんな職業の人がよく利用しているんですか?」
石坂氏「そうですね、元々は風俗関係で働いている女やボーイがクレジットカードをつくるとき、部屋を借りるときに重宝されていたんです。ウチは社会保障までやっている法人格を利用して身分保証業をやっているので、料金さえ払ってもらえれば、保険証も出しますよ」
丸「すごいな、保険証まで……。違法……ですよね?」
石坂氏「違法です。最近では、身寄りがない孤独な高齢者やおひとり様が多いので、入院のときなんかに身元保証を請ける団体が急増しています。まぁ、ほとんどが怪しい団体ばかりなんですがね。老人ホームに入るときでも身元保証は必要になりますから、なくなる商売ではないですね。最近大手の身分保証会社『日本ライフ協会』が負債を12億円も抱えて破綻したんですよ。年寄りから契約金156万円もふんだくっといて、破綻するんですから、目も当てられない。そりゃ、次々に変な団体が入ってきますよ」
丸「老人ホームに入るときも身元保証がいるんですか?」
石坂氏「身分保証業者は、契約者が医療費や老人ホームの費用を滞納したときに費用負担するだけでなく、病状悪化で意思疎通ができなくなったときに、契約者の代わりに治療や介護の方針を示したりするんですよ。さらに、身寄りがないから死亡したあとの遺体と所持品も引き取ります。今頃途方に暮れている高齢者も多いと思いますよ」
丸「まぁ、未婚者や熟年離婚が増えたりしてますからね。親類がいたとしても迷惑をかけられないという人も多いですしね。全国に身分保証業者ってどのくらいいるんですか?」
石坂氏「正確な数字はわかりませんけど、日本全国に100社以上はあるようですね。数千人規模の会員を持つ団体もあるみたいですよ。日本全国の消費生活センターに“〇×という身分保証会社は信用できるんですか?”という問い合わせが増えているといいますしね」
行政許認可がないために誰でもはじめられる商売
丸「身分保証業というのは誰でもはじめられるんですか?」
石坂氏「身分保証という仕事は、行政の許認可がいらないので、誰でもいつでもはじめられます。ウチでも、法人格さえ持っていれば商売になるから、幽霊会社や倒産しかけの会社なんかを買いまわっています。それに、ウチもご多分に漏れず、高齢者と身分保証契約を結ぶ場合があります。しっかりしたところは、入会金110万円と3,000円程度の月額料を組み合わせて支払うプランもありますが、ウチは一括払い。高齢者はいつ死ぬかわからないし、取りこぼしを避けるためにもそうしています。一括払いで150万円、税別です」
丸「では、それが死亡後の葬儀や納骨などに充てられる預託金になるわけなんですね?」
石坂氏「さぁ、どうでしょう(笑)。もう死んじゃってますからね。無縁仏として病院と役所側に処理してもらう方が早いですよ。大体、身寄りのない高齢者って、一体何の契約をしたのか理解してないですもん。契約したとおりにサービスを受けられないということも全国的に出てきているみたいですね。気に入らないなら、解約のときに高額の違約金を請求しますから(笑)」
丸「ヒドいな」
石坂氏「これも増えていますが、ウチは契約者の預貯金や不動産の財産管理と遺言書作成も引き受けています。まぁ死ねば、全部ふんだくられますよね。結構儲かっていますよ、不動産物件を保有している契約者も多いですから……」
保証代行人はうまみがあるが、リスクもある
丸「他に手口はありますか?」
石坂氏「“相保証”という手がありますね。これは保証代行人をたくさん飼い馴らしておくことが重要です。今、多くの身分保証業者は“不動産賃貸”、“融資”、“就職”などの保証人を紹介するシステムをとっています。まぁ簡単に言えば、カーローンを組みたいとか、マンションを借りたいと保証人を求めているお客に、保証代行人をマッチングさせるわけです。保証人になるヤツには、お客から支払われた35%~50%ほどの報酬を支払います」
丸「ほほう」
石坂氏「何もせずに金が入ってくるわけですから、お得ですよね。でも、保証人になった相手がバックレた場合は、支払い義務が出てくるんですけどね(笑)。それを防ぐために、相保証させるんです。お互いに逃げずにちゃんと支払いをしようね、と(笑)」
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いかがでしたか?
また、石坂氏は少しでも良心があったのか、最後に「注意喚起」をしてくれました。
「悪徳身分保証業者にひっかからないようにするためには、まず各市町村の『社会福祉協議会』や最寄りの福祉窓口『地域包括支援センター』に相談することオススメしますね。被害が出ている業者がそれでわかりますから」
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