「リア充」と「非リア充」

  by うしさん  Tags :  

昨今、「リア充」というネットスラングが若者の間で流行している。
有限会社未来検索ブラジル主催の「ネット流行語大賞2007」では21位となった言葉である。
しかし実際、「リア充」の意味をしっかり理解して使用している人は少ない。
株式会社アイシェアが2009年3月に「リア充」等のネットスラングに関する意識調査を実施したところ、「リア充」の意味を分かると答えたのは436人中115人の26.4%だった。
なので、ここで「リア充」の起源や概念、そしてどのような人を指す言葉か今一度考えてみたいと思う。

概念が生まれたのは2005~06年頃、電子掲示板サイト「2ちゃんねる」の大学生活板だ。
初めは「リアル充実組」と呼ばれ次第に「リア充」と略され今の形に変わった。
その後、SNSやtwitterの普及に伴いこの言葉も流行していき、最近ではあまりインターネットを利用しない人の間でもこの言葉が認知されている。

「リアル充実」とはいったいどういう事なのだろうか。
リアル、つまり現実。現実の生活が充実している事。それは何等か社会的活動や、友人や恋人と過ごす事によって得られる充実感を指す。

起源である大学生活板ユーザーの立場で考えてみよう。大学生活で充実している人とはどんな人だろう。
一般的にはサークルやアルバイトなどで忙しく動き回りつつも、授業はもちろん趣味や交友交際関係まで広くこなしている人だろう。
多くの人にとって見れば、これは普通の大学生かもしれない。
その普通のことが出来ていない学生たちが、悪くいってしまえば妬みや僻みで生み出した言葉。それが「リア充」だ。

最近の世間での定義はどうだろうか。
ネット上では「友達が一人でもいればリア充」と言われていたりするが、世間で多くの場合、「リア充」かどうかの判断基準は「恋人」の有無だ。
言ってしまえばどんなに冴えない青年でも、彼女が出来れば途端に「リア充」となる。

中には、「自分は「恋人」持ちであるが「リア充」ではない」と主張する人もいる。今いる恋人に満足していないという事だろう。
これは意見の合う人同士で言うには構わないが、恋人のいない「非リア充」の前で言うと非難の対象となるので気を付けてほしい。

では「非リア充」とはどういう人だろうか。
「リア充」の対義語であり、生活が充実していない。具体的には、友達がいなく、職場(学校)と自宅を往復するだけの日々、休日も特に予定無し…。
こんな生活から抜け出したいと思っていても、「リア充」の世界に飛び込む勇気もない…といったような人だろう。
言ってしまえば「情けないヤツ」である。

「非リア充」の類語として「ネト充」「オタ充」などの言葉もある。
「ネト充」とは、ネット上での生活が充実している人のこと。リアル(現実)と対になるものだ。
SNSや動画共有サイト、ネットワークゲームなどに没頭し楽しんでいる人のこと。
これは「非リア充」とあまり変わらず、ただ皮肉で言っているだけのようなものだ。
「お…俺にはネットがあるもんね!現実なんかクソゲーだ!!」と。
しかし、ネット上での出会いがきっかけで現実で結婚するというケースも少なくはない。

「オタ充」は、オタクな趣味(一般的にはアニメ、ゲーム、漫画)を中心とする生活が充実している人のこと。
この場合、イベントやライブに出向いたり、趣味の合う者同士でアニメ談義に花を咲かせたり、ゲームで対戦して遊んだり、同人誌を作りイベントに出店したりと、どちらかというと「リア充」の側に分類されるであろう。

「非リア充」=オタクであると思い込んでいる人が多いが、必ずしもそうではない。
アニメやゲームに没頭するのは、ただ現実から逃避しているだけと主張する人もいるが、趣味で人の輪が広がることもあるし、アニメやゲームはダメでドラマや小説は何故良いんだ?という別の疑問も出てくる。
「非リア充」は、無気力無関心で無趣味な場合が多い。「オマケに無職だ…」と悲観している人もよくいる。

「リア充」と「非リア充」。何故こうも大きく二分化してしまったのだろうか。
根本たる原因は結局本人の性格だろうが、昨今のネットの普及もその一端を担っていると言えるだろう。
ストレスの多い現代社会、ネット上で愚痴を言い憂さ晴らし、その愚痴に対し励ましのコメントがついたりすると、ネットの楽しさに気づき依存していってしまう。
現実では最低限やるべき事をやっていればいいと考え、プライベート中は自分の殻に籠る。その積み重ねにより交友関係等も次第に減っていき、「非リア充」へとなるのではないか。(上記した無職のケースはまた別の問題が絡む)

昨今の「草食系男子」の増加など、日本男子の軟弱化が顕著であると言われている。
「非リア充」な人たち、特に男性は本当に今のままでいいのか、この先やっていけるのか見つめなおす必要がある。
もちろん改善するのは簡単ではない。多くの努力が必要になる。
だが、その苦しい努力を重ねたのが、輝かしい「リア充」たちなのだ。

もしこの記事を読んでくれた「非リア充」の人が、「リア充」になれた暁には、僕からお祝いにこの言葉を贈ろう。
「リア充、爆発しろ」

画像: 初音ミク楽曲「リア充爆発しろ!」より

職業は大学生です。趣味はインターネット、ゲーム、バスケットボール。これら趣味を活かした記事を書きたいと思っています。また、時事問題に関する記事も、自分の見解をもとに作っていきたいです。

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