フィンランドに来て、驚いたことがあるのです。缶ビールを買おうとしたら、缶の端っこに“0.15”ユーロの表示。まさか、これはビールの値段!? フィンランドってビールがそんなに激安なの!? だって、0.15ユーロって言ったら約15円ですよ?
おそるおそる購入してみると、やっぱり普通に1~2ユーロくらいの値段がレシートに。ではこの0.15ユーロは一体何なのでしょうか。友人に聞いてみると「空き缶を回収ボックスに入れたらリターンが来る、そのときの値段だよ」とのこと。ああ、なるほど、ラムネの空き瓶をお店に返すとリターンが来る、あのシステムと同じなわけですね。
フィンランドではスーパーマーケットの入り口付近に、ビールやジュースの空き缶・空き瓶の回収ボックスがありまして、そこにこの空き缶を入れると、機械がそれぞれの値段を認識して、そのスーパーで有効なお買い物券になるのです。特にビールの缶なんてすぐに貯まりますよね。1缶0.15ユーロの場合、10缶貯めれば1.5ユーロ(約150円)、20缶貯めれば3ユーロ(約300円)。スーパーのお買い物券ですから、なんかちょっと得した気分! リサイクルに協力する良いモチベーションになります。
このシステム、もっと良いな、と思ったのが、街中で多くの人がお酒を飲むようなイベントのとき。例えばメーデーのように、多くの学生達がメイン広場に集まって芝生でビールを飲んでいるようなイベントのときです。このようなイベントでは当然ビールの消費量もすごいわけですが、ここで目にしたのが小学生くらいの子供達が放置されている空き缶を集めて歩いている様子でした。なるほど、子供達にとってこれはゲームでいうところのコインを集めているようなもの。効率のよいお小遣い稼ぎになるでしょう。
小学生が目をドルマークにして空き缶を集めるのかと思うとちょっと抵抗があるかも知れませんが、私はむしろ賢い方法だな、と思いました。結果的に街はきれいになるわけですし、そのお金は近所のスーパーで消費されるわけですしね。
この効果なのか、普段から街中に放置されている空き缶を見ることはあまりないように思います。スーパーで回収ボックスにせっせと空き缶を入れている人もよく目にしますし、自然と街中から空き缶のポイ捨てがなくなる、よいシステムだな、と思います。日本でもこういうシステムがあったら、ポイ捨てもなくなって、リサイクルされる空き缶も増えて、すごくいいかも知れないですよね。