16日、大阪府堺市保健所は、市内の焼肉店で鶏ユッケを食べた33人が腹痛や下痢などの症状を訴え、医療機関で診察を受けたことを公表しました。重篤な患者はおらず、患者のうち3人からカンピロバクターが検出されたとしています。
カンピロバクターは、生の鶏肉に繁殖しやすい病原菌です。一般的には加熱することで被害は起きなくなりますが、同店では調理の際に、湯引き処理を行っているものの、じゅうぶんな加熱が行われていなかったとみています。
「レバ刺し」の危険性が知られるようになり、また法規制がかけられるようになりました。しかしながら、鶏肉の生食については法規制がありません。そのため、今回の事故を招いてしまったとも言える部分があります。
カンピロバクターによる食中毒は、わずか100個程度の少ない菌でも食中毒が起こることが分かっています。また、死亡事故こそ少ないものの、感染後数週間経過後に、手足の麻痺、顔面神経の麻痺、呼吸困難を起こす「ギラン・バレー症候群」を引き起こすことも分かっています。
牛や豚のレバーにも、カンピロバクターは存在します。法規制によって、牛・豚のレバーの生食が禁じられるようになりましたので、衛生事故は起こりにくくなりました。しかしながら、鶏肉の生食については法的規制がありません。
したがって、鶏肉の生食についてはリスクが高いことをよく理解するべきだと思います。これは、よく火が通っていない鶏肉料理でも同様のことが言えます。焼き鳥などで生焼けのものが出てきたら、口にするのは控えたほうが無難です。
夏が近づくにつれ、様々な食材を食べる機会が増えると思います。その反面、健康被害を生じる可能性があることを意識しながら、調理したり食事をするようにしたいですね。
※写真はイメージ 足成より http://www.ashinari.com/2009/05/31-021528.php