謎のミッキームービー
話題作「アナと雪の女王」
ステキな映画であることは、すでにご存知だと思いますが、アナ雪の映画が始まる前に流れる「ミッキーのショートムービー」このショートムービーがどうも消化不良・・・という声があがっているようです。
(蒸気船ウイリー)
約10分程度のこのショートムービーは、昔の蒸気船ウィリーのようなモノクロタッチのミッキーが ミニーを助けようとして奮闘!知らず知らずのうちに画面を飛び出して、 現実世界で3D&カラフルになる。
という、本編とは全く関係ないので「ん?なんだったんだ今のは……?」と謎を残したまま、気づけば アナと雪の女王を楽しんでいた!という方も多いのでは?
実は、 このオープニングショートムービーには、映画をつくっているジョン・ラセターからの、未来のCG映画の秘密のメッセージが隠されているのですが・・・・・・
謎解きの前に!
このショートムービーと アナと雪の女王を製作したCGアニメーション界の神様ジョン・ラセターを知っておかなくてはいけないでしょう。名前を知っていて損はありません。その経歴には有名人がバンバン出てきます。
ジョン・ラセターという魔法使い。
大学時代からアニメーションを学んでいたラセターは、ディズニーに就職してCGアニメーションを作品を作ります。「アナ雪」のずっと前からディズニーにいた彼ですが、当時は「手描きアニメーション」が売れる時代。CG部門門はすぐに廃止され、ラセターもあっという間にクビに。
その後、映画スター・ウォーズで有名なジョージ・ルーカスの映像製作会社ILM(アイエルエム)に入り、CG作品をてがけます。
アンドレとウォーリーBの冒険(ラセター、ILM最初の作品)
三角と丸という シンプルな形で出来てるキャラクターが CG創世記時代を感じさせますね。今のように複雑な形やリアリティーのあるキャラクターは難しかったのですが、最先端といえる3DCGムービーなのです。
しかし、ILMは実写映画の方へ力を入れようと考えていたため、CGアニメーション部門はまたまたお払い箱・・・・・・
その時、アップル社をやめた若き日のスティーブ・ジョブスが「え、これちょーすごいじゃん!」ってことでラセターがいたILM社のCGアニメーション部門をお買い上げ。「ピクサー」という会社にします。
今思えば、すごいお買い得な買い物です。さすがSJ。先見の明はお買い物にもあったようです。
それまでの功績もあり、ピクサーでも中心的人物となったラセターは「トイ・ストーリー」 「Mr.インクレディブル」など大ヒット作を監督して3DCGアニメーション界の頂点ともいえる存在に。
ピクサーはその後2006年にディズニーが購入し、ディズニースタジオ傘下となります。それまでもプロモーション面でピクサー制作の3DCGアニメーションに関わっていましたが、制作しているスタジオであるピクサー丸ごとディズニースタジオ直下となりました。
ディズニースタジオもラセターを解雇後に3DCGアニメーションを作っているのですが、ヒット作にめぐまれずラセターのいるピクサーを買った、というわけなんです。(制作ピクサー配給ディズニーで成功している作品はありますが、制作ディズニーのアニメーションは苦戦したようです)最初に彼を解雇してしまったことを思うと、複雑ですね(汗)
そんなわけで紆余曲折ありながらもラセターは制作総指揮として「ラプンツェル」や「アナと雪の女王」 といった、最近のディズニー3DCGアニメーションの大ヒット作品に関わっています。
ミッキーの短編はラセターのメッセージ?
ラセターの経歴がわかったところで!
アナ雪の冒頭 「ミッキーの短編アニメーション」は なんだったのか?謎解きしていきましょう。
ラセターの長編アニメーションでは、その時点での最高品質CGや新しい技術を披露するショートムービーがついてることがあり、以前もチェスをするおじいさんのショートムービーなどがありました。
(トイ・ストーリー公開(95年)後に公開された「ゲイリーじさんのチェス」画像元 )
このころは、人間を3DCGで表現するのは 難しいと言われた時代。リアルな皮膚や人間らしい動き、やわからい光を再現したチェスじいさんは CG界的には衝撃作品( °д°)!!でした。
2000年前後の3DCGアニメーション映画を思い出すと、おもちゃ(トイストーリー)や 魚(ニモ)を主役にしたお話が有名ですね。そこには 「人間を主人公にできない」という 技術的な問題もあったのです。サブキャラクターとして出演はしてるけど、 メインにするには人間は複雑すぎる。そんな時代にショートムービーに出てきたリアルな「チェスじいさん」は これからの3DCGアニメーションの無限の可能性を感じさせるメッセージでした。
映像に隠された秘密
今回、 ジョン・ラセターが 映画のオープニングにつけたショートムービーは、モノクロ映画と3D映画の世界を 行ったり来たりするキャラクターたち。
もしかして次回作以降で そんな技術がたくさん使われるかも?
「CG技術の発達でリアルな世界と映画という虚構の世界に垣根がなくなってきた」ラセターからのメッセージ?
という深読みもできちゃいます。
アナ雪本編でも、キャラクターの洋服のベルベット感や麻っぽい布感、 ふわふわした雪が固くなる前の粒子感など、CGが表現するのが苦手といわれている「やわらかいもの」が素晴らしい描写をされていました。CGは硬いもの ―たとえば鉄や氷、石―を表現するのは得意ですが、布や水、人間の肌みたいな 柔らかいものを表現するのは苦手なのです。
と言っても ラセターの魔法にかかれば難しくないのかもしれませんが(笑)
大ヒットの「アナと雪の女王」
お話や歌を楽しんだ後はCGの技術の発達にも注目してみると、新しい見方ができるかもしれません。
パソコンアイドルと アナと雪の女王でした。