3月26日に無観客で行われたG1高松宮記念。
1位入線したクリノガウディーが降着になったことで儲けそこなった方も少なくないでしょう。
儲けそこなっても、馬券仲間に勝てた人がいれば奢ってもらえたりして、留飲を下げた人もいるはずです。
降着の理由は「斜行」ですが、斜めに走っただけで儲けそこなわなければならないのはどうしてなのでしょうか?
安全を確保するための規制が警察規制
仮に斜行を許すとしましょう。
馬同士の接触も起こりやすくなり、落馬事故も増えて、人命が損なわれる危険性が高まります。
騎手や馬の安全を確保する目的で作られたのが、斜行を禁ずるルールです。
安全を確保する目的があるから、ルールを守ることで損をすることがあっても、受け入れなければなりません。
安全を確保するための規制を警察規制と呼びます。
警察規制で損しても補償されない
例えば、危険物を保管する倉庫を作るとします。往来の近くで爆発されても困るので、道路から一定距離離す必要があります。このような規制が警察規制に当たります。
さて、道路が拡張されて、倉庫との距離が近くなって規制に引っかかることになりました。倉庫を移築しなければならなくなったのですが、費用はだれが負担するのでしょうか?
勝手に道路を拡張するなら、行政が負担すべきと思ってしまいますが、警察規制に伴う損失についての補償は不要とされているので所有者が負担しなければならないのです。
警察規制に伴う損失は補償されないのですから、斜行という危険な走行を防止するための降着等の規制については、補償が不要なのです。
新型コロナによる規制は警察規制だから補償されない
高松宮記念が無観客で行われたのは、新型コロナの拡大を防ぐためでした。
感染症の拡大を防ぐ無観客レースは、国民の安全を確保するためなので、警察規制に当たります。
つまり、無観客でレースを行って損しても、補償されないことになります。
同様に、外出自粛によって各種産業が損害を被ったとしても、補償は不要になるのです。
警察規制による損害は所得再分配で対応
馬券仲間がいると、負けた時でも奢ってもらえることがあります。
これは所得再分配の側面を持っています。
勝った時には奢らなければならない反面、負けた時でも飲み食いできるので、リスクを分散させていることになります。
行政も、所得を再分配する役割を担っています。
新型コロナの影響で生活できないレベルになっている人には、状況があまり変わらない人の所得を移転しなければなりません。
新型コロナ対策は補償ではなく所得再分配で
このように考えると、営業自粛に対する補償はありえないし、一律の現金給付もあり得ないわけです。
営業自粛に対して保証してしまえば、それまで警察規制に当たるから補償されなかった人との整合性がとれないし、一律に現金を給付してしまえば、所得の再分配とは言えないからです。
新型コロナの対応としては、補償なしで、生活に窮した人に所得再分配しかないのですが、現状は馬券仲間全員が負けた時に近いので、余分にお金を持ってきた人がみんなに奢る形になりかねません。
みんなが納得する方法はなかなかないので、「公平」とか「一律」といったわかりやすい言葉を避けて、しっかり説明していただきたいものです。
新型コロナ対策に妖怪アマビエが人気ですが、疫病を鎮めるなら天神様も良さそうです。
合格祈願の時期も過ぎて空いていますし、今年は菅公生誕1175年という節目なので、ご利益あるかも?
(菅原道真は25という数字に縁があるので、25年刻みで節目とされます。25か所お参りする習慣もあります。)
今回のまとめ
新型コロナによる自粛は警察規制
警察規制による補償は受けられない
生活できない人は所得の再分配で対応
<画像は筆者撮影。谷保天満宮>