【モノ・マガジンのデジカメ報告No.8】愛で、撮って、楽しむ毎日を 富士フイルム『X-Pro2』

モノ・マガジンのデジカメ報告No.8

本稿は1982年創刊モノ情報誌のパイオニア『モノ・マガジン』(ワールドフォトプレス刊)好評デジカメ連載『写真家:織本知之のデジカメナウ』や『電子寫眞機戀愛(デンシシャシンキレンアイ)』を気まぐれに、順不同に、電脳スペース上に移植したものである。または、カメラ片手に世の森羅万象を記録せんと闊歩する電磁カメ戦士たちにおくるラブレターでもある。

写真家:織本知之の電子写真機恋愛『富士フイルム X-Pro2』

お待たせしましたX-Pro2。愛で、撮って、楽しむ毎日を。

「勤勉」「努力」「忠誠」を好む方、もしくは狡猾陰険性悪を忌み嫌う方、あるいは手加減とか妥協とか譲渡などを潔しとしない方へ。おまたせしました、富士フイルムからX-Pro2の登場であります。

先代X-Pro1より4年ぶりのフルモデルチェンジでありますこのX-Pro2、実に正しく進化してまいりました。操作系のブラッシュアップを計った背面のボタン、ダイヤル配置はひと目で違いがわかりますが、正面からの佇まいは「違いは……ええと?」というレベルであります。

よくみるとAF補助光ランプが四角になっていたり、フロントコマンドダイヤルが新設されていたり、ボディも若干大きく重くなりましたが先代のクラシカルなデザインを踏襲しています。先代の意志を尊重し実直に家業を受け継ぐ、出来た二代目という風情がございます。

右親指だけでほとんどの操作を可能にすべくレイアウト変更された背面部。3.0型約236万ドットモニターだ。なお光学ファインダー部は要望の多く寄せられた視度調整機能が加えられた。老眼も近視もカモンだ!

ボディ上面の軍艦部は清潔な仕上がり。X-Pro1にはあったレンズ構成図のモチーフがなくなり、シンプルに機種名のみが刻印される。オリーブグリーンの限定モデルが欲しいなんて人も少なくないハズ!

骨格はマグネシウム製。防塵、防滴、耐低温構造、高耐久フォーカルプレーンシャッターなど、筋肉質な実力派ボディなのである。

メディアはついにダブル化! どうですか、この盤石の風景。職業写真家たちを安心させる光景です。いえ、最近のカメラならシングルでもまったく問題ないのですが、起きやしない万が一に備えるビビリ……失礼、慎重な性格の人物が多いのが写真家。これでバックアップも保存できるので安心安全。ダブルの効果で多い日でも安心……(いえ、カット数が)。

そうです、格好よければそんなに変える必要はないんです。愛されるデザイン、伝統のラインというのは存在するのです。ポルシェとかガバメントとかひとめで「おっ!」ってわかるシルエットがマニアにはたまらんとです。このX-Proシリーズもシルエットでそれとわかるカッコ良さを継承。そのかわり中身は別物。

APS-Cサイズの記録素子は1630万画素から大幅にアップされた約2430万画素X-Trans CMOS Ⅲに、メモリーカードスロットも安心のデュアルカードスロット、X-Pro1では撮影感度は最大でISO6400、拡張感度でISO25600だったのがX-Pro2では撮影感度ISO12800、拡張感度ISO51200まで引き上げられ撮影の領域がますます広がりました。

2430万画素新開発APS-Cセンサーを搭載。光学ローパスフィルターレスながらモアレや偽色が出にくい独自のカラーフィルター配列がウリだ。

このほかにもシャッター速度やストロボのシンクロ速度も引き上げられてそれぞれ1/4000秒から1/8000秒、1/180秒から1/250秒、連写速度も6コマ/秒から8コマ/秒へ向上と撮影基本性能が全体的に引き上げられて力強いカメラとなったのです。さらに電子シャッターも搭載され、その最速シャッター速度は1/32000。電子シャッターではシャッター音も消せるので静音な場所でも静寂を破るような無粋なことをせずに済みます。

そのほかにも光学式(OVF)と電子式(EVF)ビューファインダーを切り替えることができるので被写体の速度や撮影状況、または好みでといった具合に使い分けることができるハイブリットファインダーも健在。よりクリアでより精細にタイムラグを感じないまでに進化。

「ファインダーを覗いて撮る」行為を追求した3種類のファインダースタイルを実現。1:光学ファインダー 2:電子ビューファインダー 3:エレクトロニックレンジファインダー がソレだ。ぜひ覗いて、体験してみてくれ! すごいよ

疑り深いヒト、あるいはよりピントをシリアスに合わせたいといった要望に応え、OVFとEVFを同時に表示してEVFのピント箇所を拡大して示すことができる小窓など文章ではちょっと伝わらないけど、実際に見てみると「おもしれー」&「ピントばっちし」となる機能も充実。好評のアドバンストフィルターもフィルムシミュレーションモードもより磨かれて映像の仕上がりに貢献しております。

また、ありそうで案外少ない±5段階もの露出補正量も個人的には嬉しい限り。いま「え?」と思ったヒト、自分のカメラ見てみ「±3・0」までがほとんどだから。すんごい厳しい光線だとプラマイ3・0よりもう少し欲しい時がタマーにあります。

で、そんな厳しい状況でも傑作をモノにできそうなポテンシャルを秘めたフジノンレンズを何本かご紹介いたします。

まずはじめのエントリーとして標準レンズからまいりましょう。AF高速、軽量コンパクト、それでいて極めてシャープな新標準単焦点XF35㎜F2 R WRなぞいかがでしょうか。防塵防滴ボディになったX-Pro2にぴったりの防塵防滴機能付きレンズです。絞り開放から安定感のある描写能力が魅力の1本です。

ワイドレンズはXF16㎜F1・4 R WRでキマリですね。

35㎜判換算24ミリの広大な画角と、F1・4の大口径のボケ味が堪りません。一般的というよりちょっとコアな御仁にこそこの良さを味わっていただきたいと存じます。こちらもタフな使用を想定して防塵防滴耐低温構造、いかなる場所でもその描写性能を発揮いたします。

そしてキレッキレの描写とそこそこの望遠効果を欲するのならこのレンズ、XF90㎜F2 R LM WR。

F2の絞り開放からフォーカス部分のキッパリとしてカッチリした描写、アウトフォーカスの美しいボケ具合、そしてAFの素早さ確かさ、レンズとしての質感の高さと非の打ちどころが無い上質レンズでございます。ただし、普段使いには望遠気味だしやや重いし、そもそも値段も結構いい品なので明確な目的をもった方にこそオススメしたいこの一本。

レンズラインナップも充分、発表するボディは代を重ねるごとに素晴らしさを増す富士フイルムの気鋭の一台、X-Pro2をぜひその手に!

アクセサリーも魅力充分!

ちょっと「マッドマックス」ぽくなるのが「ボトムレザーケース」。装着レンズはXF35㎜F2 R WRで、かっこいいレンズフードはオプションの「穴あきフード」。

で、これが手振れを抑制し撮影者をその気にさせる「メタルハンドグリップ」。装着したままメモリーカードやバッテリーの交換ができるのが大きなメリット。

こんな寫眞に戀をするっ!

ワイドレンズ/XF 16㎜ F1.4 R WR

35ミリ判換算で広角24ミリ相当の単焦点レンズとして世界最短の撮影距離15㎝を実現し、防塵防滴と耐低温構造を備えたフジノンレンズシリーズの最前線過酷撮影担当ワイドレンズ。超広角域となる24ミリ相当なのに開放値がF1.4というのもポイント高く、撮り勝手がいい。それでいて割合コンパクトで軽量と価格以外に欠点が見当たらない交換レンズ。しかし実は価格も某フルサイズ用レンズの半値以下のリーズナブルさというのも忘れてはならないのであります。

こんな写真が撮れますよ♪

シャッタースピード:1/850
絞り:F5.6
ISO感度:200
アドバンストフィルター:ダイナミックトーン使用

望遠レンズ/XF 90㎜F2 R LM WR

X-Pro2に装着すると35ミリ判換算で137ミリ相当の中望遠レンズ。F2というズームレンズにはない明るい開放F値を活かした立体感のある写真を撮りたいときにオススめのレンズです。ふつうこういった開放F値の大口径レンズを使用すると旧来の位相差AF機だとフォーカスが微妙、あるはやや厳しい面がありましたがX-Pro2では273点あるどのAFエリアポイントでもバチピン。清清しいほどにオートフォーカスが効くので、マニュアルピントリングのトルク感も素晴らしい出来なのにもったいない。

こんな写真が撮れますよ♪

シャッタースピード:1/3000
絞り:F2
ISO感度:200
フィルムシミュレーション:スタンダード

写真と文/織本知之

日本写真家協会会員。第16回アニマ賞受賞。1972年千葉富津生まれ。
facebook:https://www.facebook.com/tomoyuki.orimoto[リンク]

姉妹紙「コンバットマガジン」のほうでも最近ぽつりぽつりとサバイバルゲームネタを寄稿させていただいております。サバゲは勇壮で爽快なレジャーでありますが、カメラより細かい道具の種類の多いこと。おんなじ名前の鉄砲でもメーカーが異なれば特長も性格もまた違う、知れば知るほど魍魎たる世界。ハマるとアチラも底が無し。注意されたし。

モノ・マガジン詳細情報

モノ・マガジン2016年2月16日情報号
http://www.monoshop.co.jp/products/detail.php?product_id=5043

モノ・マガジン
http://www.monomagazine.com/[リンク]
モノ・マガジン編集部の執筆一覧
http://getnews.jp/archives/author/monomagazine[リンク]

1982年創刊のモノ情報誌のパイオニア。

ウェブサイト: http://www.monomagazine.com/