母乳中の脂肪酸によって、脂肪の燃焼を司る遺伝子が活性化されることがわかりました。
もっとも、マウスを使った実験での話です。
東京医科歯科大学の小川佳宏教授らのグループは、生後まもないマウスと、母乳で成育中のマウスを比較し、脂肪の燃焼に関連する3つの遺伝子を比較しました。その結果、母乳で生育中のマウスは、脂肪燃焼に関連する遺伝子を活性化させるタンパク質に、母乳中の脂肪酸が結合していることがわかりました。
同グループは、人間でも同じような仕組みが存在すると指摘しています。脂肪燃焼に関連する遺伝子が活性化されないと脂肪がたまりやすくなり、メタボリックシンドロームや、糖尿病などの生活習慣病のリスクが高まると考えられるそうです。
ただし、今回発見されたように、母乳によって脂肪を燃焼しやすくなる遺伝子が活性化されるかについては、まだわかっていません。同グループの小川佳宏教授は、母親の健康状態によっても母乳中の脂肪酸の量は変わるため、成人後の健康状態を左右する可能性はありうるのではないかとコメントしています。
今後の研究が待たれるところですが、今のように粉ミルクが普及していない時代は、母乳の出の良いお母さんに母乳を飲ませてもらう「もらい乳」などといった風習が日本にもありました。古くは乳母(めのと)という言葉もあります。
栄養状態が今ほどよくなかったことも考えなければいけませんが、たしかに昔はいまほど太った人がいなかったように思います。おっぱいがメタボを救う可能性は、ありえるかもしれませんね。
写真は 足成 http://www.ashinari.com/ より