EXILE NAOTOさんが単独初主演を務めた映画『DANCING MARY ダンシング・マリー』が全国順次公開中です。SABU監督の最新作でもある本作は、13か国以上の映画祭で受賞、正式出品された作品で、世界各国を駆け巡った後に待望の日本公開となりました。解体予定のダンスホールに棲みついたダンサー・マリー(坂東希)の霊から、恋人のジョニー(吉村界人)を探してほしいと頼まれたしがない市役所職員の研二(EXILE NAOTO)と霊能力を持つ女子高生・雪子(山田愛奈)が、二人の恋を成就させるため、時空を超えて奮闘するヒューマン・コメディ。コメディと言いつつも、ジャンルを超えた魅力が満載の本作について、EXILE NAOTOさんに話をうかがいました。
■公式サイト:https://www.dancing-mary.com/ [リンク]
●撮影は2018年だったそうですが、公開を迎えられた今の心境はいかがでしょうか?
ようやく陽の目が当たる感じです。やっとみんなに観てもらえるという想いが一番強いです。長かったです(笑)。ただ、この間に映画祭に出品され、コロナ禍で映画界、エンターテインメント界がどうしても動けないなか、いろいろと賞もいただいて、自分たちの代わりに作品だけが世界を旅して回ってくれました。ポジティブにとらえると、いい流れで日本に戻って来てくれた感覚はあります。
●いくつものテーマがあったかと思いますが、どのテーマが響きましたか?
いろいろな要素があるんですよね。ホラー、ラブ、コメディー、あとはヒューマンドラマのように人間が成長していく物語でもあります。でも、最終的に一番印象に残っている点は、純愛の部分かなと。時代を超えた純愛の部分が一番響いたと思います。
●純愛が響いた背景には、何があると思いますか?
パフォーマーとしての自分の気持ちは常に純であると信じていますが、この作品のジョニーとマリーみたいに混じりっ気なしにピュアで、それをあそこまで貫き通しているというか、そういうところにはすごく心打たれたかなと思いますね。あそこまでピュアでい続けることは、難しいのかなと思います。それだからこそのあこがれ、純粋に心打たれるという感じですかね。
●本作では単独主演作となり、俳優としての活動も本格化していると思いますが、この状況はどう受けとめていますか?
自分がやりたいことかは別として、好きだったから映画はずっと観ていましたし、好きは物事の原動力になると思うんです。好きでもチャンスがなければ厳しいですが、もともとは映画を観ることが好きだったので、自然と情熱が今こういう風につながって、映画に出演させていただくところまでたどり着いた、という感じですね。もともとの純粋な最初の動機は、本当にただ好きというだけでした。
●それはダンスもそうでしたか?
そうですね。もともとダンスがすごく好きだから、最初にEXILEを観た時の衝撃は凄まじかったです。前身のJ Soul Brothersだったり、先輩たちがクラブで踊っていたダンスの姿も知っているので、EXILEのメンバーがダンサーズドリームを叶えていく姿は、かなり印象に残っていました。
●それを自分でも追いかけたくなった?
そういうのって、すごく勇気をもらうんですよね。ダンサーの世界に間違いなく光を差してくれたんです。
●NAOTOさんは加入して12年、いちファンから観ていると、その活動は個人としてもグループとしても絶好調ですが、ご自身としてはどう受け止めていますか?
それはよく言ってもらうことでもありますね。HIROさんに昔、冗談でですが、「三代目はデビューして、こんなにすぐ上手くいくことないよ」と言われたことがあります。HIROさんは山あり谷ありをたくさん経験されているので、めちゃくちゃ恵まれているだろうと。まさにそうだったとは思うのですが、その過程での自分の気持ちとしては、かなり山あり谷ありはあったと思います。
●なかなか自分から口には出さないですしね。
あまり表に出さないじゃないですか。表に出るものって、そういうものを超えている部分というか、人様に見せられる部分って美しいところだけだったりするので。ここに至るまでグループ活動の中、自分の中では、いろいろあったと思っていて、それがただスポットが当たらない場所だっただけの話なんですよね。
●人知れず泣いた夜もある、みたいな。
確かに確かに、そんな感じです(笑)。
●今は何がモチベーションになっていますか?
今はわかりやすい壁があると言うか、エンタ―テインメントがコロナ禍によってすごく閉ざされてしまった。自分たちは届ける側のつもりでずっとエンターテインメントをやっていて、アウトプットしてみなさんに届けるイメージだったのですが、いざなくなってみたら、自分たちが救われていたことに気づいたんです。ライブでパフォーマンスすることでみなさんからはよく、「パワーをいただきました!」と言っていただけるのですが、<交換>だったんですよね。発信だけでなくて、自分たちもパフォーマンスをすることでたくさんのものをみなさんからもらっていた。それが今度モチベーションに燃やせていたわけです。これが奪われた時、抜け殻状態じゃないですけど、あれで救われてたんだなって。
●実は元気をもらっていたという。
そのことに2020年、気づきましたね。自分も人が本気で作ったもの、音楽、映画、エンターテインメントを観て、自粛の間自分のモチベーションにしていたり、エンターテインメントってこれだけ心の救いになるのだなって、コロナ期に痛いほど感じました。やる側も受ける側もかなり救いになることがわかったので、今は少しずつですけどライブを再開して、自分たちの生きる場所は本当にここだなと、痛いほど実感している感じですね。今は完全復活を目下の目標にしています。
●ファンの存在が大きいですよね。
めちゃくちゃでかいですね。本当に。先日EXILEの20周年が開幕したので、ファンの方たちとリアルに会ったのですが、ドームやいつものライブ会場ではなかったけれど、心動くものがありました。去年2020年は、SNS上で応援していただくことがメインでコメントが届いたりしたのですが、やっぱりリアルで感じることによって、みんな応援してくれる人がいるんだな、待ってくれていた人がいたんだなと実感しました。その存在が心の救いですよね。
●この現実を踏まえ、この先はどうありたいですか?
将来的にどうなっていたいかは、どうなんだろう。先のことを考えたとしても、たとえば10年前、その当時の想像もつかないことばかりが起こった。突然EXILEに加入させてもらったり、三代目のグループが始まったり、予想を立てていたとしても、それを超える何かがいつも起こっていたんですよ。なので自分の中ではわりと近い未来を想像して、それに向けて一生懸命、目の前のことをやるだけなんです。どんなことが来ても反応できるように途中から切り替えて、それを繰り返していくうちに1年後の景色がなんとなく見えてきている気はします。そういうことの連続だったんですよね。
●自分でも驚いているような?
そうですね。驚いていましたし、まだ驚きたいです。なのでこの先も自分の思い描くスケールに収まらない、変に自分のスケールにはめないようにしたいなというのはあります。
■ストーリー
解体予定のダンスホールに棲みついたダンサー・マリー(坂東希)の霊から恋人のジョニー(吉村界人)を探してほしいと頼まれた、しがない市役所職員の研二(EXILE NAOTO)と霊能力を持つ女子高生・雪子(山田愛奈)が二人の恋を成就させるため、時空を超えて奮闘するヒューマン・コメディ。
(C) 2021 映画「DANCING MARY」製作委員会
公開中
(横浜シネマ・ジャック&ベティにて1月8日より公開)