高校生の頃、学校の近くにあったお好み焼き屋によく通っていたのですが、豚玉などから豚肉を抜いて、先に鉄板で焼いて焼肉として食べるのにハマっていました。卓上の塩コショウだけで食べるシンプルな豚焼肉がウマくてウマくて。
冷静に食べ比べたら焼肉屋で食べる肉のほうが絶対ウマいのでしょうが、お好み焼き屋で焼肉を食べるという非日常感や少しの背徳感もまたウマいと感じる要素になっていたのでしょう。
しゃぶしゃぶ屋で焼肉を食べたい
ところで、最近は食べ放題のシステムを導入しているしゃぶしゃぶ屋さんが増えてきました。ぽん酢やごまだれなど、つけだれを変えながらお肉をたらふく食べるのはこの上ない幸せですが、しゃぶしゃぶ以外の肉料理も食べられたらさらに幸福度が上がるかもしれません。
しゃぶしゃぶの鍋は鉄製の物が多く使用されています。ということは鍋から出汁がなくなれば鉄板と同じ。出汁がない状態を作り上げることができれば、しゃぶしゃぶ屋でも焼き肉を食べることができるかもしれません。
とはいえ鍋に入っている出汁を捨てたり、無茶をして鍋を焦げ付かせてしまうなどお店に迷惑をかける行為は言語道断。迷惑をかけないよう最大限配慮しながらしゃぶしゃぶ屋で焼肉を作ってみることにしました。
真っ先に麺類を食べて出汁を消費する
鍋に出汁がたっぷり入れられた状態から効率よく出汁を消費するには、スタートから麺料理を食べるのが一番。本来はシメに登場することの多いうどんをいきなり白だしの中に投入してみました。
するとこれが最高にウマいのなんの。まだ澄んだ状態の白だしで食べるので、なんというか味に透明感があるのです。純粋に白だしとうどんの味を堪能できるし、肉や野菜を一緒に食べればなかなか贅沢な気分も味わえます。真っ先に食べるシメのうどん、大いにアリじゃないか!
しゃぶしゃぶ屋で焼肉をしようと思わなければシメのうどんを最初に食べる美味しさに気づくことはなかったかもしれません。固定観念を疑ってみることって大切ですね。
鍋の半分は野菜をたくさん入れて蒸発を防ぐ
フルパワーで鍋を加熱しながらうどんを大量に食べ進めていると、白だしの入っていた方はかなり底が見えた状態になってきました。もう片方には常に野菜がたくさん入った状態をキープしておきます。こうしておけば片方は出汁が蒸発しにくくなるため、白だしがなくなるのを待つ間にもしゃぶしゃぶを堪能することも可能です。
焼肉のタレを作る
出汁がなくなる前にあらかじめ焼肉のタレも用意しておかないといけないですね。食べ放題系のしゃぶしゃぶ屋ではいろいろな種類のつけだれが用意されていることが多く、その中には焼肉の適性が高そうなつけだれもあります。これらを調合して焼肉のタレを作りましょう。
この日は「きざみ玉ねぎの香味だれ」と「レモンガーリックだれ」なんていうつけだれがあったので、豆板醤やニンニクなどを混ぜてオリジナルの焼肉のタレを作ってみました。
そうこうしているうちに白だしはすっかり蒸発し、鍋の底が見えてきました。残った白だしは取皿に移し、いよいよ焼肉を始めます……!
しゃぶしゃぶ屋で焼肉、見事に大成功!
半分が鉄板と化した鍋にまず投入するのは脂身の多い豚バラ肉。脂身に熱を加えることで油を染み出させ、鉄板のこびりつきを防ぐ作戦です。
そして油を全体に広げながら肉を加熱しつづけていくと……
焼けた!! 豚肉にしっかり焦げ目がつきました!!
そのままオリジナルの焼肉のタレに肉をつけて食べると……
ウメエェェーーーーッ!! これは紛れもない焼肉だ!! しゃぶしゃぶ用の肉は薄切りなので食感も柔らかく感じますし、タレには豆板醤をたっぷり入れたことで味もガッツリと焼肉に寄せることができました。
やはりこれもきっと焼肉屋でちゃんと焼肉を食べたほうがウマいのかもしれませんが、しゃぶしゃぶ屋で焼肉を食べられたという達成感が満足度を非常に高めてくれます。
その後も鍋の片側ではしゃぶしゃぶを、もう片側では焼肉を続けて食べ続けましたが、食べられるもののバリエーションが広がる感じが最高! 野菜もたくさんあるので肉野菜炒めのようにしても幸福度が高いかもしれませんね。
ラストは鍋を焦げ付かせないように出汁を戻し、焼き上げておいた肉を使って豚焼肉丼を作ってフィニッシュしました。ごちそうさまでした!
お店に迷惑をかけないというのが大前提になるので、あまり声を大にしておすすめとは言えませんが、同じ料金のなかでしゃぶしゃぶも焼肉も食べられたのは最高の一言だったと報告させていただきます。これはまたやってしまうかもしれません。