全国の『ROUND1』(一部店舗除く)にて3月1日より開始のサービス『DVD/ブルーレイ鑑賞ルーム』を、いち早く体験してきたのでフォトレポートしたいと思います。
『ROUND1』のカラオケルームに100インチのプロジェクタ2発とBlu-rayプレイヤーを備え、持ち込みのDVDやBlu-rayソフトを大画面・大音量で見られるというこのサービス。来月1日からスタートなのですが、池袋店のみ昨年10月から試験運用しているとのこと。
それを聞き「これってアニメを爆音&大画面で楽しむのにちょうどいいんじゃね?」とひらめいた記者は、雨の中、Blu-ray BOXを抱えて夜の池袋に駆け出していきました。
ただアニメを見るだけではもったいないので、以下の7種類のシーンを上映して見比べることにより、爆音&大画面で見るにはどんなアニメが合うのか? を検証したいと思います。
1:日常シーン
2:ダンスシーン
3:アクション・バトルシーン
4:宇宙艦隊戦シーン
5:ライブシーン
6:ギャグシーン
7:(おまけ)実写ライブシーン
1Fエレベーターホールにこのサービスのパネルが出ていました。
大好きなアーティストのDVDを持ち込んで再生すればそこはまるでライブ会場!!
とのことですが、今回はアニメに絞ってレビューしたいと思います。
9Fの受付にて手続きをし、10Fのスペシャルルームへ。
店員さんによるとこのタイプの部屋は池袋店にも2部屋しかないそうなので、ご利用の場合は予約するのがいいと思います(記者も事前予約をしました)。
中は一見普通のカラオケルームです。
大きめの部屋で、1人だとゆったりしすぎるくらいゆったりできます。友達と3~4人で来てちょうどいいくらいかもしれません。
部屋の中ではスリッパに履き替えます。
部屋の中には2発のプロジェクタ(『EPSON EB-G5100』)によって壁に2つの大画面が投影されています。焦点距離の都合か、2つの画面のサイズが違うのはちょっと残念。なお、機器の操作方法は店員さんが最初に丁寧に教えてくれます。
大画面なこと以外は普通のカラオケルームと一緒なので、食べ物を頼んだりすることもできますし、ドリンクは飲み放題です。快適。
レッツ・エンジョーイ!
数あるアニメ作品の中から、先述の7つのシーンがすべてあるという点で、今回は『涼宮ハルヒの憂鬱』(2006年放送、(c)2006 谷川 流・いとうのいぢ/SOS団)シリーズをチョイスして鑑賞することにしました。
上映風景はこんな感じです。
比較として写真中央にビニール傘を置いてみました。かなりの大画面であることがお分かりいただけると思います。
それでは早速いってみましょう!
1:日常シーン
まずは第2話『涼宮ハルヒの憂鬱II』から。主人公の男子高校生・キョンがクラスメイトの変人・涼宮ハルヒ(すずみや・はるひ)と会話するシーンです。
2画面のため、教室が広く見えます。
涼宮ハルヒ登場。キャラクターが大きく表示されるので、背景の描きこみや眉毛の動きの演技など、自宅のTVやPC画面では見落としていたようなディティールまで見れて満足度が高いです。
一方、2画面あってもキャラクターの顔は結局片方しか見ないので、人物のバストアップのシーンでは2画面である恩恵は薄いです。
キョン(画面右)とハルヒの会話シーン。声を大ボリュームで聞けるのは家ではできない体験で楽しいです。
ただし、音質に関しては、いわゆるカラオケルームなので室内に音が反響するため、日常会話のシーンの鑑賞にはあまり適していないと感じました。
文芸部員の無口な眼鏡っ娘・長門有希(ながと・ゆき)の初登場。
ロリ顔巨乳の先輩・朝比奈みくる(あさひな・みくる)の初登場。
2画面それぞれ角度が違うため、キャラクターの表情が微妙に違って見えることがあるのがなかなか新鮮です。
文芸部の部室を占拠して、ハルヒが”SOS団”の結成を宣言するシーン。昨今の深夜アニメの、なんだかよく分からない部活だかサークルだかで美少女たちがたむろしている系アニメの源流です。
画面に2~3人いる場合でも、全員が主要キャラの場合、結局1画面しか見ないため、日常シーン主軸の作品を見る場合は、いっそ片方のプロジェクタを消してしまってもいいかもしれません。
2:ダンスシーン
続いて第2話のエンディング『ハレ晴レユカイ』のダンスシーンを見てみましょう。
このシーンは放送当時大流行し、実際に踊ってみるオフ会などが世界中で開かれていたので、ご存知の方も多いかもしれません。
最後は転校生のイケメン・古泉一樹(こいずみ・いつき)を含めたSOS団の5人でキメ。大画面で見る『ハレ晴レユカイ』は新鮮な感動がありました。
ただ、ハルヒダンスの場合、踊っているシーンがぶつ切れなことと、観衆がいるシーンがないこと、それにロングショット(遠くから撮影したシーン)がないことから、元々の映像がどちらかというとPV寄りであり、あまりライブ映像感がありません。
そのためか、大画面である恩恵はあるものの、2画面であること、大音量であることの効果はあまりありませんでした。
このように、このサービスを使うにふさわしい作品は『大画面』『2画面』『大音量』の3点がマッチするかということがキモになるようです。
3:バトルシーン
続いて第10話『涼宮ハルヒの憂鬱IV』を見てみます。
キョンがクラスメイトの朝倉涼子(あさくら・りょうこ)によって情報制御空間に隔離され、サバイバルナイフで刺殺されそうになるシーンです(何故、2話では日常系高校生活アニメだったのが10話で命を賭したSFバトルアクションになっているのかについては割愛します。気になる方は本編をご覧ください)。
殺風景な背景は2つ続いていても違和感が少ないため、2画面は割とマッチします。
間一髪のところ、キョンを助けにくる長門(何故文芸部の眼鏡っ娘が情報制御空間に介入してサバイバルナイフを片手で受け止められるのかについても、残念ながら割愛します)。
一瞬動きが止まるシーンですが、大画面だと見応えがあります。背景がアニメ特有の超常的な空間なのも見応えに貢献しているように感じました。アニメっていいですね。
無数の光弾を連続発射する朝倉と、それをものすごい速さで手でガードしてキョンを守る長門のシーン。
エフェクトが激しすぎてキャラが全く見えてませんが、こういう画面全体を覆うような派手なエフェクトと大画面・2画面はとても相性がよく迫力満点です。また、戦闘の激しい効果音も大音量環境だと迫力アップです。
キョンを守った長門が背中から串刺しにされ大量出血するシーン。こういうショッキングなシーンも、大画面・大音量だと迫力マシマシです。
なお、長門は無事ですのでご安心ください。
以上、第10話のシーンでした。
単純な話、バトル系作品とこの環境は相性がいいと感じました。
4:宇宙艦隊戦シーン
お次は第11話『射手座の日』より、ハルヒ率いるSOS団の7万5千隻の艦隊が宇宙艦隊戦を繰り広げるシーンです(何故、高校の意味不明サークルが宇宙艦隊を有しているのかについては割愛します)。
みくるちゃん艦隊の雄姿です。一見して分かる通り、宇宙空間を背景としたモブ群は2画面でも違和感がなく相性ばっちりです。
どのシーンも元々2画面用に作ったんじゃないか? と錯覚するくらい自然に大迫力になっています。派手なドンパチ音も、大音量で楽しむのに最適です。
察するに、
1:背景が単調で2画面続いても違和感がない(=宇宙など)
2:映像の主人公が群衆そのもので、1点を見る必要がない
この2点が揃うと2画面での違和感がなくなるようです。
なお、「宇宙戦ならガンダムもいいんじゃね?」と思って、実はガンダムも上映してみたのですが、思いのほか迫力が出ませんでした。
おそらく、ガンダムは主人公(=ガンダム)、または主人公とライバル(敵モビルスーツ)が画面の中央にいることが多いため、背景は宇宙であっても2画面並ぶと違和感があるからだと思います。
5:ライブシーン
次は第12話『ライブアライブ』から、ハルヒと長門が文化祭で軽音部の代打でバンド演奏をするシーンです(何故バンド演奏なのにバニースーツと魔女コスプレなのかは割愛します)。
ここで演奏された『God knows…』という曲は今でもカラオケの定番曲なので、これもご存知の方も多いでしょう。
このライブシーンは結論から書きますが、はっきり言って最高でした。
まさにこの映像を見るためのサービスと言っても過言ではないでしょう。
まず、このシーンは高校の体育館でのライブという状況なので、聴衆のガヤが入ったり音質がCDレベルではなくあえてそれなりだったりするのですが、このシチュエーションとカラオケルームの音響がベストマッチです。
本当に体育館でバンド演奏を前にしているかのような臨場感でした。
聴衆を映したカットも違和感なく2画面にマッチしているので、雰囲気を盛り上げます。
キャラのアップに関しては2画面の効果は薄いですが、音がすごく合っているため視線が自然と表情に集中し、違和感を感じさせません。
頬を伝わり落ちる汗や、
絶叫の表情も、音響によって一層臨場感がアップします。
また、このシーンはキャラクターの演技が非常に細かく、奏者の指先やハルヒの目線を追うだけでも見応えがあるのですが、画面が大きく音響がいいことにより、その細やかさによる迫力は断然アップします。
アニメだと分かっていても実在する人物を凝視しているような感覚さえありました。
ほんとこんな感じというか、観客の一人になったような体験でした。
というわけで、このライブシーンに関しては大画面・2画面・大音量の3つがそれぞれ最大限効果を発揮しており、本当に最高・大当たり・神の一手でした。
あまりによかったので、終電が近いのにこのシーンだけ3回再生しました。
「最近感動してないなあ」「何か面白いことないかなあ」と思っている方は、3月1日以降ハルヒのBlu-rayを持って『ROUND1』へ行き、この『ライブアライブ』の回を上映してください。店を出るころには日ごろの憂いから解放されていることでしょう。
6:ギャグシーン
次は番外編のWebアニメ『涼宮ハルヒちゃんの憂鬱』(2009年放送、(c)谷川 流・いとうのいぢ/えすおーえす団、(c)ぷよ/えすおーえす団)から、ギャグシーンを取り上げてみたいと思います。
本作はこんな感じのディフォルメされた絵柄のギャグアニメです。
以下、第5話『ドッチボールで勝負しよう!』から、ハルヒがドッチボールで全力投球するシーン。
見る前までは「ギャグアニメをわざわざこの環境で見る意味あるか?」と消極的だったのですが、こういったアクションや表情で押すタイプのギャグの場合、画面が大きいとそれだけ効果も大きいらしく、意外と楽しめました。
次は第9話「登場人物は全員メイドです!」から、SOS団総出でメイド服を着て劇を演じるシーン。
ベタベターなギャグやリアクション芸も、大画面・大音量で見ると面白さアップです。
逆に、言い回しによるギャグや静かなシュールギャグなどは、この環境で見てもあまり効果がないかもしれないと感じました。
7:(おまけ)実写ライブシーン
最後に、このサービスの紹介パネルに書いてあった通り、好きなアーティストのDVDを上映してみようということで、2007年に行われたライブイベント『涼宮ハルヒの激奏』((c)2006 谷川 流・いとうのいぢ/SOS団)のDVDを持ってきて上映してみました。
以下の写真はアンコールの『ハレ晴レユカイ』声優さん5人によるダンスバージョンから。
アニメのエンディングと同じポーズでキメ。
所感としては、それなりに楽しめたものの、同じくライブの模様を描いたアニメの第12話『ライブアライブ』の興奮には遠く及ばなかったというのが正直なところです。
原因として、このDVDの特性になってしまうのですが、画質が荒く画像が小さいため迫力に欠けるという問題があったと思います。
画質については、もしかしたら正直にDVDを持ってきたのがよくなかったのかもしれません。もし両方持っているなら、せっかくならBlu-rayの方にしましょう。
普通のライブ映像のBlu-rayであれば、大音量大画面で、それなりに期待に見合った効果を得られるのではないかと思いました。
総評
今回の視聴によって得られた結論は以下の3点です。
1:宇宙などの殺風景な背景や群衆が中心のシーンや、迫力のある戦闘シーンが多い作品では、大画面・2画面・大音量のすべてが機能するので効果大。押しの強いギャグ作品もオススメ。
2:日常シーンや会話中心の作品だと2画面である効果が発揮されづらい(大画面・大音量の恩恵はあるので無駄ではないが)。
3:ハルヒの第12話『ライブアライブ』を見るのには最高の環境。
これらの条件に適合するアニメを大画面で楽しみたい場合は、来月以降Blu-rayを持って『ROUND1』に足を運ぶのもいいと思います。
憶測ですが『ラブライブ!』や、現在映画館にて上映中の『ガールズ&パンツァー 劇場版』なんかは相性がいいんじゃないかと思いました。
肝心のお値段は?
最後に、今回のお値段について。
ワンオーダー制なのでフライドポテト(ケチャップ付き・250円)を頼んだのですが、それも含めて2時間半遊んで、なんとたったの1970円。今回は終電を逃したくなかったので2時間半で退出しましたが、本来は最低4時間は上記価格で施設利用が可能です。さらにドリンクは飲み放題。
正直、3000円はくだらないと思っていたので、想定よりかなり安かったです。
低価格で1人で、または3、4人で集まって「アニメ見ようぜ!」と遊ぶのに適した、新しいタイプのエンターテインメントだなと感じました。
□サービス情報
[先行予約受付中!]
3月1日にDVD / ブルーレイ鑑賞ルームが登場!
詳細URL:http://www.round1.co.jp/service/karaoke/dualmonitor/kanshou.html
※写真はすべて記者の撮影によるものです。