海外旅行やワーキングホリデーで渡航した際に友人やお世話になった人にお土産を持っていく機会も多いだろう。
そんな時にひとつ腕を振るって日本料理をごちそうしてみてはいかがだろうか。
それでも形に残るお土産がいいという希望も満たせるように日本で開発された調理器具を持参して日本料理を振る舞い、そのまま調理器具をお土産として置いていくというのはいかがだろうか。
そんなことを実践してみた。
持参したのは耳かきのメーカーでもある「ののじ」の製品。若い女性用の調理器具としてご存知の方もいるかもしれないが、給食調理やプロ用器具も作っている。
行ったのはフィリピンのセブ島。日本食とは関係ないが、フィリピンで使うケチャップはバナナケチャップがデフォルト。甘くて酸味の少ない不思議なケチャップだ。
肉じゃがを作る!
肉じゃがを作るために購入した材料はこれだけ。しょうゆは大都市であれば日本製のものが売られているが、ない場合は中華用のしょうゆとなる。これはかなり塩辛いので味付けには注意だ。
それと、肉もスライスされたものは大都市のスーパーであれば購入可能だが、地方都市だとブロックで購入することになり自分でスライスすることになる。ステーキ用の牛肉だが値段は安い。
記者は西日本出身なので肉じゃがといえば牛肉、カレーも牛肉がデフォルトだが、東日本の方は豚肉だと思われるので、そのあたりはふるさとの味に合わせていただきたい。
玉ねぎとニンジン、ジャガイモは世界中で手に入るだろうが、調味料としてのしょうゆ・砂糖や肉の種類については渡航先の事情をよく考慮していただきたい。また、日本酒もしくはみりんは手に入りにくいと思われるので、紙パックの日本酒を2つほど持参するといいだろう。余ればみんなで酒盛りに使える。
では持参した調理器具を紹介しよう。
いずれも「ののじ」ブランド・写真左から
大人のちゃんと箸
オタモ・モコモコ
シチューことことオタモ
フルーツナイフ
根菜フリルサラダ・削リ~ナ
トング・パーソナルミニ・サテン
カットフォーク右利き用
これだけ持参しても、かさばるのは仕方がないが質量はそれほどでもなく、片道の輸送なので置いてくることを考えればどうということはない。ちなみに、ピーラーとナイフは明らかに刃物ではあるが、預託手荷物に入れることにより何の問題もなく海外に持ち出すことができる。くれぐれもハンドキャリーにしないように。
ピーラーでじゃがもの皮をむく。大根をむけばそのままサラダになる優れものピーラーだ。
記者はニンジンを切る。ファンシーな形状ではあるが、グリップに優れモリブデンバナジウム鋼を使用した高品質な一本だ。海外に持っていくために小型のフルーツナイフとしたが、ニンジンやジャガイモを一発でカットした実力派。
すべての野菜と肉をカットし終えて、砂糖は家庭にある黒砂糖を流用して、日本酒は日本から持参した紙パック入りを使用して肉じゃがを作る。
特に奥地で文明が行き届いていない未開の地というわけではない。電気は通っているし、バイクやバスで20分ほど走れば大型のスーパーもある。セブ市内までは1時間ほどだが、周りには燃焼用の燃料となるバナナやヤシが多く自生しているので、ガスを必要としていないというのが正直なところだろう。
したがって薪による直火で肉じゃがを作ることになる。火加減の調節は薪のくべ方による。アウトドア男子(でもないが)の腕の見せ所だ。
まず、ココナツオイルで肉をいためる。ステーキ用の肉なので若干分厚いがそこはいためる時間で調整する。
そして野菜を投入。オタモでまんべんなく混ぜながら少し蒸し焼きにする。
そして日本から持参した日本酒と砂糖を投入してアルコールを飛ばしながらいためる。
わきの五徳では持参したトングで魚を焼いてくれた。「ユースフル!」と喜んでもらえたようだ。
さて、あらかたいため終えた鍋に適量の水を入れてじっくり煮込むと出来上がり。日本では箸を通して煮え具合をはかるがフィリピンでは箸を使う習慣がないので、持参した「ちゃんと箸」を菜箸のように使用する。この箸は練習用にカプラーが付いているので、今後フィリピン人にこの箸で練習してもらい使いこなせるようになってもらおう。
オタモで皿に盛り付け。
汁物もすくえるので便利だ。耐熱性もあるので煮物に限らず、今後はいため物にも使ってもらえることだろう。金属ではないので軽くフレキシブルなのが利点だ。
フィリピンではスプーンとフォークを使うのが一般的だが、ここでののじのカットフォークが役に立つ。これは右利き用。
実は訪ねた家族の中に左利きの人がいて焦ったが、それは仕方がない。
ご飯に汁物や煮物を乗せてスプーンですくって食べるのがフィリピン流。鍋いっぱいに作った肉じゃがはあっという間になくなってしまった。
評価は「エクセレント」だった。
日本のおもてなしを表現するための日本料理と、日本で開発された優れた調理器具で心のこもったお土産となるのではないだろうか。
※写真はすべて記者撮影