動画では独特な練習風景も。強豪揃いの東東京代表でどこまで勝ち進めるか。
いよいよ暑さも厳しくなり、夏らしくなってきた。夏といえばやはり高校野球だろう。既に高校野球都道府県予選は北海道と沖縄で始まっているが、いよいよ7月6日(日)から東京でも始まる。
さて、その出場校の中でも、開成高等学校(東京都荒川区・東東京地区)は異色の存在である。東大合格者数日本一を誇る進学校でありながら、今年放映された日本テレビ系ドラマ『弱くても勝てます』のモデルになった野球部を擁するのだ。強豪揃いの東東京地区(139チーム)でベスト16まで勝ち進んだこともあり、スポーツ新聞でも「インテリ軍団」としてよく登場している。
その開成高校の独特の練習風景の動画が地域ケーブルテレビ放送局『東京ケーブルネットワーク』で放映され、放送局から『youtube』にアップされている。
高校野球東東京大会出場校紹介「開成高等学校」
http://youtu.be/R_gvZh3eNBo
ドラマでは嵐・二宮和也が演じた青木秀憲(あおき・ひでのり)監督のインタビューも入っている。
開成高校は進学校ということもあり、周辺の高校野球強豪校に比べると、環境は恵まれていない。野球部専用のグラウンドもなく、校庭の片隅で練習している。しかもグラウンドが使用できるのは、他の部活動との兼ね合いからわずか週1回だという。従ってスペースは限られており、動画にもあるように守備練習は狭くてやりづらそうだ。
青木監督の独特な理論から来る特異な練習方法
この不利な状況をカバーするために青木監督が考えたのは、「どんな生徒にも必ず外野の頭を越えていく打球を打たせる」という、打撃中心の戦法であった。
監督は動画のインタビューでこのように発言している。
「シングルヒットしか打てない選手はボクは野球選手ではないと思っています」
「ここは絶対に弱くては困る、というところは徹底的に強くする。ここはちょっとぐらい目をつぶってもいいかなあと思う所はちょっとぐらいはいいかな、と」
変わった練習では、いわゆるピコピコハンマーのようなもので、杭の上に載せた木を叩くというものがある。これは、いわゆる「真っ芯(まっしん…バットの中心)」を覚える練習のようだ。動画では「ボールの道筋をクギに置き換え、ハンマーで一番力が伝わる所を覚える練習」と説明しているが、要するにバットでボールを打つ時に、中心(真っ芯)にボールを当てれば、監督が理想とする「必ず外野の頭を越えていく」打球が打ちやすくなるのである。
ほとんど打撃練習一本槍の開成高校の打線は、ツボにハマると恐ろしい打撃力を持つ。例えば2008年夏の大会初戦では、都立蒲田高校相手に24対0で圧勝した。
昨年、2013年は惜しくも初戦で敗退してしまったが、今年は是非頑張ってほしいものだ。開成高校は7月12日(土)、都営駒沢球場で武蔵丘高校と初戦でぶつかることが決まっている。
高校野球都道府県予選、実はテレビでも見れます(開成高校はネット中継のみ)
さて、ここまで書くとテレビ中継があるのか知りたい方も多いだろう。
実は高校野球の都道府県予選は一部の試合がテレビ中継されているのである。下に各地の放送局が本日現在で発表しているテレビ中継予定をまとめた。見ていただければ分かるが、開成高校の属している東東京大会は、江戸川区球場と準々決勝以降の神宮球場以外のテレビ中継予定が今のところない。ただ、テレビ局から試合のダイジェストの放送が行われる可能性はあるほか、ネット上の『NHK甲子園』(http://www9.nhk.or.jp/koushien/)で試合経過を見ることは可能だ。
(画像はいずれも『YouTube』より。高校野球予選中継一覧表は著者の取材に基づき各放送局ホームページ等より作成)