セラピー・ツールとしての仮想現実(VR)アプリ

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 医師は、患者の恐れを癒すためのセラピー・ツールとして、仮想現実(VR)アプリを試している。 2015年9月26日

 By Amy Westervelt、WSJ

 仮想現実(VR)ヘッドセットとVRアプリは、長い間、究極のゲーム・アクセサリとして考えられてきた。

 現在、仮想現実ヘッドセットとVRアプリを、効果的なセラピー・ツールとして使用している、セラピストが増えてきた。

 セラピストは、患者を、さまざまな模擬環境に置いて、恐れを癒したりする、メンタル・ヘルス治療に、試験的に、イマーシブルな仮想現実(VR)ヘッドセットとVRアプリを使用している。

 セラピスト、学校のカウンセラー、米国退役軍人省(U.S. Department of Veterans Affairs)などは、恐怖症、うつ病、麻薬中毒などの治療方法として、患者をさまざまな仮想環境に置くために、仮想現実(VR)技術を採用している。

Stanford大学の精神科医、Elias Aboujaoude氏によると、仮想現実(VR)技術は、特定の行為障害を治療するための基本的な方法を提供するという。

 Elias Aboujaoude氏によると、恐れを癒すだけでなく、例えば、ヘビにあうとか、飛行機に乗るとか、行為障害の患者に、苦手なことを疑似体験させ、恐れを誘発する状況に置くためにも、仮想現実(VR)技術を使用するという。

 行為障害の患者は、仮想現実(VR)技術を使用した疑似体験を通して、苦手な状況に立ち向い、反応する方法を学ぶことにより、自らの恐怖心を克服できるよう支援される。

 仮想現実(VR)技術は、外傷後ストレス症候群の治療に、効果があることも実証されている。

 また、自閉症の子供を教える上で、仮想現実(VR)ヘッドセットが、有用なツールであることも、多くのセラピストにより実証されている。

 ただし、仮想現実(VR)技術が、患者に、逆効果をもたらしていることも、報告されている。

 仮想現実(VR)技術は、疑似体験治療法を追求するために、逆に、恐怖症が悪化し、苦しんでいる患者がいることが報告されていることも事実である。

 疑似体験治療法は、長い間、恐怖症に、最も効果的な治療であると立証されているが、恐怖症患者の25%が、この治療法を拒絶している。

 しかし、CyberPsychologyとBehavior誌において発行された、2007年の調査では、患者に、仮想現実(VR)技術ベースの疑似体験治療アプリが提供されたときに、患者の拒絶率が、遥かに低いことが分かったと報告されていた。

 調査された150人の患者の内、27%は、疑似体験治療の考えを拒絶しており、3%だけが、仮想現実オプションを拒絶していた。

 バルセロナを拠点とする、仮想現実(VR)技術会社、Psiousは、飛行機の恐怖症や閉所恐怖症といった、さまざまな恐怖症に対応するよう設計された、疑似体験治療法を提供している。

 Psiousが提供する、疑似体験治療アプリは、スマートフォンで実行し、コンテンツは、特定の患者に、仕立てることができる、仮想現実(VR)ヘッドセットにセットした、スマートフォンで、さまざまな疑似体験治療アプリを実行し、コンテンツを再生することで、患者は、疑似体験することができる。

 例えば、セラピストの助けを借りて、自閉症の患者は、仮想現実(VR)ヘッドセットで、演説疑似体験治療アプリを使用して、拍手をしたり、笑ったり、野次をとばしたりする、仮想的な聴衆に、語りかけることができるようになる。

 セラピストは、患者と対話しながら、患者のストレスの反応を見て指導し、リアクションを分析することができる。

 いくつかの調査では、仮想現実(VR)技術による、疑似体験治療アプリが、高所恐怖症や対面恐怖症や演説恐怖症といった、何種類かの恐怖症の患者の治療に効果的であったことが分かった。

 2014年のPLOS ONE誌で発行された、Newcastle大学の調査によると、仮想現実(VR)技術は、自閉症の子供や、恐怖症の患者の治療に、特に効果的なことが分かったという。

 Emory薬科大学の精神医学の研究者により実施された、心的外傷後ストレス障害(PTSD)のセラピストを対象にした調査によると、仮想現実(VR)技術を使用した治療が、心的外傷後ストレス障害(PTSD)の患者の治療に有効であることが分かったという。

 ニューヨークにある、Veterans AdministrationのPTSDクリニックの臨床心理士、Michael Kramer氏によると、仮想現実(VR)技術は、セラピストにとって、患者のために、やりがいがある治療法であるかもしれないという。

 現在、仮想現実(VR)技術を使用した治療アプリは、認可されたセラピストを通してのみ、利用可能である。

 米国の食品医薬品局は、セラピストに販売される限り、医療デバイスとして、仮想現実(VR)ソフトウェアを規制していないが、患者の安全を確実にするために、消費者への販売は規制している。

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