突然なんの前触れもなく動悸や異常発汗、めまい、息苦しさ、全身の震え、吐き気などの発作を起こし、今までの生活に支障をきたしてしまう症状―これがパニック障害・不安障害です。
中川家の剛さんや星野源さんらもカミングアウトしていることでも有名になった心の病気なので、ご存知の方も多いかと思います。
このパニック障害、死を覚悟してしまうほど強い発作が出てしまいます。さらに、自分自身ではまったくコントロールが利かないもので、発作再発に怯え発作が起きてしまうような場所や状況を拒否するようになります。
パニック障害の中には閉所恐怖症も含まれていて、狭い部屋やエレベーターに乗ることすらできなくなる人すらいます。さらに逆に広場恐怖症や外出恐怖症などもあります。
今回は、実際にパニック障害を起こした方にお話を聞き、その方々の身に起こった7つの兆候を解説していきたいと思います。
パニック障害が起こるとどうなる?
パニック障害は、何が原因なのかまったくわからない死に意識する胸の苦しみに突然襲われます。ドクンドクンという強烈な鼓動に、全身が冷や汗でびっしょりと濡れてしまう状態。
「死ぬかもしれない」という思いから、救急車を呼んで搬送されても、診断では体のどこを調べても異常が見つけられません。症状も知らないうちに収まっているのがパニック障害の特徴です。
しかしこのパニック状態そのものが、本来人間に備わった生き延びるための本能だということはあまり知られていません。災害などで生命の危機にさらされたときに、強く鼓動を打ち、冷静になって何かを考えることができなくなります。大声で叫んだり、じっとしていられずに逃げ出したりしてしまいますよね?
この反応があること自体は、実は正常なんです。ところが、パニック障害はそのパニック状態の制御が利きません。何の危険にもさらされていないのに、命が脅かされている恐怖や不安を感じてしまうのです。
100人に1~2人がパニック障害になる可能性がある
この症状は、周囲の人には理解してもらえず、孤立してしまう人もいるんですよね。
パニック障害はいつ発症してしまうかわからない病気です。一生涯でパニック障害を発症する人は、100人中1~2人と非常に高い確率。男性より女性の方が発症しやすいという報告もあります。
誰がいつなってしまうかわからないパニック障害。うつ病に症状が似ていると言われているのですが、発症する前に現れる兆候があります。
パニック発作を起こす前の兆候
では具体的に突然現れるパニック発作前には、どのような体の症状と精神的な症状が現れるのでしょうか?
《パニック状態になる前の兆候》
・胸に痛みや不快感がある
・自分が現実と一線を画している遊離した感じがする
・体に火照りや悪寒がある
・吐き気や下痢
・手足のしびれ、震え、チクチクとした刺激痛
・動悸が激しくなる
・異常に冷や汗が出る
以上の前兆が出た後には、
「窒息するような息苦しさで呼吸困難になる」「ふらつきやめまいなど気を失いそうになる」「死んでしまうのではないか……という恐怖がある」「正気を失ってしまいそうになる恐怖感」などパニック障害特有の諸症状に支配されます。
さらに、これが状況(外出時、通勤・通学途中、自宅で就寝中など)を問わず、際限なく繰り返されるわけです。これが継続すると、“予期不安”といって、いつ発作が出るか不安になり、仕事や学校を辞めてしまうという行動に出てしまいます。本当につらいですね。
薬やカウンセリングで治療できる病気
「ひょっとして私……」となんとなく心当たりのある方、大丈夫です。
最近ではパニック障害の症状に対する治療法も確立され、「パニック発作が出ないようにする」ことと「予期不安や様々な恐怖症を軽減させる」ことができます。
よく使用される薬は、『SSRI』などの抗うつ薬、ベンゾジアゼピン系の抗不安薬。パニック障害というのは、薬物療法が一番効果的と言われているので、これで諸症状が緩和する場合が多いです。
加えて精神療法的なカウンセリングで、認知行動療法を行い、治療効果を高めます。
まとめ
投薬治療やカウンセリングで症状が軽くなったあとは、避けていた外出に、少しずつチャレンジすることも治療のひとつ。
一歩一歩、ゆっくりと問題をクリアしながら前進するようにしていくことが大事だといいます。
この記事を読んで、自分の症状が当てはまるようであれば、ぜひ専門医師の元を訪ねてください。
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