所沢市のエアコン設置住民投票結果をめぐり解釈が分かれる 市長の判断は?

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2月15日に投開票が行われた埼玉県所沢市の公立小学校にエアコンを設置する是非をめぐる住民投票は即日開票の結果、賛成が5万6921票に対し反対が3万47票と賛成票が全体の約65%となりました。しかし、投票率が31.54%と低迷し、住民投票条例第11条にある以下の要件を満たさなかったため『Twitter』などでは結果の解釈をめぐって様々な意見が出ています。

所沢市防音校舎の除湿工事(冷房工事)の計画的な実施に関する住民投票条例 ※抜粋

第11条 市長および市議会は住民投票の結果を尊重しなければならない。 この場合において、 投票した者の賛否いずれか過半数の結果が投票資格者総数の3分の1以上に達したときは、その結果の重みを斟酌(しんしゃく)しなければならない。

所沢市選挙管理委員会によれば当日の投票資格者総数は27万8248人で、その3分の1(四捨五入)は9万2748票となります。しかし、多数となった賛成票はもちろん投票率自体が3分の1に満たなかったため、条例で定められた「結果の重みを斟酌」の要件は満たされませんでした。
とは言え、国からの補助金を返上してまでエアコン設置を拒否した藤本正人市長が2011年(平成23年)に初当選した際の市長選挙(投票率34.68%)で獲得した3万8655票(得票率40.84%)は上回っているため、投票結果の解釈をめぐって「投票率が低く条例が求める“斟酌”の要件に届かなかったとは言え、市長は賛成多数となった結果を尊重してエアコン設置を認めるべきだ」と言う意見や、逆に「条例の要件に届かなかった以上、棄権を含めて『市長が言う通りエアコンは必要ない』と言う民意が示されたと解すべきだ」と言う意見が出ています。

市長は各社の取材に対して「投票率が高くないことは残念」とするコメントを発表し、『小学校にエアコンは不要』としてきた従来の方針を今後どうするかについては「これから分析を行う」として即答を避けました。仮に市長が設置拒否を貫いた場合、10月に予定されている次回の市長選挙で改めて設置の是非が争点に浮上する可能性がありそうです。

画像:所沢市選挙管理委員会の開票速報ページ
https://www.city.tokorozawa.saitama.jp/kurashi/shiminsanka/senkyo/jyumintohyouhouhou/2015jumintohyokaihyo.html [リンク]

1975年、兵庫県姫路市生まれ。商工組合事務局勤務を経て2012年よりウェブライター活動を開始。興味のある分野は主にエンターテインメント、アーカイビング、知的財産関係。プライベートでは在野の立場で細々と文学研究を行っている。

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