冷凍米粉パン「O kome color」はもっちり感と密度が高い満腹パンだった?冷凍で食品ロスを減らせ!

  by 古川 智規  Tags :  

おうちでゆっくりと美味しいパンとコーヒーや紅茶でいただきたい。そんな優雅な気分にさせてくれる、ちょっと変わったパンを試してみたのでレポートする。
しかし、この米粉パンは日本の歴史や食文化を考えるうえで非常に重要な取り組みであることも事実だ。意識の高い方はそういう方向でも考えが及ぶのではないだろうか。何はともあれ味わってみる。

冷凍米粉パン「O kome color」チーズたっぷりピザつき 13個セットは、穴太ホールディングスの実店舗(千葉県君津市)か、同社のオンラインショップで購入が可能だ。その名の通り冷凍でやってくるので13個と大量に購入しても、とりあえず冷凍庫に保存すればよい。冷凍で配達されたパンはかなり大きな箱に入ってきた。大きさはともかく、中身はパンなので軽いのは言うまでもない。

中に入っていた商品説明や同社に取材した内容によると、「O kome color」は、穴太ホールディングスが自社農場である「Theファーム上総介」で栽培したお米「ミズホチカラ」をそのまま農場で米粉に加工し、田んぼから米粉パンになるまでの工程を一貫して自社内で作る冷凍米粉パンシリーズということだ。
使用する卵も同社グループの農場でストレスフリーな平飼い環境で育てた鶏が生んだ“白い黄身”を使用し、食卓でも人気の高い「ミニ米粉食パン」「ミニ米粉ぶどう食パン」「ハムマヨパン」「平飼い卵のクリームパン」「あんぱん」「かぼちゃあんぱん」「シナモンシュガー」「塩パン」「ミニ米ワッサン」「ミニ米ワッサン(チョコ)」「ピザ」の11種類13個が入っている。

食べ方は同梱の説明書に書いてあるが、要は冷凍のまま電子レンジで1分未満の指定時間だけ温めるだけだ。
「冷凍なんて…」と思うかもしれないが、日本で販売されているあらゆる食品の多くが賞味期限切れや食べきらずに捨てられる、いわゆるフードロスになっている。冷凍された食品は長期保存ができ、食べる分だけ電子レンジにかければよい。そして現代の冷凍技術は素晴らしものがあり、例えば日本人の味覚が顕著に出る刺身でも言われなければわからない程度にまで高度になっている。

ご多分に漏れず、本品も電子レンジで温めると、このツヤとふっくらした焼きたてのパンになる。
通常はパンの主原料は小麦粉であるが、日本の小麦の実に9割近くが輸入に頼っている。一方でコメは日本が唯一自給できる穀物であり主食である。このコメを大切に使い国民の多様な食需要に応えるために、米粉パンという選択は日本の食糧事情を改善する小さな力になるのかもしれない。ごはん派やパン派もいいのだが、どちらでも選択ができるようになると日本が抱える食糧問題の解決につながる。

とはいえ、美味しく食べられなければ意味がない。
食感は小麦のパンと比較してふっくら感よりも、もっちり感の方が強い。そして食べてみるとわかるが、同じ大きさならば米粉パンの方が詰まっている感じがする。よって小さなパンであっても満腹感が高いのは事実だ。計測したわけではないので正確なことは言えないが、小麦のパンよりも密度が高いのではないかと思えた。

食パンはそのままでも美味しく、ごはんの甘さがパンになっている感じだ。本当に美味しいごはんは、おかずがなくても甘くてそのまま食べることができる。それをそのままパンにした感じだ。そしてクリームでもあんこでも、惣菜系でも違和感なく美味しく食べることができた。

江戸時代の町人は肉というおかずがなくても(獣肉食は建前としては禁止されていた)、それこそ山盛りの美味しい白米をモリモリ食べて元気を出した。日本人にとってはコメは生命線そのものだったというのは言い過ぎではなく、実際に石高のように領主の価値が支配地域の穀物産出量で計算され、貨幣は存在したものの穀物(コメ)が貨幣として流通した国など歴史上、世界中を探しても存在しない。もちろんコメに貨幣価値を求めたためにインフレ時に耐え切れず武士が困窮した要因になった事実はあるものの、それだけコメを大切にしコメを食べて子孫をつないできた日本人の文化を守るためにも、そして飽食時代といわれて久しい現代の食への欲求を満たすためにも、既存の食品を米粉で代替する選択は新しい日本人としての新しい文化になり得るのかもしれない。

※写真はすべて記者撮影

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