毎年2月4日、一年のうちでも寒さが極まるといわれる立春の朝に出荷されるお酒がある。
その名も『立春朝搾り』。
日本名門酒会に加盟する全国の酒蔵で、徹夜で搾った酒を神主による祈祷を経て早朝のうちに出荷するという一連の過程は日本酒業界の一大イベント、そして各地域の新春の風物詩となっている。
日本酒発祥の地、奈良でも長い伝統を誇る酒蔵、今西清兵衛商店(『春鹿』の銘柄でご存知の方が多いだろうか)がこの立春朝搾りを醸している。
純米吟醸の規格で丁寧に醸されたそれはえも言えぬほど甘やかで、フルーティー。
かつ、盆地特有の厳しい冷え込みを活かしたのだろうか、生原酒としてはきわめて軽快ですっきりとした味わいをもつ逸品だ。
筆者も奈良の生まれ育ちだが、この地域の酒飲みには「春鹿の立春朝搾りを飲まないと一年が始まらない」くらいの意識を持った人が少なくない。
奈良市在住の日本酒ファン、亜希さん(32)はこう語る。
「お水取りが終わると春が来ると実感しますが、これを飲むとまだまだ寒い中なのに『もうすぐ春が来る』と春を迎える気持ちになりはじめます。飲めない年もありますが、飲めた時の浮わつき始めた気持ちはなんとも言えないものです」
筆者は2月4日には酒蔵まで出荷風景を取材に行く予定だ。
奈良の風土と歴史が生んだ『春鹿 立春朝搾り』がどのように醸され、どのように飲み手のもとに届けられるのか。
続編をご期待いただきたい。
春鹿の立春朝搾りが買える酒販店は『日本名門酒会』公式サイトにリストが掲載されているので参考までに。
http://www.meimonshu.jp/modules/xfsection/article.php?articleid=1635 [リンク]
※一部画像を『春鹿』オフィシャルサイトから引用しました
http://www.harushika.com/ [リンク]