塩崎恭久厚生労働大臣は、22日の閣議後の記者会見の中で、「病院前の景色を変える」と発言し、「かかりつけ薬局」を推進する姿勢を表しました。
現在の法令では、医薬分業が原則です。医師は診察と処方を指示し、薬剤師がチェックをして薬を出すという二重チェック機能を持たせてあります。
そのため、医師から処方箋を出してもらった場合、調剤を行っている薬局(調剤薬局)なら、全国どこの病院の処方箋であっても薬をもらうことができます。しかしながら、大多数の人が、利便性の問題から病院の前にある調剤薬局で薬をもらうことがほとんどです。
そのこともあって、医師の親族や医療法人が病院の前に薬局を運営することも多く、事実上、病院の中で薬を処方してもらう院内処方と何ら変わらないという意見が出ていました。
また、このような方法では、患者が意図的に薬を多くもらうために複数の医療機関を受診したりといったケースを洗い出すことができません。患者が意図的に複数の医療機関を受診しなくても、診療科が違う医療機関を受診することはありえます。その際に、重複して同じ薬が出されてしまい、健康被害が及ぶこともありえます。
このことから、薬を出してもらう際は、特定の薬局で薬を出してもらう「かかりつけ薬局」を設けようという動きがあります。患者が、特定の薬局で医師から処方してもらった薬を全て出してもらうようにすれば、重複して同じ薬を他の医療機関で処方された場合のトラブルが防げるというわけです。
塩崎厚生労働大臣が発言した「病院前の景色を変える」という意味は、このような意図があります。また、病院と薬局の独立性を保つだけでなく、患者が飲み残した薬の回収や、在宅療養を受けている人の服薬指導も行うことも視野にいれています。
現在の保険診療は財源が限られていることや、健康被害が及ぶ可能性を考えれば、かかりつけ薬局の制度は必要かもしれません。同時に、私たちが安易に薬を飲み過ぎる傾向があることも考えなければいけないでしょうね。
※写真はイメージ 足成 http://www.ashinari.com/2013/02/02-375925.php より