「埼玉の女子中学生事件の容疑者は『涼宮ハルヒの憂鬱』に熱中」日刊スポーツが報じ、ネット上で反論多数

一昨年から行方不明だった埼玉県の女子中学生が今月28日に保護された事件について、日刊スポーツが報じた内容が一部のアニメファンの間で話題になっています。

日刊スポーツでは、記事『女子高生アニメに熱中…寺内容疑者の素顔同級生語る』にて、被疑者とアニメ作品『涼宮ハルヒの憂鬱』について以下のように報じています。

高校時代の同級生によると、女子高生が主人公の人気学園アニメ「涼宮ハルヒの憂鬱(ゆううつ)」に熱中し、カバンには同アニメのキーホルダーを付けていたという。

これについて、ネット上では様々な角度からツッコミが入っています。

1:『涼宮ハルヒの憂鬱』の主人公は、女子高生ではなく男子高校生

アニメライターの前Q氏をはじめ多くの方が指摘していますが『涼宮ハルヒの憂鬱』の主人公は、キョンというあだ名の男子高校生です。
アニメ本編でもほぼすべてのシーンがキョンの独白に沿って進行するので、実際に作品を見た人は”女子高生が主人公”という表現には違和感を覚えるようです。

(画像左端の男性が主人公のキョン、中央の女性が涼宮ハルヒ)

2:『涼宮ハルヒの憂鬱』は女子高生アニメではなくSF

『涼宮ハルヒの憂鬱』には確かに主要人物として女子高生は多数出てきますが、上述の通り主人公は男子高校生ですし、物語の主軸は実はいわゆる”SF”です。


ロボットが出てきたり宇宙に行ったりする作品ではなく、一見女子高生が主体の作品のように見えるため、実際に作品を見たことのない人の多くが勘違いするポイントです。
該当の記事の記者も、実際には『涼宮ハルヒの憂鬱』を見たことがないのでは? と思わされます。

3:そもそも、作品と事件の関連性は?

『涼宮ハルヒの憂鬱』は数年前にかなりヒットした作品ですし、被疑者の年齢を考えるとかつて熱中していたとしても別段珍しいことではなく、事件に影響を与えているとは言い切れません。

また、作品の内容と事件の内容が全然違うため、作品タイトルを出して報じる必要はあったのか? という意見も多数上がっています。

総論

事件はまだ明らかになったばかりなので、今後取り調べが進むことにより、事件とアニメ作品との関係性が明らかになるのかもしれません。その場合は追って調査したいと思います。


ですが、日刊スポーツの記事の記者のアニメに対する勘違いや思い込みも多いようなので、現状では”事件と本アニメ作品には、被疑者が当時ファンだったという以上の関係はない“と考えるのが妥当なようです。

※記事画像は該当記事( http://www.nikkansports.com/general/news/1623432.html )より引用。蛍光部分は記者による。
※各人のつぶやきコメントは『Twitter』より。一部画像の修正は記者による。
※Blu-ray Complete Boxの写真は記者による。

1980年生まれ / 東京大学大学院情報学環教育部研究生 / SOS団東大支部団員 / 修士(社会学)、アニメ研究の傍ら、アニメ系ライター、ネットラジオ『植田益朗のアニメ! マスマスホガラカ』構成作家、アニメ・特撮番組の企画コンサルティングなどをやっています。好きなアニメ・特撮は『涼宮ハルヒの憂鬱』『機動戦士Vガンダム』『星雲仮面マシンマン』『仮面ライダーBLACK』など(本当はもっと)。お仕事のご相談はFB・twitter等でお気軽に。

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