どうもどうも、ライターの丸野裕行です。
先日、近しい方が亡くなられ葬儀に行きました。火葬場に移動してから2時間ほど待ち、遺族や親戚、親しかった人が故人のお骨を取り囲んでのお骨上げとなりました。
足から順番にお骨を拾い上げ、最後に喉仏部分を骨壺に納めました。しかし、骨壺に入ったお骨はごく一部で、残りのお骨を置いて火葬場をあとにしたんです。と、そこで、ふと疑問が湧いたわけです。
この残ったお骨はどうなってしまうのか……。火葬場の敷地内で合祀されるのか、でも年間何人もの方がなくなられるわけで、すぐにパンクしてしまうはず……。
そんな疑問を解決するために、今回は「火葬場で残ってしまった骨や灰はどのように処理されているのか?」を調べてきました。
火葬する係員は火加減を絶妙に調整している
まずは、そもそも火葬しているのに、なぜちゃんと骨が残っているのかについてですが、これはお骨拾いのために、火葬場のスタッフがお骨が残るように火加減を微妙に調整しています。もちろん、故人の健康状態や年齢によっても変わってくるので、年齢などを鑑みて、火葬の時間も調整しているんですね。
さもないと強い火力で一気に焼いてしまうので、骨がすべて燃えて、灰になってしまいます。
ちなみに、骨が大きすぎて骨壺に収まらない場合は、事前にスタッフがチェックをして、お骨上げ前に砕いてしまうこともあるそう。これは、目の前でお骨を砕かれることを嫌う遺族もいるための配慮といえます。
遺骨や灰を引き取る業者が存在する
結論から言いますと、残った遺骨や灰などは業者が引き取っています。
お骨上げで拾うことが不可能な細かな遺骨や灰は、専門用語で“残骨灰=ざんこつばい”と呼ぶそうです。この残骨灰は、各地方自治体が業者へ委託して持ち帰ってもらうとのこと。
これは、保管庫に安置するとすぐに収納するスペースがなくなってしまった斎場の苦肉の策で、業者は専用の機械で、お骨と燃え残った棺などの不純物を分離。斎場に形が残った骨だけは返し、処理後の減容化処理で残骨灰の体積を10分の1に圧縮します。
残骨灰は宝の山
なんと、業者の中には滋賀県大津市、岐阜市、北九州市などの各地方自治体から集めた残骨灰を、1円という破格の委託料で処理をするところもあるそうです。あまりの安さに違和感すらあります。
しかし、この残骨灰……実は“宝の山”なんです。
分離処理で生まれた残骨灰に残っているものは、歯や人工骨などに使われていた金や銀、パラジウムという貴金属が多く混ざっていて、精錬企業に売り払って、利益を出す業者も非常に多いとのこと。
ただしすべての処理がそのようになっているわけではなく、対応は自治体で様々。お骨の供養を約束させて、残骨灰を売却。利益を自治体の財源としているところもあるそうです。業者を使わず、自治体自体が供養しているというところもあるので、一概には言えないようですね。
灰になったとはいえ、遺体の一部。これらの売買方法について、賛否のほどが分かれています。
圧縮した灰まで売買する業者
その後業者は、残骨灰をゴルフ場に売ってコースに生えた芝の肥料に使ったり、花卉(花の咲いた観賞用の草)の栽培業者に払い下げて花などの植物づくりの肥料にしたりと、植物の栄養として使えるように処理するのが一般的なようです。
本当の意味で人は大地に還っていくということですね。
しかし、「土に還っていく」と言えば聞こえはいいのですが、残骨灰は遺骨と見なさないという裁判所の判例もあり、体の一部だった灰がゴミとして処理をされても文句は言えないのです。
業者の言い分
そこで、残骨灰の処理を生業としている業者のKさん(49歳)にお話を聞いてみました。
丸野(以下、丸)「火葬で残った灰の処理についてはよくわかりました。やはり儲かるものなのですか?」
Kさん「まぁ、せやね。貴金属を盗んでいるかのように言われる残骨灰処理業者なんやけど、この残骨灰の中には、環境や人体に悪いダイオキシンやら六価クロムやら、かなり有害な物質も含まれてるんよ」
丸「えっ! そうなんですか?」
Kさん「そうよ。それをキチンと処理しているのは誰やねん、という話やと思うねん。ありがたがってもらってもバチは当たらんと思うんやけどね。それに、棺の中に入れたらアカンものを入れる奴が多い」
丸「棺に入れてはいけないもの、ですか?」
Kさん「そう。金属類とかガラス類とか、燃え残るものを棺に入れるアホな遺族がね。火葬炉の温度って、800度~1200度やからね。そんなもの入れると残骨灰が多くなるのに……」
まとめ
いかがでしたか? 遺骨の残りは業者が適切な方法で処理をしていることがわかっていただけたのではないでしょうか?
あなたも死後、自分のお骨をどんな風に扱ってほしいか、改めて考えてみてはいかがでしょうか?
(C)写真AC