“センザンコウ”がコロナウィルスを媒介? 感染症を引き起こす動物いろいろ

  by 丸野裕行  Tags :  

世界でパンデミックを引き起こしつつある新型コロナウィルスですが、この感染症を媒介したのが、“センザンコウ”であるという考察を、2月7日に中国の研究者たちが発表していました。

このセンザンコウという動物、外敵からは丸くなり、非常に硬いウロコで身を守るアルマジロのような動物なのですが、いろいろな病気に効果があるとして漢方薬として加工され、密売が絶えないそうなのです。ということは、人間が口にするという前提での密売ということなんですね。

中国の家の軒先に潜んでいるところをよく見かけたと言われているセンザンコウですが、現在中国では絶滅危惧種になるほど密猟されているそうです。

中国武漢を中心にした感染経路で広がった新型コロナウィルスですが、当初の研究者たちの発表によるとコウモリからセンザンコウを媒介として人間に感染した可能性が高いと示唆しました。この根拠は、哺乳類であるセンザンコウから検出したコロナウィルス遺伝子配列が、人間に広まるウイルスとほぼ一致したという点に因るようです。

※2020/03/02 編集部・注:センザンコウは新型コロナウィルスの媒介ではないとする説もあります。感染経路についてはいまだ未確定となっています。

センザンコウは、バレーボール大のものもいれば、大型犬程度に成長するものもいます。なんでも食べる中国人は、センザンコウを捕殺してウロコは漢方薬とし、その肉は調理して食べてしまいます。特に武漢ではよく食べられているというから、勘繰ってしまうのも仕方がないわけです。

世界で一番密猟される哺乳類

一見愛らしい姿のセンザンコウは、ネットで画像検索するとすぐに出てきます。

この世界で一番密猟されていると言われる哺乳類、ウロコを飲めばどんな病気にも絶対的な効果があると中国では信じられ、毎年数千頭のセンザンコウが殺されているのです。さらにその胎児は、食べると精力がつくとも言われ、もはや言葉もありません。

センザンコウのアジア地域での頭数が減ると、密猟者はアフリカにまで足を伸ばします。

自然の中で自由に育ったセンザンコウは捕獲され、世話のされないままの檻の中で、不潔な環境下に置かれるそうです。劣悪な環境下であれば、なにかしら未知の病原体が生まれ媒介させられたとしても何ら不思議はありません

さらにある馴染みのある動物が媒介するウィルス

SARS(重症急性呼吸器症候群)

ハクビシンやネズミ、タヌキなどを食用として食べたことによる感染が強く示唆されるウィルス。中国からの感染経路が疑われています。感染経路としては、飛沫感染や接触感染がメインだが、空気感染するという可能性もあると言われています。

ヒトで感染源となるのは有症者だけで、現在までのところ発症前の患者が感染源となったという報告は確認されていません。

鳥インフルエンザ

鳥を媒介とするウィルス。予防法として感染している鳥とむやみに接触しない、食べない、鳥が販売されている市場や養鶏場に近寄らない、といったことが挙げられます。

さらに、鳥の排泄物や死体、臓器なども触らないことも重要です。今のところ、日本で発症した例は未確認。人間から人間への感染も確認なしとされています。
感染したときは、重篤な症状が出ることが非常に多く、たくさんの患者が直接的、間接的に鳥との接触があったと報告されています。

MERS(中東呼吸器症候群)

中東地域を中心に広がったウィルス。

感染源がヒトコブラクダであると言われ、十分に加熱されていないラクダ肉や未殺菌乳を口にすると感染するリスクがあると考えられています。
さらに、ラクダとの接触、発症した人と接触した人の感染も報告されています。それらは飛沫を浴びたり接触したりすることで感染に繋がると考えられています。

エキノコックス症

日本では、北海道に生息するキタキツネが主な感染源の病気です。

エキノコックスの虫卵が糞に排出され、人がその糞に触れたり糞が触れた食物・水を介し、口から入って感染します。
さらに、北海道地域で放し飼いになっていた犬もキタキツネと同じく感染源になります。

オウム病

愛玩用のオウムや文鳥、鳩などから人へ感染して、肺炎など気道感染症を引き起こします。

治らない咳や息の苦しさには、オウム病が原因となるケースが存在します。

狂犬病

狂犬病にかかった犬などの動物(アジアは犬がメイン)に噛まれたところから、唾液中に含まれたウィルスが入ることで引き起こされる病気。

人間から人間に感染することはなく、感染患者から感染拡大することはありません。

ブルセラ症

感染した動物の不十分な加熱殺菌の乳やチーズなど乳製品や肉を食べることで経口感染するのが一般的です。

授乳や性交、臓器移植、人間から人間への感染事例の報告もまれにある病気です。

野兎病

主に、野うさぎの剥皮作業や調理した際に感染します。

リスや鶏、猫、ムササビとの接触やマダニの刺咬傷からの感染も報告されています。人間から人間への感染はありません。

まとめ

ウィルスを媒介する動物は世界中にいます。

新型コロナウィルスの出現は、それを再認識するための人類への警鐘だったのかも知れません。

《引用元》ナショナル・ジオグラフィック、厚生労働省

(C)写真AC

丸野裕行

丸野裕行(まるのひろゆき) 1976年京都生まれ。 小説家、脚本家、フリーライター、映画プロデューサー、株式会社オトコノアジト代表取締役。 作家として様々な書籍や雑誌に寄稿。発禁処分の著書『木屋町DARUMA』を遠藤憲一主演で映画化。 『アサヒ芸能』『実話ナックルズ』や『AsageiPlus』『日刊SPA』その他有名週刊誌、Web媒体で執筆。 『丸野裕行の裏ネタJournal』の公式ポータルサイト編集長。 文化人タレントとして、BSスカパー『ダラケseason14』、TBS『サンジャポ』、テレビ朝日『EXD44』『ワイドスクランブル』、テレビ東京『じっくり聞いタロウ』、AbemaTV『スピードワゴンのThe Night』、東京MX『5時に夢中!』などのテレビなどで活動。地元京都のコラム掲載誌『京都夜本』配布中! 執筆・テレビ出演・お仕事のご依頼は、丸野裕行公式サイト『裏ネタJournal』から↓ ↓ ↓

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