ブラックバイト 学生の7割が経験 中京大学ほかの研究であきらかに

  by 松沢直樹  Tags :  

不況の影響からか、生活費と学費をアルバイトで捻出する学生が増えていると言われています。
28日に公表された中京大学の大内裕和教授らの調査によると、4割強の学生が深夜に働き、疲労から授業に集中できなくなっているという結果が得られています。

時給の高さから、居酒屋などで午後10時から翌日午前5時に働いた学生は、4割強に昇っているとの結果が出ています。企業が残業を減らすために、学生アルバイトにしわ寄せが起きているというのが現状のようです。同調査によると、「希望しないシフトに入れられた(21パーセント)」「労働条件を書面で交付してもらえなかった(19パーセント)」というように、深刻な状態が見てとれます。

こういったトラブルに遭遇した場合、労働基準監督署や、労働組合、弁護士に相談したという学生はほとんどなく、泣き寝入りしてしまったケースが大多数でした。また、生活費の捻出のために週20時間以上働く学生も珍しくありません。

同調査では、言及されていませんが、労働基準法によれば、週20時間を超えた場合、社会保険(健康保険・年金)に加入させる義務が生じます。また、雇用保険や労災保険には事業者がもれなくアルバイト学生を加入させなければなりませんが、これらの処置についても心配されるところです。

本来、これらの労働問題の違法行為については労働基準監督官が調査・立件することになっていますが、日本は労働基準監督官の絶対数が足りておらず、摘発が難しくなっているのが現状です。

もっとも効果的な方法として、既存の労働組合に助けを求めたり、職場で労働組合を結成し、各都道府県の労働委員会に是正を求める方法もあります。学生さんのアルバイトは、学業が大前提になっていることをアルバイト先も合意しているわけですから、法令を遵守して健全な環境を用意してほしいですね。

※写真はイメージ 足成 http://www.ashinari.com/2012/10/13-371811.php?category=265 より

松沢直樹

福岡県北九州市出身。主な取材フィールドは、フード、医療、社会保障など。近著に「食費革命」「うちの職場は隠れブラックかも」(三五館)」近年は児童文学作品も上梓。連合ユニオン東京・委託労働者ユニオン執行副委員長